すべてのおすすめ
月のようでもなかった私は
君にうすぼんやりとした影を
もたらしたり
することもなかった
輪郭を
持ちはじめた気持ち
境界を求めてはいけなかった
あいまいなまま
分針が何度、 ....
風をつかもうとして
草をちぎってしまった
てのひらが
鳥を呼ぼうとして
こんちくしょうと叫ぶ
声が
心のかたちを確かめたくて
君のからだを抱きしめた
腕が
今夜もずれてい ....
透明は恐ろしい
隠すことを拒むから
透明はずるい
隠さないふりをして
その深みに秘密
透明が重なってできた
その暗闇に
いつか遠い日に出会う音
誰かの死んだ鍵の
大理石に落ちる音
すでに決せられた、今
・・・を巡りあいと呼ぶのなら
遠すぎて忘れてしまうほど
遠い日の約束を、
型録に載ってる幸 ....
岬の先の夕暮れ
小さな星を示して
十光年離れているから
あれは十年前の光だ
と、言う君は
教科書のようだ
でも今見えている星は
そのまま今
の、{ルビ一番星=シリウス}
足摺 ....
紙屋町から橋を渡ると
折り鶴に祈りを捧げるための
順番待ちの列
それは確かに祈りのかたちだが
朝夕の公園掃除とは
似てもにつかない
ベンチに座り
おにぎりを取り出すと
えらそうに鳩 ....
一人で行った交通科学館からの帰り道
環状線で小学生の僕は
財布を落とした
鶴橋駅の連絡改札は
近鉄線の切符が必要で
連絡切符を買っていなかった僕は
家に帰れない
途方に暮れる僕に ....
失ってしまったと
知らせに突かれて
霧雨の中へ飛び出したから
取り込み損ねた洗濯物のように
さびしく湿ってしまった
時計は無慈悲に
時を奪っていく装置
刻んで ....
学割九千八百円の
上海行きの船が岸壁から離れていく
思っていたよりも船は速く
もう見送りの姿も遠く
そのくせ船はゆっくりすすみ
行方は遙かにかすんでいるので
夢をもて ....
君と
君の子供と
駝鳥牧場に卵を買いに行く
大きな鳥に
君も
君の子供もはしゃいで
{ルビ接写=マクロ}切り忘れて
携帯で駝鳥と撮った写真は
すべてがぼやけて
僕らの風景 ....
忍者のように
美しく
妖しい
魔を呼んではいけない
呪いの言葉で
欲しかったのは、技じゃない
求めたのはその先にある
{ルビ術=すべ}
彼方で
....
春に降る雨で
体のかたすみが
ざりざりです
暗闇に体を置いて
ぬくもりだけに委ねれば
心の対流で
とりもどす
ほんとうのすがたで
触れようと指を伸ばすと ....
手帳の中で森は
もう少しだけ明るかったろうと
右手の温もりを
むせかえる羊歯の
暗闇からたぐってみる
いつか満たされると思い
満たされたがっていた
月が
ま ....
舗装された道の
ペイントされた、とまれ
踏みつけられた骨の色の
見上げる季節の樹香
舞い散ってへばりつく
美しいという名の死骸
立ち上がれない
ペイントされた、とまれ
月が ....
墓標に刻んだ自分の名前に背を向けて
てのひらはいつまでもとどかないのです
生きることの意味を知らされないこぶしが
硬く握られたその先で照らして
夕日が水平線を越えて旅立つこの場所で
朝日 ....
踏みつけていた
いつの間にか踏みつけていた
{ルビ直線歯車=ラックレール}
きれぎれにされた
人生のように
強さだけを必要とされて
ずっとつながっていました
峠を越えるの ....
君はいろいろだね
幾何学を解明しようと
君にキスをしてみる
そのたびに知らないかたち
騙し絵のようで
のぼったりおりたりする君は
いろいろなかたち
そんなことは
説明なんて ....
ゆくえをさえぎる雲は
散っていきました
春です
昨日までの私はふるえていました
波に洗われる消波ブロックのように
、ふるえていました
風に吹かれる朽ちて傾いた電柱のように
、 ....
この、聞こえない左耳で
この耳で聴いてみたい音
それは、世界に
あふれる音ではないのです
時間を追い抜いていく時計の刻む
バンアレン帯に太陽風が吹き付ける
海溝の暗闇で深海魚のため息
....
見知らぬ小鳥が
甲高い声で
空にむかって告げたので
今日は見知らぬ春
葡萄の一粒が、私の中の
行ったこともない場所で
裂けて、流れ出す
見知らぬ季節
もう二度と会わない風が
....
