人と知り合って話すとき、お酒を飲むとき、困る話題がある。
それが、恋愛の話、だ。
わたしは生まれて一度も人と付き合ったことがない。
自分の名誉のために言っておくと、
言い寄られたこ ....
俺、神なんだよ。
男はそう言った。
そうかい。
僕はそう返した。
「神だって言ってもな、何があんたらと違うって訳じゃない。姿形もあんたとほとんど同じだ。」
男は僕の ....
あなたのいのちにきょうめいして
あたしのからだのいちばんおくの
ちいさな鈴がふるえてる
あたしのものとはおもえない
きれいな音で鳴っている
たまたま会った美しくない女と
素敵なカフェで夕飯を食べる
私はお酒を一杯、彼女はお酒も飲まない
話さないとつまらないので
楽しそうに話す私
誰でもを愛せそうに見えるだろう ....
茶色い爪先は陽に焼けているのではなく、
陽を吸い込んでいるのだ
日焼けした老人と同じ色の
みずみずしい大根を屠りながら私はぼやく
どこだか、ここはと顔をあげると、いつぞやの相模原のお ....
1
もう、
ふりかえらないのだ
髪をゆらしていった風は
束ねることはせず
つまさきは
後ろに広がる汀を
走れない世界にいて
こころだけがいつまでも
波になりたがっている
....
亡羊とした耳が熱を帯びて、手にした砂時計のガラスを溶かしていく。零れ落ちる時間の束を必死でかき集めるのだが、砂は先へ先へとこぼれていくのでいつまで経っても追いつかないのだ。炬燵の中で散々こき使われて ....
夜に沈んでいくてのひら
蒼い灯りは微かに私の頬をなぞる
くすぐったいよ
くくとないて
泣き虫だねと言われたの むかし
今でも泣き虫だよ わたし
ひとりぽっちで地球に立って きみは
....
百花繚乱に煙る 夏の夜空をバックに
綿菓子や林檎飴を手に手に
すぎてゆく人々の自由気儘な横暴さ
俄かに沸いた川べりの雑踏
何処となく、ふてぶてしい輩の座る
露店のならぶ賑わいと傍らの ....
1.
もわもわ
と、ふくれあがる嫉妬心
あなたが遠くをみつめるその先に
見えるはずのない影を見ては
心に広がる黒い雲
2.
クルクル
と、まわる私の猜疑心
ゆう ....
通り雨がきらきら光り
僕の目に髪に肩に降りかかる
誰もいない薔薇園にひとり
堅く閉ざされた空を見つめていた
傘もささずに僕は
風に心をさらされたまま
果たされなかった約束は
いま ....
わたしは感じてしまう
小綺麗に片付けられた部屋の
飾り棚の上で
あなたは仲間達と腕を組み
屈託の無い笑顔をこちらへ向けて
壁際に吊るしたドライスーツからは
泡立つ潮騒の音色がする
そんな ....
橙に染まる部屋に横たわる、私
声を出したところで
誰一人として居ない部屋
ひとりきり、
夕焼け、曖昧な時間に取り残されたくなくて
黙ってじっとしてる
あなたの帰りを待つ、私
もう橙は眠っ ....
わたしは時々、石になりたい
そして夜の一番暗いところで
じっと丸くなり
わたしの冷え冷えとする体に
とても美しい夢を備え
いつかわたしを拾い上げる者に向かって ....
二人が出会ったのは単なる偶然
出会いは必然と言う人を私は皮肉った
顔も知らない、背丈も知らない
名前も知らない、何も知らない
それでも君の描く絵は好きでしょうがない
キャンバスに垂れ ....
破って、あげるよ。
きみのたまごのいいとこ、みたいなその声で、
わたしは目隠しされているのです。日々、わた
しはわたしが嫌いで、でもきみのことは好きで
わたしは目隠しされているのです。何も ....
くらむ、あしもとでひとり、
すうじをかぞえていました
たったままねむったりして
そのまま
どっかのおとこのひとにだきしめられるなんて
ゆめ、のようですね
にじんでゆく、
というこ ....
旅行から帰ったら
あなたと
さくら見たいです
あなたのメールに
胸が詰まる
そう
そうだね
はなびらが
はらはら落ちる川沿いは
きっとまだ
風も冷たく
見上げた角度に ....
ねぇ、そもそも、
からだの中心ってどこに
あるのかしら?
ただ、
丸くなって眠るきみは
ドーナッツのなかま、みたいねぇ
まんなかの空白のふしぎがやがて
きみの中心のような気が ....
幹さん、
どうでもいいですけど
高円寺のキャバクラで詩人っていう名刺配りまくるのはやめて下さいよ。
大将二号店で2本目のつくねをほおばりながらキムがつっけんどんに言い放った
どうでもいいけどキ ....
寂しいのでしょう
暗い部屋の中であなたの帰りを待って
将来もこうなっていくのかと
部屋の隅にいて身を潜めていた影が広がり
つま先まで冷たく私を包むのです
布団に転がり残り香をかいで
甘酸っ ....
親父は定年退職し
母ちゃん専業主婦となり
息子のぼくは半人前
母ちゃん家計簿とにらめっこ
ばあちゃんが払う食費も1万ふえて
なんとかやりくりの日々であります
雨もりがあふれる床
....
カップのそばで角砂糖が溶け出した
テーブルの向こうの景色が甘くゆがんで
青く透明な空気がゆれる
濃いめのコーヒーがくちびるにふれると
ひろがる香りとまざりあうことば
でき ....
ここに書き込むのは初めてです、フユナですコンバンハ。
「消えてしまいたい」というこの題名に惹かれた方に読んで欲しくて、
今日の自サイトから日記を転載したものです。
不幸自慢だと思われてしまうかも ....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる
アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
パーティーは散々だった
おやすみ、のあいさつの方角へと
だいだい色のシロップが
ゆっくりと流れて
しだいに
粘性を増してゆく、
夜の
水の底で ゆうべ、まき散らされて
わたし ....
膝をたたみ 目を伏せて
思い出すのは
折りたたまれた空に見つけた夏のかけら
黒髪が 風を誘った雨上がり
わたし ここで猫が飼いたいの
....
輪郭だけをのこしたまま
あのひとがいなくなってしまったので
いつまでもわたしは
ひとりと半分のからだで過ごしている
明かりの消えた部屋で ひとり
アルコールランプに、火を点ける
ゆ ....
くもひとつない
あおぞらも
すきだけど
よるにみせる
ふかいあおが
もっとすき
ふかくて
ふかくて
ずっとみてるうちに
くろにかわって
でも
そんなへんかにも ....
「もう落ち着きたいのに」
と君が話す
落ちて着くなんて
そんなにいいもんじゃないよ
君が居るその場所から
どこへ落ちて行きたいの?
まだまだ昇って行けるのに
そこより下で辿り着く ....
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