なまぬるい水道水がでてくるように
母の
セリフめいた会話にみえかくれするようになったやさしさ
ささくれ
父の所在
定点カメラから送られてくる映像
兄弟のマグあるいは祖母のゆのみ
あるいは ....
ふり返れば
ずいぶん長い春だった
ということになるんだろ
誰でも実際には数日から5〜6年
長くてもせいぜい半世紀

保険会社の再建策を綴った白い封書が届く
居留守電話には彼からのメッセー ....
望んで望むべく
生まれて
今日まで
はぐくまれても
それは
結局
望ましい
あなただったのですか


望まれていますか
だれかに だかれて
狂っている間は
忘れても


 ....
人間誰しも年を重ねるごとに知恵をつけるものだ。
全くの未知なる世界のことが少しずつ分かってくる。
大人達の作り上げた社会のことが少しずつ分かってくる。

小さい頃、大人は全員が「大人」だった。 ....
またその話か…。

正直、私はうんざりする。何度同じことを言わせるんだこの人は…。私は、兄と一緒にほぼ絶望的な説得を続けていた。

私たちの言いたいことはひどく単純だ。足を悪くしたその人に、こ ....
もしも許されないなら 
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
 
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで 
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く ....
とりあえず20年後か15年後ぐらいに総理大臣になろうと思う。
日本初の詩人兼総理大臣になる。
いま考えている公約としてはまず首相官邸をゼネコンとかでなく
日本全国の各市町村の腕利きの棟梁たちが集 ....
川沿いに歩いて ようやく
国道まで出た
ぼくたちは、しばしば
夜を迷う
ぼくたちには靴がなかったけれど
それはたいした問題じゃなかった
歩くべき道を
さがすだけの、夜を
迷っていた
 ....
私は尖っている

ある面はつるつるのまんまるなのに
いつも微笑んでいたい 
という願いが
そこにはある

ざらざらと大きくくぼんでいるところもある
このくぼみは
がっちり滑らないよう ....
支えあうのはたいがいにして
自立しましょう

追いかけるのはもうやめにして
掴んだ襟元からその手を放しましょう
そして自分の足で立ちましょう

三度の食事や給料日を待つも
はるか昨日の ....
無数の穴から噴出されるのは8倍に希釈されたカルピスである

薄口の白濁液が霧吹きから噴出され、辺りを汚す

無数の穴から乱射されるのは濃縮され尽くして形を持ってしまった言霊である

訳 ....
ある友は移動中のバスで吊り革に今朝もぶら下がり
車窓が雨に濡れるのを見つめながら
渋滞で出勤時間の近づく腕時計を見て{ルビ苛=いら}ついていた

もう一人の友は勤務先の病院で
昨日の眠れな ....
あんこの煮かたをおそわった
美しい母のそばにうろついて
台所で遊んでいた幼い頃に

小豆はたかいから贅沢ですよ
ささげを茹でてつぶしたあとで
木綿のふきんで皮を濾し
大きなお鍋にお砂 ....
流されていく言葉の端にも
空の順列が
少しずつ結び付き始めている
この街にも人は零れていて
青でいっぱいになって、いつか身動きがとれなくなる

沈んでいけるのなら
そこに沈み込みたい
 ....
やわらかな
風が吹いている
丘の上の

さようなら

たくさんの公園と
澄んだ小川と
空き地と

苺の庭と
カブトムシと
サッカーボールと

さようなら



そう ....
今、あくびをしたのは誰だろう

今、勉強の途中で灯油を入れているのは誰だろう

今、ボブ・ディランのCDを聞いているのは誰だろう

今、足のむくみに気づいたのは誰だろう

今、明日は7 ....
東京は
私たちの隠れ家だった

誰も私たちを知る人などない街で
なにもかもを忘れたふりをして
ただのオトコとオンナになるための
狭くて大きな隠れ家だった

東京タワーも水族館も
 ....
金色の光が屹立する夜明け

決してどんなものにも

とらわれることのない

自由で満ち足りた空

刹那につながる

この限られた地球と無限の天球

この世界に共に存在することの ....
霊的だと言われた

精神が少し動いた

でも自分で引き戻したんだ

罠が多いんだよ

この世界は

落ち込んでしまわないように

気をつけて

時には遠回りしなくてはいけな ....
同居人が茶を飲みたいというので
ほうじ茶をあける
煎った匂いと
もっさり感に打たれ
枯葉の思考と
つぶやくぼくを
蓑虫に仮託して
小枝や枯葉を身一杯まとい
門にぶら下がって
押し黙っ ....
暴力は
暴力でしか
止めることはできない

ならば
おれたちは
ただ黙ってオルガンを
奏でようじゃないか
殴れらても
蹴られても
銃口を突きつけられても
ただひたすら
黙ったま ....
いつか
笑い飛ばせる日のために
一枚の部屋に絵を描いている
暖かい一日の始まりと終わり
そこに溶けていく人たちのように



降り積もる行き止まりに
立ちすくむ人を見ている
その背 ....
どうしてあなたがいるのですか

どうして私に光を射すのですか

どうして木陰の、あなたの隣の席を
私にくれるのですか

どうして希望を与えてくれるのですか

どうして星を教えてくれる ....
       封じ込めたい
       想いだけでは
       精製できない
       透明な水結晶

純粋でない核        宇宙との狭間
命を拒む冷気        気圏 ....
その指先に
凍れる紅をさし
頬の産毛を粟立たせ
きみは
街なかの雪に泳ぐ


手のひらで固めた結晶は
赤い目を探すうち
もはや雪でなく
氷の透明に変わっている


そんなにも ....
「タンバリンをね
買おうと思っているのよ

できれば
きれいな色がいいわ
菜の花色の黄色とか
桃の花のようなピンクとか

ターンターンって
飛び跳ねるような音が鳴ってね
パリョーン ....
私は今日あなたがくれた食べ物を食べた
あなたが買った音楽を聞き
あなたの運転する車に乗った

味わう舌は
足先のリズムは
助手席からの笑い声は

わたしのもの。

ぼさぼさの髪型を ....
驚くほどのことはない
わたしは、空中に髪をほどき
視線を結着させている
あこがれは、あこがれ

先天的な太陽は、この時
肺の浮沈までも漂白して
果ての分裂を結晶化している
わたしは、今 ....
平和の島
カニバリズムの島
人を喰うことを
習慣としながらも
平和だった島
南の海に浮かぶ
緑豊かな島

ある時 ....
幹さん詩の朗読を教えてください
というメールがさいたま県草加市の女子高生から来たので
月曜に池袋で待ち合わせた
新宿のMARZで見たのだという
体験したのだと!
つまり、既におれを知っている ....
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