唐辛子を陽に干している

ワックスかけたてみたいに
艶やかだった彼女らは
日ごとしぼみ
くすんで
ぼやき
手をとりあって
しわしわになる
光の中で
そのしわは
小さな影を織りなし ....
ペリっと剥がして
セロテープ
いつだれが何の目的で
気づかれずにただそこに
一枚佇む
ぺりぺり剥がして
さようなら
思えばそこにあそこにも
よくよく見ればあっちこち
一枚一枚丁寧に
 ....
操り人形のように生きてきて
大人から子供になったような人生で、君を傷付けるなんて思ってもみなかった

姿が見えない
心が見えない

自分の心は丸裸なのに
泣いていることにも気が付かない
 ....
 
                                                                            
大切な人が死んだとき
勿論、ぼくは生 ....
両開きのメニューにすっぽり収まった君の顔

新幹線のプレートを指さして

「これがいい」

って無邪気に笑う君

少年時代は特急から眺める景色みたいに一瞬で過ぎ去るけど

一つ一つ ....
川端康成的なもの

左手の小指薬指の
欠けた少女よ

僕は君に恋をする。

君に微笑むことは出来ても

結ばれない
約束すらできない少女よ

僕は君に恋をする。

そして、 ....
見つめていた風が
 いつのまにか
ぼく の頬に触れた

やがて 
このまま 真っ直ぐ 下にある谷に
ぼく は抱かれるだろう

巨きな魚が蝶を呑むように
 腹の中に
ぼく は消えてい ....
どぅわし、知てますか?

鼻毛を伸ばしたままのブラジルさんが尋ねてきた

どぅわしです

どぅわし?

瞬時に日本語検索を脳内で追いかけると前頭葉あたりがホカホカしてきたので
帽子を ....
僕の東側から
今日も君が昇った
コーヒーの香りが
ほんのり温かい

他愛無い話に
マーマレードを塗りつけて
右目は美人のアナウンサー
左目は君の笑顔

ベーコンエッグは
半熟 ....
神さまがいたらいい
いるのかな
いてほしいけど
いてくれるって思わないと
もう無理なところまで来てる
、脅すわけじゃないけど
実はもうすでに
(間違えたやり方だと
心の底のどこかで
 ....
 貴女滑稽で妖しい

 またこんな季節が巡ってきた
 名月を仰ぐ野分の風も乏しく
 焦がれる余裕もなく 
 日常に背中を押され
 されど視覚からのニュースで

 滑稽で妖しい貴 ....

あんまり得意やないんやけど
て とむ がゆうて
しゃあないなぁ
て じむ が
箸をのばしてきよる
なにが 違たんやろ
せやなく
なんで変わらへんのかったんやろ
誰かの思い ....
次郎さんの家は、火の山峠へとつづく
坂道の途中にあって、そのちいさな車
は、登るときも下るときも、まるで不
機嫌な家畜のように、激しく四肢を踏
み鳴らすのだった。
直径八キロ余りの島の真ん中 ....
揺り椅子のうえで目をとじる、彼女
ざわめきを
聴いている



上手く死ねたら切符をかおうか、
ぼくらをつくった神様を
つくった神様にあいにいこうか



揺り椅子ふらりら  ....
リオで改めて思ったけど
やっぱ君が代って良いよな

他の国はどこもかしこも
勇ましいだけの曲調でさ
戦意高揚が目的っぽいじゃんか

それに比べて
君が代は
君主の時代が永遠に続きます ....
一枚の紙に、今から100年分のカレンダーが載っている。

想像できるだろう。

このカレンダーのとある日に、きみは死ぬ。

想像できるだろう。

なにもしなくてもきみは死ぬ。

想 ....
花埋める愛した過去に追悼の土をかける

何時もとは違った日君とサーカスが一緒にやってくるだろう

君はいつもどこからどこまで急がしい奥さんにしたら疲れるだろうか

檸檬は梶井基次郎だがきみ ....
初めて知った
深夜には誰でも
猫の姿に戻るらしいと
どんな旅行者も
どんな政治家も
どんな偽善者も
どんな異教徒も
眠りに落ちれば
本性を現すらしい
しなやかなその背中
つやのある ....
これから、残りの人生の時間が、
どれくらいあるにせよ、
読める本の数や、聴けるレコードの数を、
どう埋めてゆくのか、ということについて、
これから、すこしずつ、すこしずつ、
考えていきた ....
ほんまは祇園祭の笛が聞こえる七月頭に帰ってきたかってんけど
宵宵宵宵宵宵宵宵山ぐらいの時期に
公民館から流れてくる笛やら太鼓の音を聞 ....
雨は綺麗だ
ひどくやみ上がった空はうつくしい
衣服が濡れて透ける
心までが裸になるのだ

終わり欠けの虹を見る
どこへいく
どこへいってもスマートフォンは繋がる
恋人からは逃げ ....
 真夜中に飲むアールグレイに心は踊る。
 記憶の中のバレリーナのようだ。
 真紅の液体はほんのり苦い。
 記憶の中の初恋のようだ。

 煙草を一本。あの頃の記憶が蘇る。
 あれは横浜の ....
青い闇の中に
うすく光って浮かぶのは
吊された
右半身だけの
白いレースの婚礼衣裳だ

その左半身を
纏って逃げ去った美しい少年は
そのまま白い流星と化したという

そもそもその衣 ....
      僕は途方に暮れている
      渡したいものがあるけれど
      今日は誕生日でも
      記念日でもない
      項垂れるむこうに
      ぽっかり浮かぶ
 ....
生きる理由をかぞえている東京の部屋で
だけどつらいと泣いてる独りに
ふと友人からの一通のメール
一枚の花の写真に、添える言葉はなく でも
君はこのさびしい堂堂巡りに句点を届けてくれたんだよ
 ....
いつも何かを
思い出しそうになっている男がいた
道を歩いていても
仕事をしていても
本を読んでいても
酒を飲んでいても
時折手を止めて
思い当たるふしのある
顔をする
そして結局思い ....
「食べる」

早朝から釣りに行った夫が、すずきを一匹釣ってきた。
君は大喜びして、おさかな、おさかな、と言った。
水面をパシャパシャとのたうち回った姿はまだ想像できないかもしれない ....
夕焼けこやけで気が触れて
山のお寺に願い事
お手て見つめてみな返そう
カラスも食べないプライドを

一生涯にまき起きる
不幸と幸福量同じ
本当にそうならあの時の
幸福の値高過ぎる
くやしさたゆたう
たぷたぷたまる
ひしゃげたおさらに
ひたひたたまる

すやすやねむる
ぼうやとおじょうにゃ
おとなになるまで
ないしょだよ

たいくつへんくつ
きゅうく ....
ほんっとバカだったよな
羨ましいくらい自由で
でもなにかを抱えてて
時おり寂しい一面を覗かせてた
そういうところに弱かったんだ
遊んでいるようにみせて
誰より努力してて気づかせなくて
 ....
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