コップを割ってしまった
深夜ひとりで
お寿司をにぎっていただけなのに
お刺身はさくのものをスーパーで買ってきた
赤くて二割引できれいだった
酢飯は作り方がよくわからないので
知 ....
 よねたみつひろ氏は、現代詩フォーラムでは「みつべえ」というお名前で沢山の詩を発表しておられます。みつべえさんが発行なさっている「風羅坊」という個人発行の詩誌の配布を申し込みまして、そのご縁で詩集を分 .... 空に埋もれた巨きな鳥を
指でたたいて確かめる音
少し傾いだ雨になる


片足を尾のように動かして
屋根の音を追っている
何もない日の生きものの笛


水のなかで抱く ....
わたしたちはいつかきっと死ねるのだから
ジム・モリソンもシド・バレットも
ヴォネガットだって死ねたのだから
今は死ねなくても
こころさわやかに朝の唄をさえずろう
ゆっくりと自分を殺してゆくた ....
ベテランのような顔をして
シャンデリアの種を探す

バルコニーから眺める景色は
ベランダの景色よりも
趣があると自説を曲げない人に
差し上げると喜ばれるのが
シャンデリアの種

僕は ....
ええと、言うまでもないことですが、この鉄道は実在します。京蘭線という路線で、1958年に全線開通しています。蘭州まで直行するのは特急列車なんですが、作者の乗ってるのは急行ですね…急行もきっと直行す ....  世代の昂奮は去った。ランベルト正積方位図法のなかでわたしは感覚する。


とうとう『楽章』まで来たね。前半のクライマックスだ。ぼくはいつも、この冒頭の一文に殺されてしまう。読むたびに、何度も、 ....
ツルファン(一般にはトルファンと呼ばれています)盆地もまた、東トルキスタン(新彊ウイグル自治区)内にあります。この区域のシルクロードは砂漠やら山やらがあるため、敦煌付近から三つのルートに分れていて、そ .... 新彊(しんきょう)ウイグル自治区、いや、東トルキスタンのことを調べていく毎に、どんどん気分が沈んでいく自分がわかる。この世界には、ぼくの知らないこと、知らされていないことが、あまりにも多すぎる。
清 ....
モンゴルは実は分断された国家で、現在のモンゴルは外モンゴルと呼ばれていたそうです。んで、現在中国領である南側が内モンゴル(蒙古)自治区、なわけですね。これは前者がロシア、後者が日本を後ろ盾として分割さ .... 「ながあめにつれそってもうふたつきになる。みずいろの笹。みずいろの岩。みずいろのほら。」

結論から言いましょう。寧夏回族自治区を舞台に選んでしまったがために、この詩世界は、完全に破綻してしまいま ....
白ロシア共和国。のっけから登場しますね。現在のベラルーシのことです。ベラルーシのお隣さんは、東にロシア、西にポーランド、南にウクライナ、北にラトビアとリトアニア、とくれば、だいたいの地理感は掴めますで .... 1958年の青野季吉(すえきち)のモルダビア紀行になぞらえた、仮想の夫婦旅行。モルダビアとは現在のモルドバのことです。モルドバはウクライナとルーマニアに挟まれた黒海西側の内陸国で、1992年に旧ソ連か .... 荒川洋治のふたつの初期詩集、『娼婦論』『水駅』。ぼくの大好きな詩集なんですが、ともに難解なことでも知られています。
大岡信が以前、(荒川の『水駅』はみんな素晴らしいと言うけど、まあ俺もそう思うけ ....
 前回登場したA氏の話を続ける。月日が経ち、ネットの海辺で呆
然としていたA氏も素潜りなどできるようになった。詩論を交わせ
る知り合いも幾人かできた。様々なサイトを足繁く覗くうちに素晴
らしい作 ....
 インターネットが現在の詩の状況に光明をもたらすとは、じつは
露ほどにも思っていない。何らかの状況変化が起きるとは思うが、
それが「光明」であるとは限らない。インターネットほど閉鎖的な
媒体はな ....
たてものの一番高いところから
真っ逆さまに飛び降りる
陽の光が足裏にあたって
全身が温かく包まれていく

