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こないだ
代官山のこじゃれた居酒屋で
イギリスの旅行記を出版したっていう
色白の女の子と飲んでてん
最初の四杯は生ビールで
五杯目からはホッピー
女の子の腕が
透きとおるみたいに ....
やっと唄えるようになった16人が
唄った歌は
たくさんの人に向かって
中空を漂っては消え
漂っては消えてしまうので
なかなかたくさんの人たちには届かず、
僕たちはもう一度中空に向かって唄っ ....
耳を澄まそう
日が翳り
灰色の雲が天蓋を覆う
低く垂れ込めて
最初の一言を
ポツリ
と
耳を澄まそう
これは
幾千億の雨粒が語る物語
その一粒一粒が ....
すべてはこのバスの中で完結している
ふとそんな言葉が頭を横切る
雨はもうじきあがるだろう
そうして所在無さげに
手すりの傘だけが残るのだろう
老人は窓と小説を交互に眺める
後ろのどこか ....
片付けすら
進んでいない最後の夜
チキンラーメン
食い尽くし
財布の中身
使い果たし
片付けすら
進んでいない最後の夜
最後の孤独を思い返す
雨が降って
外にも出れず
盗まれ ....
{引用=死ぬ気になれば何でもできる…
それは瀬戸際に立たされたことの無い人間の言葉}
新地に棲んでいた頃の母を良く知っているといって
狐目の男が自宅を訪れることがあった
その度 ....
一呼吸置く、世界だったり
待ち人は来なくとも
息は吐けます
卵の丸みを写してみた紙には
吸い込まれそうな白さはどこにもないのです
変容のない毎日です
僕らは生まれていますでしょ ....
世界に追いつけないでいるわたしに、椅子が用意され
明日という不在について語れと言う
目を閉じたときにだけ、
かつて捨ててきた言葉たちが 戻ってくる
根を、そこここに生やしては 日々 ....
昭和の名優がまたひとり
舞台を去った
平成も早20年を経、
昭和の栄光は20年前の話
40才の私にしてみれば20才の青春時代から20年後
あと50年もすれば70年前の話
私の生死もやぶさか ....
マクドナルドの隅で自慰をして
汚い安食堂のうどんで身体を温める
指の指紋が剥がれるくらい
心が痩せて
今日も化粧のノリが悪過ぎるわ
明日が春で
あさっては春
....
シャボン玉のなかの、人気の無いシャッター通りを
くぐりながら、眠れない半分の顔は暗闇の書架を見上げた。
玩具の戦争が終わったら、地平線のうしろに隠してある
重油の山を売り払って、腹が裂け ....
テレビの音が消えた時間に
アイロンをかけている
母親のすがたを見るのが好きだった
折りたたんだ洋服を
きれいに積み上げてゆく
母はやさしくて
いろんな話を聞かせてくれた
母は成人式の ....
ヨルノテガムたちが寝静まった夜
ヨルノテガムたちの月は空を埋めつくした
明るいなぁ。そして、
苦しいなぁ。と彼らのひとりは洩らした
踊るヨルノテガムたちの首筋に風は舞い
....
夜のアーケードを駅へと急いでいた
落ちていることを認識できない間隔で
落ちて来た水滴が太ももを濡らして
驚いて足元を見ると確かに路面は濡れていて
朝の路地を駅へと急いでいた
....
今年も背中を見せる
あなたの上着の裾を つまんでみる
皆 走っているからね
この子とふたり 取り残されているみたいでね
寂しくってね
私の指の小さなダイヤモンドが
電飾と歌を歌っている ....
? ?
いつだって馴れないんだ 駅を降りて
麻痺していく 牛飯屋に入って
フェイドアウトしていく感覚 ....
欠点はね、
やさしく撫でられたら
十分なのです
無理をして語らないでください
いろいろな角度から
見つめないでください
寄りそうだけで
よいのです
見渡せば ....
新しい人が来たので
かじかんだ指を暖めていた子は
背中をまるめてそっと
席を立った
それは
あまりにも静かに行われたので
だれかが席を立ち
新しい人が座ったことに
だれも気づかなか ....
買い物に出かけた初冬の街角で
あのひとの姿を見かけた
両の手のひらをパンツのポケットに入れ
開店前のパチンコ屋に並んでいた
私の姿に気付くこと無く
他愛も無い夢と引換えに大切なものを ....
流れる水辺にあって、冬の光が
点っている。てらてらとここは
静か。見えないものに、触れた
ことのない。めくらの。薄く紅
挿す頬のあどけない。水掻きの
広く、長い指の掬えない。指間
指間から ....
書くことが多すぎて彼女は手帳を黒く塗り潰してしまっている。目の前で起きていることを記さなければならないという気持ちに突き動かされて、あるがままをあるがままに写し取ろうとし過ぎている。対象に目を奪 ....
あかんべーということで
友達をあかんベーとけなすことにより
敵と味方。
敵を憎む気持ち。
あの子が欲しいと指名され
敵と味方が入れ替わることについて気持ちの整理がつかず
しかし、あかんべー ....
ラピスラズリは、青い。
惑星に似た丸い石は、原石のまま磨かれずにいて、
濡れてもいないのにいつも冷たい。
時々、水脈を聞く。
明かりを知らない水の奏でる音楽を。
明かりの届かない ....
くまをね
くまをおんぶして歩くの
会社行くときも
映画観に行くときも
フランス料理食べに行くときも
くまが可哀想なんじゃないんだ
私がくまがいなきゃもう歩けないんだ
ねえ く ....
大塚
都電の線路沿い
ホープ軒の隣の隣にある世界飯店は知る人ぞ知る世界飯店
一番の人気メニューはぱりっとした鴨焼飯
1000円
B級グルメというジャンルがあるらしい
B級
俺が今 ....
いちご味のアイスクリームが
水たまりに落ちて
七色の油が
水面を走って拡散していく
その上をコンビニのレシートが
巨大タンカーみたいに
悠々と流されていく
アスファルトにひざまずいて
....
僕の車は
ハンドルを360°回転するとタイヤの向きが360°回転するんです。
ちょっとハンドルきるだけで急ハンドルになるから。
前方に、母と子の二人乗り自転車。
しつけのためか、子は荷台で正座 ....
いろいろ書こうと思うのだけれど
どうにもうまく繋がらなくて
言葉は千切れた
そこにはもしかしたら
小さな小さな
だんまりの世界なぞがあって
そこではもしかしたら
だーれもしゃべらない ....
花の都
水の都
霧の都
東の都
東京を愛することと、孤独を愛するということは
同一である
という意見に賛同しない
猫を愛することと、孤独を愛するということは
同一である
という意 ....
赤く悲しみの双曲線が
振動する詩集の大地から海へと
祖先の秘境を辿る
今夜トウモロコシ畑は青白く燃え
河童の爪先に星は灯る
夜を一兆回湾曲させて
きのうの朝焼けに接続すると
夏は植木鉢の ....
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