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気をつけてね

もうすぐ秋が来るわよ


切なくてね

胸がキュンと痛むから



独りにしないでね
遠く透けた青の先に
星が瞬いたように見えた

メトロノームと馬車馬を
足して割ったかのように
徐々に朽ちて行く時の片隅

枯れる事も出来ないまま
街路樹はやがて眠る
安らかでさえない ....
鳥カゴに串を一本入れときたいな
小鳥がいないことの理由を
誰が見ても分かるように
飛び散った羽もきれいに片づけて
「青い鳥」って書かれた
プレートだけを張りつけて
鳥カゴに串を一本 ....
じいちゃんの言うこと分かるやろか。
人生なんてな
花火というか
花火の後の残像のようなもんやからな。

なんて言うのは
少し寂しいやろか。

でもな
寂しいところに人生はあるもんやっ ....
真の賢者に
 恋の相談はしない

悩みとともに
 その恋からも 解き放たれてしまうから
三番線のホームを獣が通過する
知らなかったなあ
いつの間にか世界は
こんにも美しくなっちまったんだ

二番線のホームに到着した
足の長い甲殻類の殻から
沢山の人間が這いずり出して ....
あんたに どんなことがあったんか
 どれだけの人が気にしてるんやろな

あんたが思ってるほど
 あかの他人のことなんて気にならへんもんや


あたしは見てて楽しいで
 あんたの悪あ ....
店内に置かれた 
壊れた自転車の傍らに 
しゃがんだ青年は 
工具を握る 

「 本屋さんはどこですか? 」 

歩道を通るわたしの声に 
こちらを見上げた青年の 
汚れた頬に 
 ....
捨て猫に飼われている


私は 捨て猫に飼われている

飼われているから『捨て人』ではない

飼われ人なので
そのしるしに首輪をつけている
鈴もついてるので歩くたびに
リンリンと鳴 ....
キミの母親の姉さんの娘と
手錠で繋がれて
カラ海に沈んだ

阪急電車に乗って
梅田へ向かうたびに
「哀愁って、どんな感じ?」 と
誰かに尋ねたくなる

  錯覚を捕らえてごらん
 ....
買い物帰り
荷物を抱えて歩く坂道
アスファルトの照り返しに
ため息をつきながら
歩いていると

先の方に
とてもよく似た後ろ姿があった
ひとり
ふたり
足の運びも同じで

似て ....
青くてすごく激しい魚を
まな板に乗せてばちんと
首を刎ねた
何の通告もなしに
首も胴体も捨てた
血の匂いがあたりに漂って
ハイターをぶちまけた
心残りは無かった
朝のように 夜のように
当たり前に 僕はいよう

ワビのように サビのように
心に沁みて いたいよう

空のように 風のように
当たり前に 僕はいよう

眠りの中に落ちていく ....
膿んでいることはわかっているから
なるべく開かないように
大事にしまっておくのだけれど
たまに何かの拍子で
飛び出てしまうことがあって
ぐちゃぐちゃ
びちょびちょ
ぐねぐね
赤黒い
 ....
緑の山の真中に 
{ルビ白鷺=しらさぎ}が一羽枝にとまり 
{ルビ毛繕=けづくろ}いをしている 

曇り空に浮かぶ 
青い空中ブランコに腰掛けた 
わたしの眼下に敷かれた道を
無数の車は ....
 右を見ても
 左を見ても
 街にいても
 部屋にいても
 いつも欲望が走りまわっていて
 そんなのいらないから
 休みたい

 仕事をしてても
 遊んでいても
 友達といても ....
老朽化の進んだ体育館は
二階に観客席が付いていて
死んだ蛾や蝉がたくさん落ちていた
わたしは
つま先の赤いうわばきで
それらの死骸を踏み砕き
空へ近づこうとするかのように
一人でそこへの ....
僕が愛や恋を語っているときは きっと君の顔浮かべてる 憧れは
影も落とさず

夢は
薫風のように漂う

想いは
霧のようにつかみどころがなく

諦めだけが
地底を這いずる

日々

記憶さえも
消えゆく

微かな光も射さ ....
カンガルーになりたい
カンガルーになったら
お腹にポケットがついているから
裸になってもへいき
どこへ行くのにも
子供をひょいと中に入れて
ピョンピョン飛んでいける
カンガルーになりたい ....
ニコニコと笑う君も 好きだけど
口とがらせて怒る君も 好きなんだよ
怒った顔も可愛いから
ついつい怒らせちゃう


僕を信じてる君も 好きだけど
僕を疑ってる君も 好きなんだよ
安 ....
テーブルにばんそうこうが貼ってあった


また3歳の娘がイタズラしたな、


と思って剥がすとそこには


小さな傷があった
*
澄んでいく記憶の端から
水色の汽車が走り出します
ため息や欠伸といった
水によく似たものたちを
揺れる貨車に詰め込んで
透きとおる空の下
滑らかなレールの上
どこまでも
どこまで ....
顔が
いい感じで
寝転んだ姿が
可愛くて
何を考えているのか
よくわからなかったけど
ちょっと好きだった

京王線が好きで
就職したら
千歳烏山あたりで
一緒に暮らそうって
言 ....
そ だ あ 照 声
ば か な ら が
に ら た さ 聞
居   が れ こ
て   笑 る え
く   え と る
だ   ば   と
さ     あ 
い   嬉 た 優
 ....
居酒屋で 
ビール片手に酔っ払い 
まっ赤な顔して 
柿ピーの一つひとつを 
座敷畳の隅に並べ 
目尻の下がった
頼りない 
顔をつくる 

「 なんだか俺みたいだなぁ・・・ 」 
 ....

家を出ると
道端に
無数の舌が落ちていた

赤信号が
誰ひとり停められなくて
途方に暮れているような真夜中だった

舌たちは
うすべにいろの花のように
可愛らしく揺れなが ....
 花屋の娘に恋をして 妻に花束を買って帰った
なにも言葉を 落とせそうにない口を ありがとうの唇で塞いだ

 愛人が旅行へ行きたいと言い 出張を装って出かけた
「早く仕事が 終われば日帰り ....
銀座の路地裏に入ると 
色褪せた赤い{ルビ暖簾=のれん}に 
四文字の 
「 中 華 食 堂 」 
がビル風にゆれていた 

( がらら ) 

曇りガラスの戸を開くと 
「 イラッ ....
あなたはわたしのことを
とりあえず丸呑みにしてくれていた

易く消化できる部分は
笑いとともに吐き出した
易く消化できない部分は
嗚咽とともに吐き出した
おかげで
易々と呑み込むことが ....
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