下の方を見ると
あなたはすでに飛び降りている
足裏にちゃんと土踏まずがあ ....
ラクダの描き方ばかり
練習しているので
わたしの動物園はいつも
鳴かないラクダで
いっぱいになってしまう
園内を一周する小さな乗り物に
お父さんがぽつり
乗っているのが見える
 ....
うがいた
うはうがいをしていた
はははががきになるので
うがきにならない
とにははととががいるのに
はははがばかりがきになって
ときにはははははきものときものを
まちがってしまう
うは ....
校長室には牛がいました
校長先生の牛でした
健康に育ちました
たくさん話かけました
ある日牛が大きなあくびをすると
校長先生はその中にとび込みました
牛だけが後に残されました
旅 ....
身体の中に高速道路
を抱く女
車の往来があり
多ければ渋滞になった
特にそれは料金所付近で
もちろんETCも使えた
あちらこちら防音壁は壊れ
溢れて久しかった
両の乳房に顔をうずめ ....
バスに小川が乗ってきた
どこにも流れることのできない小川は
だらしなく床に広がった
立っている人は足を濡らした
座っている人は足を濡らさないように
座席の上に膝を抱えた
大学病院
 ....
服を買って着替える
着替えている途中にそば屋があったので
天ぷらそばを注文する
持ってきたのは昔の恋人だった
昔のように優しくしてくれた
着替えをしながら自分はそばだけを食べ
天ぷらは ....
真夏日、沿岸部には波浪注意報が発令され
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引 ....
皿の上には電灯があった
鶏肉がなかった、と
きみは言った
どうやって食べるのか聞くと
説明書をくれた
そのとおりに取り付けてみる
電灯はきゅこきゅこ音をたてた
飛べやしないのに
 ....
駅前の商店街で産まれ育った
近くには八幡神社があって
お祭りの時には店の前の広い道路は
歩行者天国になった
ふだん車の往来が激しい道路を歩くと
何だかくすぐったい気持ちになって
誰 ....
机の人がいた
脚がついてた
幽体離脱の
練習の真っ最中だった
汗をかいて
それでも手を振ると
余っている方の
手を振ってくれた

(2006.6.19)
薄く陽光がさしている
植物園では植物がよく育っている
今日は花が少ない、と言って
きみはラッパズイセンを植えている
母親に手を引かれた女の子が
しきりに言葉のようなもので何か話している
話 ....
父は歩き続けた
角を曲がったところで左腕を失い
コンビニの前で右腕を失い
市営住宅の駐車場で両足を失った
やがてすべてを失い
最後は昨年まで歯科医院があった空地で
一輪の花になった
 ....
笑っていれば良かった
好きなものに
好きなだけ名前を書いて良かった
右手に持てないものは
左手に持って
それでも持てなければ
空に放して
それから、かえる
透きとおった卵の日のこと ....
みつべえさんのおすすめリスト(1351)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
破片- たもつ自由詩909-8-7
よねたみつひろ氏『鬱曜日には花を刈って』によせて- ふるる散文(批評 ...8*09-4-5
ノート(夜へ_ひとり)- 木立 悟自由詩807-8-14
モンキーハウスの朝の唄- 佐々宝砂自由詩1707-4-15
シャンデリアの種- あおば自由詩7*06-12-6
荒川洋治を読んでみる(八)_『北京発包頭経由蘭州行き』- 角田寿星散文(批評 ...206-10-29
荒川洋治を読んでみる(七)_『楽章』- 角田寿星散文(批評 ...1*06-10-7
荒川洋治を読んでみる(六)_『高所の毬』- 角田寿星散文(批評 ...206-10-5
荒川洋治を読んでみる(五)_『ウイグル自治区』- 角田寿星散文(批評 ...206-10-4
荒川洋治を読んでみる(四)_『内蒙古自治区』- 角田寿星散文(批評 ...206-10-3
荒川洋治を読んでみる(三)_『ながあめの自治区を』- 角田寿星散文(批評 ...206-10-3
荒川洋治を読んでみる(二)_『消日』- 角田寿星散文(批評 ...206-10-1
荒川洋治を読んでみる(一)『水駅』- 角田寿星散文(批評 ...3+*06-9-30
荒川洋治を読んでみる(序)- 角田寿星散文(批評 ...2*06-9-30
インターネットの閉鎖性_2- いとう散文(批評 ...17+*06-8-7
インターネットの閉鎖性_1- いとう散文(批評 ...13*06-8-7
足裏- たもつ自由詩1206-7-9
循環- たもつ自由詩806-7-7
つきのよる- たもつ自由詩6*06-7-6
うっしっし- たもつ自由詩9*06-7-4
ハイウェイ- たもつ自由詩506-7-3
最初に- たもつ自由詩1806-7-1
着替え- たもつ自由詩10*06-6-28
詩禁止令第三条- たもつ自由詩9*06-6-26
鳴く電灯- たもつ自由詩8*06-6-25
赤い自転車- たもつ自由詩1306-6-22
練習- たもつ未詩・独白8*06-6-20
植物園の風景- たもつ未詩・独白9*06-6-19
父の日- たもつ未詩・独白16*06-6-18
儀式- たもつ未詩・独白12*06-6-17

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