水晶にろ過された水ほど美味いものはない
ある天竺の行者が言った
彼は24日間水だけを飲んでいた
それを知るために20年の歳月を費やした
誰に指図をされた訳じゃない
ただ行者の言ったことを ....
薔薇が咲いた夜は
遥かにむかし
遠くまで
遠くまで
時間はさかのぼる
君は薔薇を咲かせて
僕を昂らせた
永遠に昇る
螺旋階段
薔薇は
螺旋階段の
踊り ....
耳をとざしたほうがいい
ことばを思わないでいいから
目もひらかず
ただ触れていたい
指で肩で舌で
そのからだの奥を覗きこむような
こまかな息づかい
一度は奪われた草木を甦らせ
半透 ....
引っ越してきたばっかりなのに、
ほら、ここは、神さまの家に近いでしょ。
さっき、神さまが訪ねてきたのよ。
終末がどうのこうのって、うるさかったわ。
だから、持ってた布団叩きで、頭を叩いてや ....
はやらないことはやらない琴線の
ことはことばかわからない
じゅげむじゅげむ
なんとかなるさ
にんげんだもの
しらんけど
男雛女雛
ならびて透る緋毛氈
右近左近、たちばなさくら
今 ....
幻のステージに、
昭和を生きた女がいる
鳥の羽根で飾られた衣装を纏って
ジャズとロックンロールと演歌を混ぜた
──アジアンであり、
──洋風でもあり、
戦争に負けた戦後の日本みたいな
....
深海の水底に眠る者たちよ
我らはいま至福の中で歌っている
君たちは永遠に若く
我らは次第に歳をとってゆく
君らが捧げた{ルビ生命=いのち}は
決して無駄ではなかった
傲慢な思想 ....
*
ねじれた果実の熟すころ
死は昨日のように訪れた
時間の底に焦げついた
小さな獣の影
かどわす風にいま黒い水を渡る
古い橋の真中から
栞を落とす子ども
その萎えた手の甲か ....
朝のみそ汁から
かつて棲んだ磯の香りがした
循環する水にうまれるいのちのすき間
それをすくいそそぎ入れた
湯気が消えてゆく空にうかぶ
一羽のかもめ
炊きあがった純 ....
今日はオマエが氷壁から滑落して30年
オレは毎年この日に伽羅を焚いている
何故もっとオマエを止めなかったのか
記録を求めて命を賭けるのが解らない
あの酒席でもっと叩きのめしておけば
毎年この ....
うす赤く 少し伸びたる バラの芽に
ちいさく光る 霧雨の粒
酔いたい自己肯定感が居て、雨後、腰痛いよ。
よいたいじここうていかんがいて うご こしいたいよ
イルカ愛す存在。酸素吸い明るい。
いるかあいすそんざい さんそすいあかるい
寝た ....
夢の橋を渡ると、
ショートボブの君がいた
会えて嬉しい
と、可愛い仕草で笑う
それからふたりは、
君の村まで歩いて行き、
南国風の立派な家で
沢山のキスを
揚げたての天ぷらで食べ ....
嘘巣くう。問い掛けただけ、解答崩そう。
うそすくう といかけただけ かいとうくずそう
担当飛び火、鳶ひとっ飛び。ヒント日々尊んだ。
たんとうとびひ とんびひとっとび ひんとひびとうとんだ ....
地球という星がある
国境はない
猫に餌をやってから
今日のことを考えよう
子宮から出てきて随分経った
時々帰りたいが
もう帰れない
もう帰らない
ラ、
ララ、ラララーン
高級食材が半額になる
奇跡の瞬間、魔法のシール
ら、
ら ら ら
シールが貼られるまでの
ワクワク タイム~♪
グルル、グァオウ!
飢えた 猛獣 ....
恋せよ、去勢後。
こいせよ きょせいご
ナイス、闇! 親しみやすいな。
ないす やみ したしみやすいな
猿が集り、青い恋を有難がるさ。
さるがたかり あおいこいをありがたがる ....
無い島、凍結。冷たさが傘溜め続け、疎ましいな。
ないしまとうけつ つめたさがかさためつづけ うとましいな
ゆっくりとした歪み。水浸しと陸、梅雨。
ゆっくりとしたひずみ みずびたしとりくつ ....
あちこちでびん笛がはじまる
うち幾人かは胴をうまく叩いている 薄暮
目は子ども時分からよくない
たくさん撲たれてきたからさ
と、隣のじいさんが笑った
にごった水晶の弛みや
かわるが ....
メレンゲの夜
それはそうだ、
固まってしまう
色の無い刺繍糸で
編みこんでいく
君の体は
気持を置いて
でていってしまった
ここにあったのは
変色した果物
片方しかない手袋 ....
ただの一言も発することがない
二月の青空はとても孤独だ
ひとみを綴じた兎が
木の袂でうたた寝をしている
冬は自我をうしない
薄く目を開けて、この青い空を
くちびるをかすかに動かして
....
どうして
こんなに平穏なのか
冥土へと導く と信じられたホトトギスも
いまは五月の鳥
森を抜け
砂の砦みたいな監的哨跡にのぼって
海のまえに出ると
もう詩に出会った気がした
壁 ....
月に葉隠れとはいうけれど
そぞろ虫の影におびえる酩酊者
道端で眠る小地蔵が倒れて
まだ青い無花果の実が零れ落ちている
....
もう起きるのか
朝から騒がしい 春と冬がもめている
どちらも「まだだ」と言い張っている
冬眠していた生き物も目覚めが悪い
始発の電車はすいていた
ゆっくり座席に座り
眠気の中で私の中のあた ....
夕映の 風にそよぐ
お堀端の柳の枝は青々として
「今夜も、蒸すのかね…。」
低く重なった綿雲を見る
蔦吉の 下駄の鼻緒は切れていた
「仕方ないね。」
下駄を脱ぐ右足
....
いとけない手で編まれても
欲深い手で編まれても
花輪は美しい
無垢な蛮行を模倣しながら
夜に膨らむ瞳
まばゆすぎる印象は
その死を辺りに放射する
遠い星に似ていつまでも
開きっ ....
「茶トラ猫、あの日以来…来ないわねぇ。」
近江屋、厨の上部の隅
かけてあった梯子を床から上げる おゆうは独りごちる
そして 三畳の間に敷かれる煎餅布団に座って
脇に置かれた小 ....
今日たまはお腹が一杯で痛いと言うので
急いで近所のATMに連れて行った
下痢気味でジャラジャラとうんちをしたら
ATMが詰まってしまい
救急車を呼んだ
待つこと30分
このATMはお札 ....
今朝の音楽は短調ではなく長調が似合った
何時もの苦い珈琲が何故か甘く
正確なメトロノームが響きあって
ぼくたちに奇跡の扉は開いた
あまりにも透明な
薄く虹色に染まったシャボン玉
誰 ....
それはこれのパクリやんて続けたら
いつのまにか独り
パクリでもすがりつきたい
みかづきのはじ
新月になれば落下する
不時着し
さがしもとめた
蜃気楼から
かきならせさけべ
....
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