夜風、夜の風
たりぽん(大理 奔)

夜風をくれるひと
真昼の温もりがさめた後の
森の湿り気の冷たさ
ビル風が懐かしいとき
吐息のように
寄り添って

いつも真夜中を知るのは
まぶたを閉じる仕草
あちこちに仕掛けられた
罠のような時計達じゃない
ガムを噛むリズムまで監視している
安っぽい罠、じゃない

  あの高原で
  アンタレスやペテルギウス
  (赤いのは鉄塔の警告灯)
  吹き抜けて、香りで
  どこにいても君を知らせる
  髪の匂いの
  在処をついに知らず

はなした指先の
行方を名付けることもなく
真夜中、夜に吹く風
つぶやいたけれども
君はかきけして
ただの吐息
手のひらで握りしめて




自由詩 夜風、夜の風 Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-05-06 01:36:44
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