幼い頃知っていた
時間を巻き戻す
不思議な眠り
思い出せないままの
まっ赤な空がいつまでも続く
{ルビ夕餉=ゆうげ}の前の過ごし方
秒針も知らず
時計も持たず
生きていけた
....
風のための門を
行き来する影がみえる
波を越えて続く
その道を
懐かしさではなく
今日の温度で
宿命でも運命でもなく
それはタンポポ
土手に降りそそぐ
季節の日差しに
僕は目覚める
旅立ちにはもってこいの日だ
風は南南東
ロウソク工場の煙から推測するに
風速は2メートル
....
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた
....
明日を、呼ぶ言葉は
失われてしまった
先程くべた小さな薪が
二人に残された最後の言葉
炎を囲んでいるというのに
横たわるこの夜の湿気は何だ
天赤道上の星の名を詠んでも
横たわるこの
....
冷たい雨の暗がりが
ぼんやりと寂しく誘う
私を溶かし込むには
ちょうどいいおおきさで
ほほにつたう
みぞれの砕けた{ルビ飛沫=しぶき}
雲からはぐれた
それも孤独
いいわけ ....
落日
蜃気楼のよう
だけど蜃気楼じゃない
焼かれるのは
空じゃなく
今日という日の末路
果てるような
限界線
焼かれるのは空
じゃなく
花が咲き乱れ
緩やかに風が渡る高原を
想うのはもう やめた
飛べないのではなく
飛ばない虫
穏やかな海に向かう
明るい窓を
開けるのは やめた
鳴けないので ....
これから明けていくというのに
どんな闇より深い
口笛が
聞こえる
とぎれがちになるのは
灯台が
瞬くから
そして波が
騒がしい
そう、音が
熱をともなって
肌を
突きぬ ....
はじけてしまいました
裂けてしまったんです
中身は半透明で
つぶつぶが少し混じっていましたが
甘い汁と一緒に
流れ出してしまいました
裂けた皮だけが
残ってしまいまし ....
まほしさんのたりぽん(大理 奔)さんおすすめリスト
(60)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
月のようでなく蜻蛉
-
たりぽん ...
自由詩
12*
06-7-17
初夏の断層
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-6-21
とうめい
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
15*
06-6-8
邂逅(或いはエフィメラ)
-
たりぽん ...
自由詩
10*
06-6-3
星よ、ほしよ
-
たりぽん ...
自由詩
13
06-5-25
使者とは呼ばない、鳩よ
-
たりぽん ...
自由詩
12*
06-5-22
駅・鶴橋
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-5-18
湿った夜の回折格子
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-5-13
埠頭・小さな決意の
-
たりぽん ...
自由詩
9+*
06-5-7
駝鳥牧場に卵を買いに行く
-
たりぽん ...
自由詩
12*
06-5-4
技術という方法
-
たりぽん ...
未詩・独白
8*
06-4-27
雨、あばかれる黄砂に
-
たりぽん ...
自由詩
13
06-4-15
プテラスピス
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-4-13
踏みつけてふりあおぐ、春
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-4-11
漕ぎ出す春、夕日へ
-
たりぽん ...
自由詩
14*
06-4-7
駅・軽井沢
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-4-5
かたち、君のかたち
-
たりぽん ...
自由詩
9
06-3-31
ふるえて、空_見上げて
-
たりぽん ...
未詩・独白
7*
06-3-28
モノラル、聞いてみたい
-
たりぽん ...
自由詩
12
06-3-28
見知らぬ、春
-
たりぽん ...
自由詩
12
06-3-25
冬の終わりの草笛が
-
たりぽん ...
自由詩
7
06-3-19
かよいみち
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
16
06-3-4
タンポポ、旅立つ日
-
たりぽん ...
自由詩
13
06-2-26
二台の洗濯機における青春の一考察
-
たりぽん ...
自由詩
37+*
06-2-23
君は、季節をはずれてしまった
-
たりぽん ...
自由詩
11*
06-2-22
傷、いとしく
-
たりぽん ...
自由詩
10*
06-2-19
夕刻、焼かれるのは
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
28*
06-2-17
つなぎとめるものはだれ
-
たりぽん ...
自由詩
11*
06-1-25
残闇の口笛
-
たりぽん ...
自由詩
12
06-1-20
忘れな葡萄
-
たりぽん ...
自由詩
12*
05-10-7
1
2
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