ポストのない街まで
たりぽん(大理 奔)


街角でポストが見張っている
僕は急いで携帯を隠す
桜の葉が、ぬるい風にざわめく
雨!

雨の予感だ

宛名のインクが溶けぬよう
ビニールのファイルに挟み込む
ビルディングに巻かれた雨粒が
上からでも、横からでもなく

  走り抜けてみようと思う
  乗り越えられない
  胸の痛みなら
  それも旅行カバンに詰め込んで
  走り抜けて
  辿り着く、その果てで
  まだチリチリと痛むなら
  それは僕の
  罪
  として

ポストが半開きの目で
見張っている
僕は急いでこの街を出る
ぬるい風、雨

なにもかもが
渦巻いている





自由詩 ポストのない街まで Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-05-08 22:24:23
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