炬燵の下の泉に集まる小人たち
本棚の下 隠し階段 希望の泉
頭頂部から自噴する泉は美しい
マンションに濁りなき泉下界へ落ちて
睡蓮の池にひたすら風が起こる
....
小春日和の太陽は
一見優しく
地上に温もりを与え
散りゆく草木を
名残惜しむ
その慈しみに触れたと思い
人々は
それぞれの想いを胸に
去りゆく
季節から日常から人から
帰化して ....
幸せの音がする。
私ってこんなにポジティブだったっけ?
何を見ても素晴らしく愛おしい。
そして愛してるが故の哀しさと、寂しさもあって。
私の ....
小鳥らで華やぐ樹木美しい
霧の中で体が七色に輝いている
光波・音波そのものロックする
小学三年までと二十代後半を東京で暮らした
いまも出張で月にいちどは東京にゆく
きょうは機械の立ち合いで東京だった
加工テストが順調だったので
そこの社長に言ってちょっと散歩に出る
狭い道に風 ....
樹齢いくつとかわからないけれど
ぼくより長く生きていることは間違いない
その身体のあちこちは皮をはがされ
表面に色の濃淡を作り出している
そんな老木のたくさんある枝のたった一本に
か ....
ふと目を上げると向かい側には同い年くらいのひと
高尾山にでも登るのかいかにもって雰囲気で
ひと待ち顔でおしゃれなデイパックを開けたり閉めたり
わたしと言えばパン教室のお友達を待っていて
忘 ....
ご飯食べて
歯磨いて
服を着替えて
髪を整える
車イスで散歩
買い物して
薬飲んで
風呂に入って
オムツ替えて
陰部洗浄して
足に薬を塗る
掃除、洗濯、炊事の毎日
....
誰かが私の
悪口を言う
客の信用が
ガタ落ちだ
仕事から降ろされ
仕事を削られ
手の裏を返したように
冷たくされる
もうこれ以上できない
もうこれ以上遜れない
どうも体が壊 ....
踏切をこえて
タバコを買いに行く
徒歩15分のコンビニエンス
ああここは○○君の家だっけ
まだあるのかな
公文の教室
小学校
遊具の数が減っていて
擦り傷つくら ....
カレー
親子丼
マーボ豆腐
エビチリ
金平ゴボウ
カボチャの煮つけ
サバのミソ煮
いわしのソテー
カツレツ
トリカラのトマトソース添え
カチャトラ
ギョーザスープ
....
四日の夜には息子と散歩をした
息子は自慢話を聞かせてくれた
子供ってたぶんみんなそうだ
ふしぎな月の夜だった
月のまわりにおおきな円弧がかかっている
それを息子に教えた
お父さん、 ....
きみから放たれた愛しい種子は
酸素に混じり肺に吸い込まれ
潤んだ空間にじわじわと溶ける
熱いため息が吐き出されたとき
そのあまりの重さに
飽和状態であったことを知る
きみの ....
笑ってごらん
海が見えるから
泣いてごらん
人が見えるから
皆が助けて
くれる
皆が好いて
くれる
愛していると
言いたいのだけれども
言えない
大切だから
雨の中 ....
筆を持つ腕の無い僕は
口で絵筆をくわえ
カンバスに向かって
朱色を引いた
引いた朱色は次第に濃くなり
カンバスの中央で丸くなった
カンバスの下には申し訳無さそうな
地平線があり
空 ....
良い事をすると
恨む人がいる。
楽しくて
金儲けの為に生きる
苦しみに
突き進む人には
風は冷たく
当たる。
人をバカにして
命令する
頭を下げて
対応する
世の中 ....
手離したはずの選択肢
見渡すことの優越感と
逆戻りする緊張に枝分かれして
毛細血管に絡み付きながら
そっと微笑みに呼び掛けている
遠くなった残り香は
脱け殻を捨てることを拒んだ
....
正しい行いをすると
正しい人がついてくる
純粋な心
弱く柔らかいもの
貧しくとも
悪い事をしない
分ってくれる
人がいる
苦しみはいつしか
甘い果物になって
人を喜ばせる
....
昼にあきたら、夜においで
ずっと夕暮れの町だって
君がそうやって望むから
君がいたあらゆる場所に
夜は、降って
結局、好きな気持ちだけで
夜はやってくる。
みんなで
プラネ ....
移り変わりの雑踏が庭を塗り替える
浮わついた駆け引きなんかじゃなく
思わせぶりな後ろ髪にやはり騙された
自己防衛の意思がむしろ
赤い眼鏡をかけていることを想像させる
発信源は未だ ....
長い冬も
もうすぐ
終わる
寒い
寒い
雪の季節も
峠を越した
春は
旅立ちの季節
巣立っていく者たちの季節
春は
出会いと
別れの
季節だ
君の
笑顔は
....
雨上がりの濡れた空気に
しっとり染み込む芳香は
垣根の向こうの金木犀
乾き始めたアスファルトに
規則正しくむちを打つのは
子どもが回す赤いなわとび
吸い込みすぎて重たくなっ ....
平和な日々
毎晩のご馳走
生きていることに
感謝する
{ルビ古=いにしえ}より伝わる
命
ロウソクの火のように
入れ替わる
明日は何しよう
あのねのね
神様の言う通り
あ ....
出張さきの宴席で地元の方々が
茶わん蒸しの唄をやってくれた
いつもそれを覚えようとするのだが
芋焼酎がぬけた朝には忘れてしまっている
だからその晩はDVDをおくれよと頼んでおいた
翌 ....
ちょっとプラス1だけ
優しくなれたらいいのに
小数点以下は歯切れが悪いので
やめたいです
9.9999・・・・・・は
背中が痒くなるので
もっと嫌です
1がいいです
2は僕にはきつ ....
いつから芋焼酎飲むようなったんかなあ
(あたしはどきっとした)
おまえにもうたんやっけ
(そうや)
(あのとき付き合うとった彼にもろたんや)
四五年まえおまえにもうたんや
(いまさ ....
最初のT字路を右折して下さい
私は言われた通りT字路を目指した
でも、どこまで行っても
T字路なんかなかった
もう少し先なのかな
まだなのかな
どこまで行っても
この道は終わりなんか ....
母が縁の下から引っ張り出してきたびんは
レトロでポップな橙の花が描かれていて
若い頃の彼女の趣味であったのだろうと想像出来た
恐らく本来は真っ赤な色をしていたのだろう
すすけたえんじ色 ....
冨のある 海が運んで来てくれた
柔らかく 温もりのある
大きな桃を大事に育ててる
いつか、新たな芽生えがある事を信じて
秋の風に吹かれつつ
サラサラと零れる欠片を思い
秋の雲を見つめつつ
カサカサと這う影の立脚に感づく
秋、怖い秋
金木犀が香る
秋、怖い秋
金木犀は異界の香り
秋は奪う
....
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