人間としての純粋さは
美しすぎる少年のように夭折した
私はそれを補うものとして
社会という書物を解読する意欲に満ちて
純粋なサラリーマンになった
だが純粋なサラリーマンはあっけな ....
お気に入りの
Tシャツの上で
猫が寝てる
どいてくれって
言いたいけれど
言えなくなった
ただの居眠りのくせに
そんなに
幸せそうな顔するなよ
君に会えないから会いたい
君にさわれないから会いたい
君の声が聞こえないから会いたい
君の匂いがしないから会いたい
君がいないと切なくて淋しくて
君に会いたいからあぁ痛い
心が
熱帯夜に
惑わされて腐乱した睡眠から
止め処なく垂れ流れるゲルは
黒い卵を内包していた
寝息が言葉に染まって
過去の幻像を描くとき
醗酵したゲルは悪臭を放って
野を枯らし 街 ....
痰に執着が絡んで上手く吐き出せない
過去に想いを馳せて 石橋を叩いて 渡らない
どの様な姿が陽に当たって影は無念だったのか
それとも地平線まで心は太平であったのか
おぼろげな足取 ....
風呂をたてると近所の家族が集まっていた頃のこと
風呂水運びはぼくの仕事だった
三十メートルほど離れた小川から
両手に水の入ったバケツを提げ運ぶ
萎えそうになる気持ちを
腕の力を鍛え野球選手に ....
人は決められた事を
決められた通りに行動する
まるで機械のようだと思った
人と同じ僕もやっぱり機械で
自分らしく生きてきたけど
それは意志ではなくプログラム?
遥か雑踏を離れて
孤では在りえない存在を確認する
収拾のつかない順序をゆっくりと整理する
いきることは水底をしらない漣
序連で奏でられていた通奏低音は
変化しまどろみ羽化すべき朝を
....
若い女子の親友二人組
あなたたちのおしゃべりは誰の毒にも薬にもならず
その笑顔は野の花のように何物とも親しい
時間をせき止めることも空間を汚すこともなく
お互いだけに通じるユーモア ....
物質の贈り物 物に罪はない
が
センスの悪さを隠せない包装の隙間
から
得体の心得ない損得もしない
が
もみあげくらいの重さの不愉快さが耳にかかる
気持ちだ ....
人生が辛くなり死ぬ人がいる
死ぬ病気じゃないのに死ぬ
しかも自分で自分を殺めるのだ
死んだら辛くないのか
死んだら楽しいのか
自分が自分に殺されて痛くないのか
心や体が嫌がっているのに
....
新しい朝がまたやってきた
いつもと同じ朝がやってきた 人々は
歌を歌い 私は真っ黒な
絵を描く
大きな絵を描く
かすかに聴こえるこの歌は
聴こえるか聴こえないかのこの歌は
苦しい中に ....
木々があいする木漏れ日のこと
川がめでるせせらぎのこと
雨が求めるつちの渇きのこと
太陽がほしがる水溜まりのこと
夕日があこがれる水平線のこと
朝陽がのぞむ暗やみのこと
....
きみの真っ直ぐな眼差しに あたしは
耐えられなかった 大人のふりをして
夢みたいなこと言っちゃだめ なんて
夢を見たかったのは あたしのほうなのに
あたしは臆病だっただけ
子供か ....
ないものを
あることにする
あるものを
ないことにする
私たち姉妹は嘘つきだった
なんでも切れるナイフのように
いつも嘘を手に持っていた姉
風船のように嘘をつき続ける私
....
どんな女の子にも
あなたに似ている部分のひとつやふたつ
探そうと思えばいくらでも探し出せる
ローソンで目が合った
母親に連れられた中学生
あなたにそっくりだったよ
初めて出会ったとき
....
ふとした瞬間に既視感
溺れるような甘い苦しみ
前にも同じ思いをどこかで
どうしようもなくあたたかく
溢れてくる光の粒と
かなしいという言葉そのままに
揺れる水面と滴る雫
あなたの ....
地球の最も深い場所には
信じられないような形をした
魚たちが住んでいる
しかし非常に暗いので
その姿は
お互い知らないままである
春の海はまぼろし
蜃気楼の楼閣さえ彼方に浮かんでいる
わたしを呼んでいるように
遠い海鳥
緩慢な波
割れた貝殻
ただ砂にうずもれて
あの子のか細い肩甲骨はもうさびしくなか ....
遠いベッドで寝転んでいると
小窓のカーテンの向こうから
おいてきぼり喰らった僕の声
銀河鉄道の夜を見送っていた
この世の悪も善も乗せてゆく
悲しみも退屈も希望も喜びも
....
君の放った言葉の矢が
僕の胸に刺さった
焼け付くように痛むのは
君の痛みが伝わったからで
僕は傷ついてなどいない
むしろ
君の痛みを
少しでも代わってあげたくて
でもどうにもな ....
握った手を、離すことが出来ない。
絡まった指先を、解くことが出来ない。
熱がこもる掌が
冷たい手と心を暖めるようで
「その手を、ずっと・ずっと繋いでいたい。」と
あなた ....
この目で
見たままに
撮ることの出来ない
写真のように
この心で
感じたままに
伝えられない
言葉がある
今ここに
あなたを呼んで
この景色をみせたくて
あなたを抱きしめて
....
今日は
風がお休みだから
空気がのんびりしている
日向ぼっこをしている庭を
転げまわる
子どもたちが
僕の人生の
すべてになる
老いるのも
成長するのも
同じ時の流れ
ほとんど同じ
服しか着ないのに
ストレスが溜まると
服の買物へとはしる
ぺんぎんがいる
広い海には百貨店があって
青空を飛べないぺんぎんは
翼を使って海を泳いでいく
飛べないことを
....
私は恐れる
あなたがいないことを
あらゆる色が黒ずんで
呆ける、まるで雲のように
どこにも秘密はない
偶然鍵穴があいているだけ
いくつさしこんだろう
時には思い出をまさぐって
....
会ったばかりの私に
おそらくとまどっていた君
馴染みの大人にばかり
声を掛けるのは仕方ない
だから
私は傷ついてなど
いなかったのだよ
君がスッと差し出した手に
握られた小さな ....
「傘なんか要らなかったね」
そんな風に笑っても
どこか気分が沈んでいるのは
心の霧が晴れていないから
空から覗く光が見えても
未来の事が分からないから
....
消し飛んでしまいそうな
この想いを
受け止めてくれる
熱が
そこにはなかった
冷たい水滴が頬をつたう
....
朝の電車は何かを探している
遠くにある理想的なものを探すのではなく
近くにあるけど
いつもの通路にあるけど
まだ発掘されていないもの
新しく降り注いで来るものを探している
....
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