ある日、あなたの背中に
窓があるのを見つけた
開けてみると
普通に外の景色があった
眩しければ鳥になるといいよ
とあなたが言うので
わたしは鳥になって
空へと飛びたつしかなかった ....
あめんぼ、
みずたまりから、
いなくなってしまった、
ごくありふれていた、
虫、
ごくありふれていた、
あなたの、
「いってらっしゃい」や、
「おかえり」、
という声も、
けっして ....
レタスがいのちをもっている。
わたしなんかより。
小さく千切られた彼のほうが
みずみずしく、麗しく、愛くるしく。
レタスにフォークを突き立てる。
ドレッシングの不純さが、
少しだけここ ....
みまちがえるほど
美しくなったきみは
微かに少女の面影を残して
窓際の席で紅茶を啜りながら
リルケの詩集を読んでいた
机を並べていた頃は
何でもなく話せたのに
椅子に画鋲を仕掛け ....
引き出しの中の小銭のように
ちっちゃな幸せは
身のまわりにたくさんころがっている
一杯の酒を
楽しみに生きることだってできる
一編の詩を
楽しみに生きることだってできる
隣人との茶飲み話 ....
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
見渡すかぎり 認められたい花
....
狂った磁石をバッグに詰めて
スニーカーの紐をキツく締めたなら
寂びれたこの街を出よう
何処に行くかは解らない
あの虹を求めて出かけよう
明日はきっと晴れるから
そこはぼくのParadise ....
君に誘われて
始めることにした交換日記
続ける自信はないけれど
何を書けばいいのかな
悩んでしまいすらすら書けない
君は好きみたいで
楽しんで書いている
その勢いに飲み込まれ ....
なかなか雨はやまない
僕は夢想する
星空模様の傘をさして
君のところを訪ねたい
ジャム一瓶ほどの幸福をたずさえて
なかなか雨はやまないから
君のもとへ辿り着くまでに
傘も溶けてしまう ....
もしも君が疲れているのなら
此処へ来るといい
美味しい珈琲を淹れてあげるから
何なら安物のウイスキーくらいならあるさ
もしも君が退屈ならば
此処へ来るといい
音楽を聴かせてあげるから
....
一喜一憂しても
始まらない
雨の日も風の日も
寒い日も暑い日も
生きていかなければならない
置かれた状況の中で
日々前向きに生きていかなければならない
後戻りはできない
ゴールは目の前 ....
尻の曲線に墜落した
堕ちたのは、
きっと酒のせいだ
窪みから下腹部を抜けて
波打つサテンのシーツを泳ぐ
女の夜は満天の星空で
凍った涙のように美しかった
柔らかな乳房の谷間で
....
命をかけた病魔を打ち破り
遥かなる壁を越えて
やっと此処までやって来た
秘密の呪文を唱えながら
また明日の壁を打ち破る
決して辛くはないのだ
生老病死は当たり前
毎日が楽しくて ....
illusion, delusion, hallucination
不断の悪夢
を見せたのは誰
*
硬質な悲劇の突き刺さる胸
から流れる
見えない血
*
....
デパートで
初めて父に買って貰った
Paul Smithの長財布
嬉しくて愛用し早、十年以上になる
人前で出すのも恥じる
レザーの色褪せ
子供の頃 離婚した父と ....
人格は
別れる時に
よくわかる
喧嘩別れは最悪だ
人生の節目節目で
いい別れかたができるように
心がけることが大切だ
やすらかな君の寝息をそっと聴き
独り静かにグラスを傾むける
まどろむ君に{ルビ詩=うた}歌い
もう一杯とキッチンに氷を求め
明日の天気を占った
酔い夢を…
否! 良い夢を
....
{ルビ静謐=せいひつ}な夜空に浮かぶ銀の月
きみの頬笑みを映している
手を伸ばして黒髪を撫でようとした
届かない指先が震える
届かない…
なみだひとすじ
ひとしずく
....
○めでたさも
感じなくなってきた
古稀の元日
○女房と健康
失ってみるとよくわかる
元日の朝
○隣の猫さえも
いなくなると
やっぱり寂しい元日の朝
○今日は何日か
ボケ ....
わ~い
自動ドアだぁ
裏で奴隷が
歯車を回す
人力で
わ~い
デジタルだぁ
裏で社畜が
データを入力
手作業で
この街がネオンで彩られるころ
あの街の空には爆弾が降り
....
ドライブする
現時点で何も決めてない
直感に任せてみる
行かないような場所だったり
綺麗な絶景に出逢えたり
色々決めるのもいいけれど
直感に任せてみるのも
楽しいと思う
気 ....
氷雨ふる
揺らぐ湖面の深川鼠
畔のみち樹木の間、
銀の飾りの濡れぬれて
あの高い枝の末端から
最後の一葉、落ちたなら
老婆の干からびた爪の先
ひび割れる音がしない ....
舞い落ちる
木の葉をそのままに
冷えた肩を抱きしめた
さてと
フリーウェイを飛ばして
海へ行こうか
山へ行こうか
そこにはいまだ見ぬ君がいるかもしれない
冷えたエンジン ....
酒房に足をふみ入れたとたん
行方の知れなかった心が
戻って来た
日頃 胸の底に巣喰う黒いものが
熱っぽく溶けて肉にしみ入ってくる
私に降る 師走の雨
....
何とも言えない感覚
どのように表現すればいいのか
師走という言葉
白いイメージ
寒いイメージ
師走という言葉が大きくて
それに翻弄されているかのよう
旅行して気分を変えたい
....
鏡よ鏡よ鏡さん、この世でいちばんの愚者はだぁれ?
鏡よ鏡よ、この世で一番の愚者は、その質問をする者かもしれませんね。
ありがとう。おやすみ。
おやすみなさい。良い夢を。
透き通る光が降りてきて
君の頬を丸く染めた
指折り数えたら
真っすぐ昨日に振り向いて
照れていた「おはよう」が
笑顔で溢れ出る
つがいの鳥は鳴いていますか
細い君の指が苦しそうに ....
自分のこころが
話し相手の私
悪も私
善も私
いろんな私
今一番見失われているものは
信じる心ではないか
詐欺の多い時代ではあるが
人を信じないでは生きていけない
たとえ生きていけたとしても楽しくはない
人間の喜びは
人を信じることとともにあ ....
良い豆を取り寄せ
ブレンドしたコーヒーが
売られている
他の仕事を辞めて
コーヒーショップを始めたとか
時々コーヒーを飲みに行く
若い人は少ない
熟年夫婦の話し声
忘れたい ....
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