それでも闇は………………浦にたたずむ
…………しろがね/くろがね
(犬の…………
....
ラジオから天気予報
東京地方は
雨のち曇り
所によりキャッチャーミット
所によりボールならば
キャッチャーミットでも持って出かけるが
キャッチャーミットの場合は
何をもっ ....
ボウは嵐の夜に
振り落とされたのだった
黒雲の闇からまっさかさまに
大海原へぼとりと落ちて
荒れ狂う波間に沈んでいった
気がつけば
波の切っ先が岩を削る
歩いただけで
....
自転車の前輪の
音も姿も消えてゆく
ただ後輪の影だけが
どこまでも自分を追い抜いてゆく
見えなくなる 見えなくなる
夜の光の下
深緑の猛者
おいしげる
おい ....
隣りでは君の咳が止まらずに
ウイルスが部屋中に降り積もって
負けじと僕も僕のウイルスを飛ばしながら
お互いのウイルスは僕らと同じように仲良くしてるのかなんて
そんなこと
ど ....
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた
ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
なんの特徴もない女が
シャンプーのつめ合わせ持ってやってきて
さっきからうちの風呂場で
シャンプーの中身をつめ替えていて
僕は黙って後ろから性交し
女の中に白い精液をつめ込んだ
....
言葉をなくした二人の間には
天使が通る道が出来るのだと
教えてくれたのは確か君だった
さっきからずっと何も話さないでいる
僕と君の間を
ほら
天使が団体で通り過ぎていく
天使が通 ....
青白い校庭のすみで
二人手をつなぐ
土管の中
ひんやりと湿ったコンクリートの円形が
彼らの頭から足先を連続させて
皆既月食のように輝いている
静かな夜
土管の外側は小さなタイルのモザ ....
嫌いな奴にぶつけてやりましょう。
夜をひらく火のように
あなたがひとりひらかれるたび
わたしもまたひらかれます
冷たい湖の前で
空をわたる音の前で
野を分ける火のように
あなたが放った色として
....
深夜、バスに乗る
乗客もまばらな車内
運転席をのぞくと
濃紺の制服を着た父が座っている
昔、一度だけ
大人になったらバスの運転手になりたかった
という話を聞いたことがある
どこかで何 ....
夕べどうしても読みたかった本があって確か俺は持っていたはずなんだけれど今思い出してみると、別れた女に貸しっぱなしになったままであったりする。もう15年も前の話になるので時効は成立しているんだろうか?そ ....
魚の群れが夜を飛び
鱗と涙を落としては
何も無い地を焼いていた
火の端々が鳥になり
さらに暗い夜へと去った
雲と砂の波のなかで
魚は涙を閉じていった
白と ....
水たまりに映るいさかいと雲を
雨がゆっくりとかきまぜる
人は過ぎる
空は過ぎる
水たまりの底のむらさきに
次の空がやってくる
鳴き声のように震える音が
どこから ....
花が居て
狂いたい
と言った
なにもしてやれないので
川にうつる枝のなかに立ち
はらわたの森をひらき
ここにお入り
と 言った
蝶が来て
狂いたい
と言 ....
川の向こう岸にあなたがいて
手のひらにちょうど収まる薄っぺらい石を
丁寧に丁寧に磨いています
わたしは何度も手を振りながら
早くこちらへ投げてよこしてと
大声で叫びます
そのたびあなた ....
おとこと
おんなが
ねている
おとこがめをさます
おんなのはらにてをおく
そっと
おとこのてのひらに
やわらかいあたたかいおんながつたわる
てがうごき
おんなのちゅう ....
倦んでいた
人ごみを避けると風が冷たかった
空の色が変わろうとしていた
古本屋でたまたま買った
サガンの「悲しみよ こんにちは」を
喫茶店で一気に読み終えたあと
いたたまれなくなって
ひ ....
赤い谷間を染める月が
凪いだ海の底へと
落ちてゆく
波間の暗がりに
赤が滲む
その辺縁に蠢くのは,
青い夜光虫だ
沈みゆくあなたの死体に
波が触れる,そこから
夜光虫は,静寂 ....
ほかほかの焼きイモを
2つに割って
片方を誰にあげる訳でもなく
なんとなく寂しい感じがして
片手に持ったそれを
焼きイモ売りのおっさんに渡して
一人の道を
ポケットに左手を突っ込んで
....
普通の椅子だったのに
ある日、突然
わたしは人になった
初めて目でものを見た
初めて呼吸というものをした
初めて手でものを掴んで
初めて足で歩いたりもした
椅子に座らなければ ....
よんどころない事情があって
きりんはタクシーに乗ろうとするけれど
長い首がひっかかり
ああしたり、こうしたりしても
乗ることができない
もうどうしようもないから
きりんが運転手のお ....
彼女からの手紙が
炊飯器の中で見つかった
もう
ほっかほかの
ぐっちゃぐちゃで
炊きたてのご飯はうっすら黒く
食べると微妙にインクの味がする
時おりぐにゃりと繊維をかんだりもする ....
うもれてねていた
いまはいつだろうか
どれくらい
ねていただろうか
このくらいへやでは
わからない
おとがする
こまかいおと
おおくのかさなる
しんどうがする
ごはんをたべ ....
ロンドン リージェントパーク アルバニー通りの僕のホテルと
ハウランドストリートは
市街地図では同じH3の桝目の中で
日曜日の朝早く 僕は出かけた
地下鉄ポーランド駅の裏通りを
茶色 ....
ゆいごんじょうをかけという
まいにちまいにちゆいごんじょうをかけという
ふるほんやにいっていっさつひゃくえんのぶんこぼんをかえという
まいにちまいにちかえという
びょういんへいけという
でき ....
ニュージーランドにいるキウィという鳥は
羽がすっかり退化してしまっていて
空を飛ぶことができない
夜行性のその鳥は
夜になると木の穴の中などから出てきて
えさを探す
もちろん飛ぶことが ....
いま、北川透の『荒地論』を読んでいる。なにをいまさら荒地派などと。。。と思われる方も多いかもしれないが、WW?敗戦直後の日本において<詩を書くということ>の意義を、それを単なる個人的な創 ....
流されるように
従ってきた
働くとは
こういうものかと
思ってきたが
部品はいつか壊れるように
許容量にも
限界がある
出張先から
帰ってきての
報告で
笑いながら
居てもいな ....
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