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空に埋もれた巨きな鳥を
指でたたいて確かめる音
少し傾いだ雨になる


片足を尾のように動かして
屋根の音を追っている
何もない日の生きものの笛


水のなかで抱く ....
{ルビ寒気=かんき}の傷
素手しか使わず皿まで喰らう
激しい美食家たちに囲まれて
{ルビ砂傍=さぼう}と{ルビ別梳=べっそ}に
おまえの知識は吸いとられてゆく


 ....
花を探しているのに
目に映るのは死体ばかり
戦乱はこうして
新たな緑の苗床となるが
少女はいつも
涙をこらえることができないのだった


ひと続きの岩は
やわらかな苔に覆 ....
たくさんの葉のなかの
ひとつだけが震えていて
どこか見えないやわらかなものへ
届かないくちづけを繰り返している
この道は誰が奏でる笛なのかさみしいばかりかなしいばかり



雲のない空を見上げて歩きゆく光を知らぬ光の穂の道



はたはたと星をつかんだ曲がりかど野をわたる声ふりかえ ....
道端の一本の木に
子どもが何百人も隠れていた
東の方から来たのだという



水がほしいというので
水をあげていたら明け方になった
狭い場所と
大きな音が嫌いだというので ....
やわらかな魂のいる
逆さの方向から
血まみれの魂が来て
もういいんだ と言った



わたしは着ていた服を脱いで
一枚一枚かけていった



わたしは朝で
わたしは海 ....
荒れ野が片方の目に鳴り響き
もう片方の目に指揮を促している
痛みの無い緑の涙を流す
ひとりの観客のために奏でられる波



波を聴き終えたひとりのものが
誰に向かってかさえ ....
すがたがすがたを
かたちがかたちを追いかける
線だけがゆうるりと
異なる時間に重なってゆく



光と無音がつくるまなざし
視線の端で 笑みの隅で
あなたはあなたを ....
鏡に残る真昼の熱が
道のにおいを解いてゆく
光と光がつくる爪痕
左目から空を切りひらく



午後の川の上をゆく
鳥のかたちをした銀河
流れのない流れの色を
照らすものなく ....
人のなかに 波のなかに
言葉を放ち
よろこびもしあわせも捨てようとしている
見知らぬ雨 見知らぬ路
見知らぬ緑
石にはね返る言葉を見つめていた


誰もが居るのに 誰も見えない
 ....
ひとりの子が
ひとつの楽器の生まれる様を見ている
作るものも
奏でるものも去ったあとで
子は楽器に愛しげに触れる
おずおずと うずくように
楽器は
花になる



新しい言 ....
この先
いきどまりです


木陰の看板を
すぎてゆく雲


誰かの何かが持ち去られ
小さなものひとつ分だけ足りない世界の
午後のガラスの路を歩む


春は銀 ....
わたしは投げ出す
わたしは拾う
手は銀になってゆく


つばさ失く飛ぶ火が越えてゆく海
ただ音だけで造られた海のむこう


骨と魔術師との対話
夜に生まれ
朝に消え ....
冬の陽は降り
地は紫になり
雪は一言に昇る
翼は一瞬を負い
朝を蹴立てて
音は姿を撒いてゆく


雨のつづき
戻らない色
薄目をあけた午後の
窓に映る抱擁


すべ ....
ひらたく長いパンの両端を
いとおしげに抱えている子
何度も 何かに捧げるように 
持つ手を変えては見つめる子



パンはやがて消えてしまうけれど
君のからだの一部になる ....
先の尖った柱は寒い
鳥が一羽も近寄らない


たくさんの巣に囲まれた
先の平たい柱の横で
自身を削ってはうたを歌う
削らねば歌えぬうたを歌う


背を向け 火を聴く鳥 ....
思いがけない玩具から
いくつも朝が現われる
適度にすすけた声からは
何羽も鳥が飛び立ってゆく


現われては消え
融けこんで
小さく小さく また現われる
朝も 鳥 ....
こおろぎが歌っていた
草むらに伏した子の
目の前で


太陽のない午後の理科室
もうすぐ終わる授業中に
床と天井の間に浮かぶ
水銀色の粒の柱


青空と灰空と
白 ....
白 灰 午後 虹
放られたままに響く冬
窓に映る野を馳せる
手のなかの声 粒の声
まわる色 重なる色
水に濡れた小さな神話の
終わりとはじまり


