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みえこが
おなかの赤ちゃんに話しかけ
仮の名を呼んでいる ....
その本を手に取るたびに
同じページばかり開いていたから
今では机に置くだけで
パラパラと そこへたどり着く
私の心の傾きが
そのまま しおりになっている
おとうさんと散歩しよう
サトウキビの畑の中を
夕陽が射していて影が大きく
落ちた
おとうさんと散歩しよう
ゴツゴツの手に引かれながら
なにも言わなくなっ ....
起きたら
三島由紀夫だった
下唇を噛んだら血が出て
三島由紀夫の血はこんな味なのか とか
白くて小さめの歯は けっこう硬いのだ とか
会ったことないのに懐かしむ
せっかくだから ....
砂漠へ行きます
では
私の写真ではなく
水を持っていってください水を
これからは いえ昔から
これからも
私たちは ひとりです
むこうは暑いそうなので
手に汗をかいて
指輪を ....
私はポツンだ
宇宙のポツンだ
名も無く朽ち果てていく
歴史のポツンだ
それでも大地に立ち
呼吸をし
飯を喰らい
排泄し続ける
この私という存在
寄りかかれる温かいものが現れると
みんな幸せになるらしいのに
不安が増殖していく
欲しい言葉がもらえると
みんな嬉しくてドキドキするらしいのに
寂しくて堪らなくなる
....
朝 通勤途中の人に
夜 犬の散歩をする人に
僕は 笑う
会社では
「あなたは愛されて育ったでしょ。」
と よくいわれる
僕は 生まれてすぐ人に預けられた
母に 社割で 花柄の ....
ほの暗い駅
列車の中で一点を見つめている
あなたの眼差しを見送る
”お気をつけて”
その一言だけが伝えたかったのだけれど
ベルが鳴り止んで動き出したのは
列車ではなく
ホ ....
すばらしい日は
目から はちみつが出る
下を見れば
青い空き缶が吸い殻入れ
もたれかかれば、白い壁はやわらかい
ドアをあけると
黒壁に詰まった、赤い自販機
吸い殻入れの隣に
....
「町田康みたいになりたい」
と言って出ていった人は
「みたいに」
と言う時点で
きっと 駄目なのだけれど
そういう私は
映画館で赤い便箋を買って
別れたい男に
「愛しています」 ....
おれは見たい、
赤錆びた鉄塔の頂きに
鳥のように爪先立って
人影のなくなった都市を見たい
きみとだ
おれは見たい、
太陽のとなりに炸裂するもうひとつの太陽の誕生を
塵からつくられ ....
感情の吐露です
それは美味いのですか
脂がのってるのですか
私は場違いではありませんか
大将、
はちまき ずれていますよ
ずれているのは何だっけ
そ ....
倉庫に積まれても
思い出すのは 彼のことで
「藁が多いですよね」とか話していた
目の前の男に
「足1本ちょうだい
しがみついて寝るので」
と言ってしまった
外に出たら
これ ....
「ずっと恋人でいましょう」
と言って 結婚をしました
結婚をして15年
ずっと敬語を使っていますね
「待たせました」
「出来ていますか」
が好きです
ついに私達の娘は
ロングス ....
ほんとにあなたに会いたくて
阿佐ヶ谷とアムステルダムが 草続きだったら
走って行きたい と思います
足をとられるのは
たんぽぽのつるではなく
カマキリの白い糸で
血が流れると
あなた ....
膨らんでしまった
地球の半分の大きさになった
わき腹に インドネシアがささるし
南アフリカからドイツまで腕をのばすと
陽が射さないと 苦情がくる
こんなに大きくなったのに
考えるの ....
殺してくれ
殺してくれと
言わんばかりに
私に挑む小さな虫けら
油断すると
私の足元に
油断すると
蝋燭の炎に
誘われる小さな虫けら
虫けらよ
何故死に急ぐ ....
冷たい目が嫌だった
冷たい言葉が苦しかった
だから君を冷たい海に沈めた
冷たく綺麗な君に似合う
青く深い海の底へ
似合うね
やっぱり
君に似合うよ
冷たい海が君には一番
寂しい海 ....
彼は 全身を 金糸で縁取ったような人でした
スーツを着て 遠くから 歩いてくると 白檀の香りがするような人でした
髪は 肩まであって お家では 私が三つ編みにしてあげていました
イン ....
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