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パーティーは散々だった
おやすみ、のあいさつの方角へと
だいだい色のシロップが
ゆっくりと流れて
しだいに
粘性を増してゆく、
夜の
水の底で ゆうべ、まき散らされて
わたし ....
輪郭だけをのこしたまま
あのひとがいなくなってしまったので
いつまでもわたしは
ひとりと半分のからだで過ごしている
明かりの消えた部屋で ひとり
アルコールランプに、火を点ける
ゆ ....
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた
それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
....
{引用=晩夏におとずれた出会いを、わたしはいとおしくてたまらなかった。}
最初のデートでどこへ行ったかも忘れてしまうくらい、あなたのことだけを見ていたので、わたしたちにはアルバムをつくる時間 ....
疾走感 と 焦燥感 の
折り重なった狭間で、
ドライブ
車の窓から手を出して
うしろへ、うしろへ、
流れてゆく景色を
さわって、あそんだ
ときどき
指のあいだをすりぬけて
流 ....
手をつないで
深いところまで、いってしまった
引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、 ....
1.
かみさまは、どこですか。
2.
かみさまは、どこですか。
道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩 ....
呪文をおしえてください
あのひとまで、とどくような
たとえ とどかなくてもいいとさえ
思えるような
わたしを消してしまえるほどの
それは
風にも似て
耳もとをとおに過ぎてから気づく
....
さよなら、と言って
去っていったあなた
の写真に
穴あけパンチで
はじっこから
パチン、パチン、と
等間隔で穴をあけていった
ら
もう、その写真は
あなたじゃない
かもしれない、と ....
使いかけの、ビデオテープ
しまっておいた写真
あの夏の昼下がりの、切符
片方だけの、イヤリング
買い置きのシャンプー
どこへでもいけるね、って言いあった
あの日の、
あの日の約束
....
あいたいひとが、いる。
それはある種の、あこがれ。
もしかしたら、あえないのかもしれない
けれど、そうであってもかまわない
という思い
けれど、あったら、なにかがきっと変わる
そういう ....
やわらかく夜は
わたしと明日のあいだを流れてゆきます
あなたは
向かいあう見知らぬひと、や
すれちがうたいせつなひと、や
ほんの1ミリのすきまでとなりにいる
わたし、
が
ふい ....
並木道の
みえない、ずっと向こう
から
容赦なくやってきた足音
を
かんたんには受け入れられない、
決して受け入れちゃいけない、
と わたしは
いつまでも
スカートのすそに
砂のま ....
要るもの、
要らないもの、
要るもの、
要らないもの、
ねぇ
そこの、おにいさん
要らないものを別の誰かが
要るもの、
要らないもの、
要るもの、
要らないもの、
ね ....
ほら
きょうは もう
ひ がおちる ね
と いいながら
遊歩道ぞいの木々は
うでいっぱいの
はっぱ を
するするとみまわし
だれが いちばん
きいろいか
えらぶのに
いそ ....
無数ともいえる
ボタン
を
ひとつずつ、かける
かけ終えたそのとき
もっと別の
なにか
きらりと光るような、に
心をうばわれて
せっかくかけ終えたそれ
を
一気にはずす
そんな ....
はっきりと見えない
セロハンのような
それ 一枚が
へだてている
ような
わたしたちは
角度によって
ときどき 見える
それ のせいで
近づけずにいた
沈黙に見とれてしまいそう ....