破綻
落合朱美


もしも許されないなら 
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
 
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで 
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く声が出せずにいるのです

貴方を愛した女の影に怯えて
貴方が愛した女の香を嫉んで
醜く膨らんでゆく私を笑って

抜け落ちる髪を引き留める術を 
私は知らないのです

こめかみを撃ち抜かれて
深い淵へと沈んでゆく私の手を
微笑みながら貴方は放して

嗚呼 それは

もういちど私が生まれ堕ちるための
儀式なのです






自由詩 破綻 Copyright 落合朱美 2006-02-19 13:18:41
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