キャンプ場の我が家で帰りを待つ
たりぽん(大理 奔)

ささやかな我が家は
海風を松林がさえぎる
小さなキャンプ場に
僕と君の子供の手で建てた

細引きはしっかり引っ張ってとか
ペグは斜めに打ち込んでとか
入り口の向きの決め方とか
寝心地のいい傾斜とか

子供の教科書には載ってない
ささやかな建築技術に
目を輝かせて
君の子供は笑う

引っ越しのような
大荷物のキャンパーは
ワインなんかを開けてるみたいだけど
僕は焚き火でココアを温める

海鳴りとわたりの風が
心地よくフライシートを揺らして
夜は100円ショップで手に入れた
フライパンで焼肉、焼きそば

二人は家族のように
屋根のない食卓を囲んで
何でも適当に焚き火で焼いて
星空に火の粉をばらまく

すっかり君の子供が
寝袋で寝てしまった真夜中に
仕事を終えた君が帰ってくる
ハイヒール履いてタクシーで

ささやかな我が家は
君と君の子供と僕の寝息で満たされて
  明日になれば
  そんな未来を夢見たいねと

すっかり酔っぱらいの
君は
寝言なのか
寝言じゃないのか

僕は朝なんて来なくて良いと
また小さな風で
  松の小枝が
  テントを叩き




自由詩 キャンプ場の我が家で帰りを待つ Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-05-30 00:27:09
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