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止まらない衝動は
真っ白な闇と
薄紫の空気を運んで
 
力尽きた身体を
ゆっくりと
撫ぜて行く
 
 
視線の先の
鏡に写った自分の顔は
 
酷く醜くて
酷く美しかった
  ....
 


 一


日々を連写して
間違い探しをする

遠浅の青に
いつもの魚が溺れている
鱗がまた一枚なくなったこと
それを除けば
昨日と今日の境界線はゆるい

魚は、な ....
きみの半身を 盗みだして
逃げる途中 このさきの
春の右肩あがりで
ころんだ 拍子に
結ばれたんだったね
角のない消しゴムは
捨てられる寸前だった
角があろうとなかろうと
同じ材質なのに
四つの角があるとないだけで
大きな差をつくっていた
丸みの部分にはすれたえんぴつが
くっついていて
手 ....
おんなのこは
とてもいじわるなので
けたけたとわらいます

たたみのうえ
すっぱだかで
けたけたとわらいます

でんきにぶつかるむしが
そんなにおもしろいのときくと
わたしはじ ....
また今年も
お彼岸に会いに行けなかった

「仕事が忙しいから」
「行くのに新幹線使っても半日もかかるから」

毎年同じ理由で行けなかったじゃ済まされない

小さな頃優しかった父も
「 ....
たましい…だなんて
古臭いことばを
ミルクパン
で。どろどろに溶かしたら
ハートの型に流し込む

いつから
だった
かな

球体関節人形の
股間から
生まれてきた。わたし
だ ....
睫毛が目に入る 痛い
睫毛乱毛 つまりは 逆さ睫毛
どうせ私ゃ思っ苦しい一重さ
なんだろうね、マジでさぁ
目を守るタメの睫毛じゃねえのかよ
睫毛にさえ攻撃されるなんてね
ああ、涙出てきた
 ....
あらゆる意味で
生成流転の日常がいい

今日 新しかったものが
明日 古びてしまう

永遠と思われたものが
もろくも崩れ去る

野性の獣のごとき
機敏な世界

日々が日輪と共に ....
明け方のビル群は
墓標のように見える

おれはタクシーを拾って
車のまばらな御堂筋を
一直線に南下しながら
疲れた頭の片隅では
死ぬまでに稼げる金を
ぼんやりと計算している

アス ....
階段の踊り場のあたりで
父が釣りをしていた
家の中とはいえ
釣りをする父の姿が
再び見られるとは思ってなかったので
嬉しかった
子供のころ一度行ったきりだった
工場地帯の隅っこに広がる
 ....
吸い込んだ煙に
肺を犯され


君の存在の
重さや
大きさ

そんなものを
痛感していた






ただ
どこか頭は冷静で

指先の震えだけが
止まらなかった ....
昨日はきみを傷つけたので 
布団にしがみついて
うつ伏せたまま 
闇のなかに沈み 
眠った 


夜が明けて 
目覚めると 
窓枠の外に広がる 
朝焼けの空 
ふわりと浮かぶ 
 ....
春はすぐそこまで
来てるはずなのに
冬と談合してるんだな
雪でも降りそうな空だ

ジャスミンティーは
飲み飽きたから
ほうじ茶を飲んでる
眠気ぬぐえなくて困るな

近頃デジャヴはも ....
会いに行かねばと思う
30年経った父は老けたと思う
母が老けたからきっと父も老けたと思う
会いたいなんて
これっぽっちも思っていないと思っていたと思う

少ない記憶の中の彼は
またがる肩 ....
死んだ人を愛することは
じゃんけんに似ている

思うことは
与えてくれたものには勝てず
与えてくれたものは
あなたには勝てない

そうしてあなたは
思うことに勝たない
しらけた草とは
うらはらに
澄んだ大気に
映る青
ますます薫る陽の光

からだの温もりをなぜてゆく
すずやかな風へ
ひとつ鼻歌のせたみち
  雲

あんまり空が
低いので
私は泣いて みたのです

いいえ私は泣きません
ひとつも涙は零れません
とけてゆかない成分だから。


  ひとり

あなたをきずつけぬよう ....
とにかく科学は驚かせたかった
品種改良を重ね続けて
完成したのがこの
菜の花ピーマン
黄色と緑のコントラストはもちろん
春と夏が同じ種から生み出される
収穫時期はどの季節も対応できる
世 ....
おまえの乳房の形をたどって
月が闇に向かって死んでゆくぜ
ほら
見上げなよ
あんなにも
雲と星屑に讃えられて

死んで
このふしだらな世界からいなくなっちまうなら
 ....
閉め切った部屋は
つんとした匂い
 
年に一度の大掃除
何故か三月のこの季節
 
お気に入りのぬいぐるみは
部屋の一番目立つところ
 
読み終わった雑誌は
一つにまとめる
 
 ....
毎日 毎日
少しずつ
お出かけしにいくのに
気にしなかった
最初はたくさん居たんだろうね
今じゃ 残り少ない
 
『行ってきます』
今日は何時に帰ってくるの?
『わからない』
そう ....
行かないで、お願い

そう言って小さな女の子が俺の手を引いた
夕暮れ 海に落ちてゆく日は
どうしていつもあんなに決定的に
強烈に 
美しいのか

海辺の教会から ....
 僕とクラスメイトの彼は困っていた不思議なお爺さんを助けて月から行く不思議な世界のことを教えて貰った
 不思議なお爺さんは実はサンタクロースで 翌日僕らの家に不思議な世界への乗車切符が届いた
 ....
 雪が解けたら君の街まで行こう
晩秋の夜に君と春までのお別れをしたんだ
 動物達は冬に備えて食料や栄養をたっぷりと蓄えていた
 植物達は短い一生の終わりに未来へと繋ぐ子孫を残していた
 ....
時に毒となり 

傷ついた心に 沁みこんでいく

ぬけない毒は 

心を支配し 体を蝕んでいく

わかっていても 

求めてしまう 弱い意思。
満員電車が大量の労働力を
吐き出し、東京は声を上げる
坂道で女子高生はスカートを
翻し、青春が血をたぎらせる

すれ違ったサラリーマンの一日
肩で風切るヤクザの明日
ホームレスがやっと終 ....
魂を食らう胃が荒れる
混ざり合った酸い物が
食道を逆戻る

出てきた魂は
新たな人間を形取る
右目はあの子
左目はあいつ
婆の鼻と
臭い紳士の口
戯言を聞くための ....
割れたグラスを眺めていると
妙に親近感が沸いてきた

なんだかこいつは俺と似ている
そんな気分になってきた

試しに割れた欠片を拾い集めても
元の形に戻るはずもなかった

大切なピー ....
魂は啼いている

魂は啼いている

私はその啼き声に耳を澄まし
淹れたての紅茶に舌を焼く

魂は、ふと哂い出す

魂は、ふと哂いだす

私はその哂い声に驚いて
冷 ....
水町綜助さんの自由詩おすすめリスト(1447)
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