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街を流れる群衆の
人と人の間に
彫刻の手が{ルビ垣間=かいま}見え
まっすぐに立つひとさし指は
ひとすじの光をおびていた
昨日のゴミ置き場で
幸せそうに日向ぼっこしていた
白い便器の蓋が
今日は無い
腰を痛めて十日間
介護の仕事を休んでいたら
先月の誕生会で
目尻の皺を下げていた
....
残業の時刻
隣の机の同僚が ぼりり と
飴を噛みくだいた
「 お年寄りにもらったの? 」
「 はい、Tさんから 」
耳の聞こえぬTさんは
お婆さん達の会話にいつも入 ....
開いた股の上で
上下する{ルビ顎=あご}
薫る黒髪の間から見上げる
{ルビ女猫=めねこ}の瞳
( にくが、唇に、すわれてゆく
天井に
重なるふたりの影
仰向けに横 ....
仏のようなよい人に
ゆるせぬ人がいるのなら
わたしに誰がゆるせよう
あの人がわるい
わたしがわるい
と
手にした糸を引き合い
こんがらがる
日々の結び目
力 ....
朝起きて顔を洗い
タオルで水を拭い
洗面所を出ると
もう
鏡から出てきた
(ねぼけた自分)
が背後からついて来る
朝食を終えて
玄関に腰かけ
靴を履き
開いたドア ....
喉が渇いたので
駅のホームのキオスクで買った
「苺ミルク」の蓋にストローを差し
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると
隣に座る
野球帽にジャージ姿のおじさんが
じぃ〜っとこ ....
その人の瞳の内に
永久の春が在り
遥かな昔から
桜の木が立っている
冬の冷気を越え
降りそそぐ春の日射し
今にも開こうとする無数の蕾に
こころは{ルビ軋=きし}む
....
小学生の
ガキ大将が子分に肩を組み
「 お前はまだ{ルビ0=ゼロ}人前だ 」
と言いながら
目の前を通り過ぎていった
大人になっても0人前のわたしは
誰に肩を組まれるでもな ....
昨日はきみを傷つけたので
布団にしがみついて
うつ伏せたまま
闇のなかに沈み
眠った
夜が明けて
目覚めると
窓枠の外に広がる
朝焼けの空
ふわりと浮かぶ
....
緑の葉を一枚
唇に{ルビ銜=くわ}え
言葉の無い唄を奏でる
黒い影の姿で空を仰ぐ
わたしのまわりが
ひだまりとなるように
* この詩は「詩遊人たち」 ....
ひとりの少年が
壁をつたうパイプの上を
猿の手つきでのぼってる
壁の頂で少年は
( 見ざる・言わざる・聞かざる )
のおどけたそぶり
次の瞬間
頂から
両腕ひろ ....
昨日は職場のおばさんの
くどい{ルビ小言=こごと}に嫌気がさして
かけがえのない他の人さえ
土俵の外へうっちゃり
しかめっ面でひとり相撲をしていた
昨晩見た夢のなかで
旧友 ....