詩禁止令第三条
たもつ



真夏日、沿岸部には波浪注意報が発令され
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引きずるのに精一杯だったのだ
溢れんばかりの愛が生産され続けている
兵士は砲台に立ち
妻の干した洗濯物が良く乾くように願った
その先に詩などあるはずもない




自由詩 詩禁止令第三条 Copyright たもつ 2006-06-26 18:50:53
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