満ちる、まで
たりぽん(大理 奔)


真新しいランプで
秋の波を
どこまで照らせるだろうかと
また、
鳴き砂の浜辺で
波泡のざわめく
境界線を見つめている
小さな音を立てるのは
そこに居たという証で
胸の奥に
忘れ去った
記憶の弾ける
そんな秒針の刻みだ
右手のランプよりも
不思議な色に波を照らす
はんかけの月が
満ちるまで
思い出そうか

それとも
潮が私を
消し去るほど
満ちるまで
立ち尽くして
忘れることも忘れて

この胸の
境界線で生まれる
小さな音に
満ちるものが

満ちるまで




自由詩 満ちる、まで Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-10-13 23:32:44
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