朝靄の しんとした公園で
  ゆりかごが一頻り揺さぶられ
  あかるい 幾つものさびしさが
  同じ数のむかでに変わるまでの間


  わたしたちは決して変わらないだろう
  ....
わたし何も見えなくなればいいのに
聞こえなくなればいいのに
云えなくなればいいのに
感じなくなるのが一等いい(たとえば空腹)
そんなことばかりを考える鴉は
鴉のなかでも異端で
おんなじ黒い ....
 

ビリビリに引き裂いた
力任せに 泣きながら
それでも気が済まなくて
鋏でジョキジョキ切り刻んだ
その切れ端を 徹底的にシャッフルした
元の形などわからないように
二度と思い出さな ....
唐辛子を陽に干している

ワックスかけたてみたいに
艶やかだった彼女らは
日ごとしぼみ
くすんで
ぼやき
手をとりあって
しわしわになる
光の中で
そのしわは
小さな影を織りなし ....
「孤島」

樹や動物と共に棲み
助け合うことを知っている
ひとに蹂躙されない
蹂躙しない
等身大の月のひかりにただそよぎ
喜び 哀しみ 反射する
時に痛い波濤をかかえ
消滅を怖れない ....
軒にぶら下がった
てるてる坊主
風に吹かれて
ブチリッ
遠くの空へ

そして、2週間後、
彼を見つけた
近所の家に吊るされた彼は
見違えるほど
たくましくなっていた

彼の顔は ....
包丁がなまってまったく切れず
庭に出て塀でごりごり研いできたところだ
落ち葉や新聞紙で試すとよく切れる
刃先をゆっくりと撫でてみたい気もして
それはぐっとこらえて
あらためて台所に戻ると
 ....
あなたの席は
私の前

姿を見ると
いつしか目で追って

あ、今日も来てる
って嬉しくなる

ある日から
あなたの席は
ぽっかり空いたまま

来るかな、来ないな
なんて考え ....
午後の羽の蝶が群がり
枝は一時 空に呑まれる
実は鉱に転がり 水に落ち
空へ還る空を見つめる


砂漠の火花に
鳥は降りる
そこに在ったかもしれない命の
無機と無 ....
無私の愛が
人の魂の病を癒し
魂浸透した肉の病すら和らげる

冷える秋夜の森の静謐に
天使たちは降りて来るのだろうか
自愛に充ち病んで倒れる己の魂の許に

あの遠い日の海の夜明け
靄 ....
舌先で像を結ばない
時代の陰りの不安漠然とした
――漏出か
灰に灰よりも濃く灰を溶き混ぜた
ような雲
 も 時折 
    裂 け
息苦しい断絶の青さ遠くかもめのように過る
無垢のまま ....
光を打つものの影が
空に映り揺らめいている
二本の穂の墓
影が影に寄り添ううた


切り落とされても切り落とされても
見えない部位は羽ばたきつづけ
音の無い風が生ま ....
冷たい雨音を遮りながら
仕事帰りに紺色の雨傘は
静かに溜息をついていた
鉄道駅に着いたので
ちょうど雨傘をたたもうとして
夜空を閉じるときに
満月がみえると本当はいいのにねと
何か反実仮 ....
骨のはら、平らかにひろがってゆく
りと、たってしまう。そよぐ音が、声が
あることの根をふるわせよ、ふるえ、よ、と
しきいにふれるか否かの下方でなる

よよ繰りかえす「ことのね」のれつ
おん ....
虚しさは
ろうそくの炎のように揺らめいて
正体を見失う
スマホをスクロールさせても、行き過ぎてしまって
たどり着きたい所にはいけない
私たちは正しく嘘を粉飾できないでいる

街灯ひとつで ....
気忙しく男は高みから息を吹きかけた
後退りする光の中でいつまでも己の内を見つめ
色を失くして往く
女を見続けるのは正直もう嫌だった
白く
すべてを
終わりの先の始まりの
まだ始まる前の上 ....
ぼ~と日が暮れていく
西のお空を真っ赤に染め上げ
暮れて行く

澄んだお空に星が瞬き
東のお空にお月さまが昇る

恋しいよ
あったか団欒恋しいよ

烏もお宿に帰るころ
家路へ急ぐ ....
踏み付けられた
つぶされた
わたしはそれでも
生きている


揉みくちゃになり
みっともない
姿になっても
生きている


茎が折れて
羽根のような葉もちぎれ ....
むかし
凍えて死にかけた野良猫を
お風呂で温めて助けた

その猫はそれから
私がお風呂に入ると
いつもお風呂場にやってきた

洗面器にお湯を入れてやると
自分からお湯に浸かり
静か ....
以下は、文字と音の実験詩です。
詩を朗読しています。宜しければこちらもどうぞです。
https://youtu.be/3R5yliaT0bs