陽から降りつづ ....
そんなひまがあったら
     窓を開けて月に吠えます
そんなひまがあったら
     空をつかみ鳥になります
そんなひまがあったら
     雲をちぎり雨を描きます
そ ....
右耳に車は聞こえない
左耳に降る金属音
追い抜くたびに空は笑う
切れぎれに拍手は過ぎてゆく


飛び去れ
飛び去れ
ひとりと
ひとりの道
ひとりの自転車の他はみん ....
やわらかな文字が降りてくる
葉の裏側の粗い緑に
次々と染まり 降りてくる
朝の方位へはばたく鳥の
青い青い羽の炉心へ
影はたなびくように落ちてゆく



午後の淵 ....
低い雑音が
長い指で部屋を握る
振り落とされそうになりながら
いつかは終わる
いつかは終わると
言葉を噛みしめながら
揺れを震えを聴いている



誰の声にも触れ ....
かえで
水の かえで
誰のものにもならない鳥が
目をふせ
何かを見つめている
少しずつ
少しずつ ひらく羽


雨の朝のかたすみの火
濡れた葉の色
羽の色

 ....
自転車の前輪の
音も姿も消えてゆく
ただ後輪の影だけが
どこまでも自分を追い抜いてゆく


見えなくなる 見えなくなる
夜の光の下
深緑の猛者
おいしげる
おい ....
夜をひらく火のように
あなたがひとりひらかれるたび
わたしもまたひらかれます
冷たい湖の前で
空をわたる音の前で
野を分ける火のように


あなたが放った色として
 ....
魚の群れが夜を飛び
鱗と涙を落としては
何も無い地を焼いていた
火の端々が鳥になり
さらに暗い夜へと去った


雲と砂の波のなかで
魚は涙を閉じていった
白と ....
水たまりに映るいさかいと雲を
雨がゆっくりとかきまぜる
人は過ぎる
空は過ぎる
水たまりの底のむらさきに
次の空がやってくる


鳴き声のように震える音が
どこから ....
花が居て
狂いたい
と言った
なにもしてやれないので
川にうつる枝のなかに立ち
はらわたの森をひらき
ここにお入り
と 言った


蝶が来て
狂いたい
と言 ....
みつべえさんの木立 悟さんおすすめリスト(30)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ノート(夜へ_ひとり)- 木立 悟自由詩807-8-14
おまえに- 木立 悟自由詩106-2-17
鳥の子- 木立 悟自由詩306-2-5
ノート(くちづけ)- 木立 悟未詩・独白605-6-15
ノート(道)- 木立 悟短歌805-3-21
ノート(入学式)- 木立 悟自由詩704-11-11
ノート(波際)- 木立 悟自由詩304-10-13
ノート(片目)- 木立 悟未詩・独白404-8-11
ノート(残像)- 木立 悟未詩・独白5*04-7-30
ノート(銀砂音)- 木立 悟自由詩304-7-5
異路- 木立 悟自由詩6*04-5-8
器の子- 木立 悟自由詩1204-5-7
凹光路- 木立 悟自由詩804-4-21
銀の手- 木立 悟自由詩704-3-19
天響的黄金- 木立 悟自由詩604-3-4
ノート(笑み)- 木立 悟自由詩504-2-20
ノート(柱)- 木立 悟未詩・独白304-2-17
ノート(朝)- 木立 悟自由詩304-2-14
ノート(誰も信じてくれないもの)- 木立 悟自由詩404-1-21
降り来る言葉_Ⅹ- 木立 悟自由詩503-12-26
ノート(ひま)- 木立 悟未詩・独白403-12-14
ノート(自転車)- 木立 悟未詩・独白603-12-2
真昼- 木立 悟自由詩403-11-2
十五の春の走者- 木立 悟自由詩603-10-24
- 木立 悟自由詩303-10-24
ノート(40Y.7・4)- 木立 悟自由詩403-10-17
こがね- 木立 悟自由詩503-10-7
先魚進紀- 木立 悟自由詩703-10-6
冬と光- 木立 悟自由詩803-10-6
ノート(緑透火)- 木立 悟自由詩1703-10-6

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