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風は立ち止まると消えてしまった
草木が{ルビ堪=こら}えている囁きを零すまいと
螢を宿した子宮のよう緑は極まり
森は風の帰りに欹てる
蝶の影が肩を掠めた
あるはずのない感触は誰かの笑いの ....
西野の花屋で薔薇を買った
高価だから四本だけ(バーボンに託けて)
紫の花弁が密集しておいそれとは見せてくれないタイプの娘がふたり
丁度よく開いた白い花弁になよやかに反り返る
ピンクの縁取りの娘 ....
封筒を開くと雨が降っていた
ポプラを濡らし翻るみどりの雨
ふるえる雛鳥を包み込む手つき
そうして一気に命を絞り出す
言葉は自らを断つ
川沿いの公園
濡れるがまま置き去りにされて
終わ ....
風が担う祝祭の神輿
白蝶ひとひら
またひとひら
もつれ ほどけて
また結ばれて
あどけない水の声
まろぶ 光の鈴
うたたねの距離
雲雀につられ ....
彼女はピアノの歩調
酔ったように濡れながら
街角を幾つも曲り公園の
裸婦像の前
肉と骨の鳥籠に
冷たい火ひとつ
切りつけるナイフではなく
やわらかな雨
胸のジッパーを下ろす
....
小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五~六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがま ....
まだ強い日差しを俯く花のように
白い帽子で受けながら
歩道の向こう
小柄な婦人が歩いている
ゆれるバッグの中で
小さな鈴が歌っている
{引用=――しゃらん しゃららん}
たったひとりの{ ....
花よ
いま震えている花よ
見えない風の手が怯えさせるか
それともやさしい愛撫に
花よ
人も同じ
誰かの心の中 将来のこと
見えないものに心を乱されて
わたしたちは少し似 ....
遠い夏
街で見かけた少女
名前も
どこに住んでいるかも
知らないで
ただ精一杯
目で追うことしかできずに
それっきり
夢で逢えたらと願いながら
叶う事もなく
今日(四十年後 ....
遠く 花火の音がする
――美しい闇の舞台
光たちの素早い集団行動
ここからは見えないけど
どこかで
手をつなぎ
見上げている男女がいて
はしゃいだり
肩車されたり
こどもたちもい ....
温雨
雨に洗われた
針葉樹の隙間から顔を出し
ヒヨドリは不思議そうに首を傾げる
蟻の休日
うつろな目をした夏
一緒くた
....
箸でつまんで
ポトリ ポトリ
やわらかな壺へ
金色の毒虫入れ合うの
互いに舌を絡め
{ルビ騙=かた}ることば
海が見たい騒がしく
鳥が声が
眼裏掻っ切って
わたしたち手探りのままでい ....
それはモノゴトとの距離の問題
モノゴトが遠くにあれば小さく感じて
モノゴトが近くにあれば大きく感じる
時間もひとつの距離だ
あるいは他のモノゴトとの比較の問題
モノゴトの傍にもっと大きな ....
いつものように仕事をしていた
アパートの郵便受けに貼られた
よくある 空室 の文字をなぜか
一瞬 そら室 と読んでしまうと
ドアの向こう せまい間取りの境界が
ぼんやりしてきて 真っ青な空 ....
かんなさんのただのみきやさんおすすめリスト
(14)
タイトル
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カテゴリ
Point
日付
反射光
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ただのみ ...
自由詩
6*
19-7-21
ちょっとした秘密
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ただのみ ...
自由詩
13*
19-7-7
モノローグ/断絶のために
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ただのみ ...
自由詩
12*
19-6-23
陽炎
-
ただのみ ...
自由詩
13*
19-5-19
窓辺の思考
-
ただのみ ...
自由詩
6*
19-4-7
迷路
-
ただのみ ...
自由詩
13*
17-12-2
小さな鈴
-
ただのみ ...
自由詩
12*
17-8-26
野の花
-
ただのみ ...
自由詩
6*
16-8-20
少年少女
-
ただのみ ...
自由詩
7*
16-8-10
花火
-
ただのみ ...
自由詩
8*
16-8-3
夏と雨の短詩・五編
-
ただのみ ...
自由詩
9*
16-7-27
君みみなれぬ口づけを
-
ただのみ ...
自由詩
15*
15-5-12
モノゴトのはなし
-
ただのみ ...
自由詩
14*
15-4-15
そら室の啓示
-
ただのみ ...
自由詩
16*
11-12-5
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