ひらひらひらひら
蝶のよに飛び散っ ....
さようならアメリカ
たぶんぼくはアメリカが好きだった
ジーンズが好きだった
コーラが好きだった
ポテトチップスも好きだった
さようならアメリカ
自由と平等と人種差別の国よ
民主的で覇権的 ....
いつのまにか
ぼやけてしまった
染みが
もう存在が消えようとする、その瞬間に
ようやくこころの片隅に
いろを
発生させて
 
うまれるよ
うまれるよ、と
存在を主張し始める

 ....
裸の男が消えたあと
庭の片隅に不思議な植物が生えてきた
ひとつひとつの葉がのっぺりと丸く
それが重なって層をなし
傍目には一個の大きな球体のように見える
つやのない葉は太陽の光を反射せず
 ....
ほそく
だけどまわりの庭木よりたかく
そよいでいる
白樺の梢の辺り
黄ばんだ葉の疎らな繁りにふと
青いまま
いくつか
乾きながら
さわさわと光にそよいだころの
面影を残し


 ....
ユトリロの白の時代の終焉は
小さな教会を過ぎ
角を曲がれば
景色が変わり
曇りかけた空 薄暗い白壁が
もう見えなくなっただけのこと
かもしれない
道を挟んできょうかいと向き合い
キャン ....
葉っぱが熟して沢山実る
烏がかあかあ笑ってる
子どもがあれこれ考えながら
落ちた葉っぱを拾ってる
落書き帳に貼りつけて
色鉛筆でなぞってる
赤青紫黄色に茶色
真っ白な紙に紅葉が実る
赤 ....
冬めいて部屋に取り込む鉢ひとつ

冬めくも猫を{ルビ抱=いだ}いてミルクティー

くちびるが一番先に冬めいて

冬めいてなんの未練もない鳥よ

パソコンを切って冬めく夜を知る

手 ....
違う心を持った太陽と空と雲
仲良しになったり喧嘩したり
きょうの雨は誰が悲しくて泣いているの
光がみえないから太陽さん?
青がみえないから空さん?
二人に意地悪したのは雲さんなの?
ハンカ ....
雪を待つ私の
胸元にはロケット
合金が一瞬で物語る
季節の走馬灯のように
大好きな白いアネモネが
十月に殉じたことを
解放されたね
そっとささやいて悼む
風のなかあんなにも自在だった花 ....
生まれてきて
その時に寿命を告られ
生きてゆく
それは秋の日に感じること

冬が来る前に
毎年告げられる言葉

来年も生きていられるのか
誰も知りはしない

もうすぐ正月がきて
 ....
田中修子さんのおすすめリスト(900)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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鴉なぜ、鳴かないの- もっぷ自由詩416-11-19
パッチワーク- Lucy自由詩18*16-11-19
今夜はペペロンチーノ- そらの珊 ...自由詩10*16-11-19
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a_fine_day- opus自由詩116-11-17
なまくら- 春日線香自由詩516-11-17
車椅子- rikupoyo自由詩116-11-17
夜へ_ふたたび- 木立 悟自由詩716-11-17
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ある朝こぼれ- ただのみ ...自由詩12*16-11-16
ふたつ_冬野- 木立 悟自由詩1716-11-14
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よにふる、雪。- 青木怜二自由詩6*16-11-13
かたむいていく夜- 小林螢太自由詩9*16-11-13
めぐり_哀歌- ただのみ ...自由詩6*16-11-12
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生きていくこと、- 葉月 祐自由詩12*16-11-11
湯治- ガト自由詩12*16-11-11
- 水菜自由詩8*16-11-10
さよならアメリカ- ただのみ ...自由詩18*16-11-9
_染み_- 小林螢太自由詩13*16-11-9
おのころ草- 春日線香自由詩216-11-8
青いままで- ただのみ ...自由詩10*16-11-5
春は皮下に萌す- はて自由詩5*16-11-5
スケッチ- 小原あき自由詩5*16-11-5
冬めく- そらの珊 ...俳句14*16-11-5
雨の理由(わけ)- もっぷ自由詩216-11-5
東京_#3- もっぷ自由詩216-11-5
晩秋- レタス自由詩416-11-4

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