抜殻を踏み潰す明方の散歩、鉤裂きの朝日に近しい気持ち、袋小路の中で思う、帰り道の入口は本当に遠い、崩落の正確な日時、直ちに必要な情報に限って提示は拒否される、どこかで誰かがそれを握っているかもしれ .... ポリバケツの中に廃棄された腐敗し続ける狂気と、その肉を狙うドブネズミの低い鳴き声、名前も知らない薬の効果偏頭痛に変わる日常の蠢き、まともな時間じゃないのだから文句を言うのは筋違いってもんさ、月は薄曇り .... どこからやってくるのか分からない鈍い反射を受け止める網膜は在りもしないものばかりを確信したがっていて、薄汚い言葉ばかりを口にしてはまた時間をドブに捨てる、昨日までの雨のにおい、溶解した記憶が隠れる .... 闇、散り散りになって
ちっぽけな逡巡を嘲笑い
睡魔に弛んだ
色褪せた脳髄の
目を瞑るに任せる
アウトサイド、口内の苦い
苦い苦い傷を噛んで
喉笛に忍び込む
血液を記録した
午前一時、 ....
思うに俺は、生まれてすぐに、育つはずのない骸の中に押し込まれ、どういうわけか上手い具合に育ってしまったというわけだ、ある初夏の午後、歪み木細工の椅子に沈んでぼんやりとしていた俺はふとそんな考えに行 .... 時刻は午後四時で、僕は見知らぬ部屋の中に居る、マンスリーマンションのような、生活に最低限必要なものだけを揃えた味気のない部屋の中だ、玄関を開けるとすぐにキッチンがあり、木枠にアクリルガラスをはめ込 .... 失われた歌がもう一度流れる、時が地に落ちた午前零時、掠れた声の中に、鬱血のような産声、痙攣のようなビブラート、消え行く瘴気みたいに、路面の亀裂の中へ潜り込んでミミズどもに食われる、神が己の下着の中 .... ホルマリン漬けの胎児が見る夢を具現化したような午後、生命が身体のどこかから抜け落ちて…俺はさながら末期の中毒患者のようだった、上手く動けず…横になっては束の間の眠りに溶け込み、少し起きてはまた横た .... 明日消えていく空のことを
僕は果たして君に歌えるだろうか
明日消えていく風のことを
明日消えていく雲のことを

どこか遠くの
台風のせいだろうか
たえず眠気がやって来る
停滞の自室で
 ....
ポール・オースターの
痴呆症の老人のひとりごとみたいな小説と
アブサンの辛辣な酔い(ネイキッド・シティーの方のね)
小皿の上には
昨日の残りのカシューナッツがいくつか
小皿のデザインはい ....
夕食のときに誤って
傷つけた口の中が傷む
悪態が脳裏で曲芸飛行を繰り広げる夜
ラタンの椅子の上で一対の飛蝗が
遺伝子を残そうと試みている

呪縛から解き放たれた
そんなものになりたか ....
もの言わぬ時に埋もれ、目の端に微かな痒み、割れた指先の鼓動…生は歪みによって饒舌になる、忌々しい話だと思いながら苦笑を繰り返す、蚯蚓のように床の上でのたうちながら、いつか、道端で死んだ友達を思い出 .... 死霊のように空を彷徨う俺そのものの幻を、置き去られたように見上げている一二時間、彼方に佇んでいる雨雲は、ある日突然自死を選びそうな誰かの微笑みによく似ていた、朝食の後味は奇妙に歪んでいて、つまり、 .... 僕らは充血しながら、動脈瘤の世界で明滅を繰り返す、循環するメジャーとマイナーのコード、ハウリングしてる緊急避難警報、駅の片隅のデッドスペース、沢山の要らないデスクチェアーの一番上に放置された黒電話 .... 誰かの手から零れて、真夜中の街路で砕けたウィスキーのボトルから流れ出る僅かな酒は、病巣に塗れた誰かの喀血を思わせる、ささやかな色合いはいつだってほんの少し、呪いみたいな印象を残す、お前みたいにせせ .... 夜はきちがいの回転数でお前の脳髄を貪る、微弱な電流が起こす目視出来ない程度の燃焼が、すべての回路に障害を設けるのだ、微かな異音、焦げる臭い…原因は特定出来ない、無意識下の疲労、浸食、知らない間に蝕まれ .... 鼻濁音の目覚め、朝食の飲料に混ぜ込まれた昨日、労力としてだけ機能する一日のかくも空虚な疲労、浅ましい宗教のようなコミュニスト、曇りガラスの一粒の汚れを視認することは困難を極めるだろう、散弾銃のイメ .... コントロールの無い
まっさらな時間
無いというのが正しい
及ばない範疇
関わりのない概念

首のもげたモラルが
深夜のニュース番組で
戯言を列挙してる
おれは首を掻いて
いらだちを ....
干乾びた野良犬の死骸と、ひび割れた路面の暗示的な形状、捻れて消える泥酔した下層階級者の夢があとに残すものは、ショー・ウィンドウの微かな脂の染み、カウント・アウトのような潰れたカフェのテントが風に煽 .... 特にこれといって上手く続けられる仕事もなく、思い出したように働いては数日後には辞めている俺たちにとって、のんびりとしけこめるモーテルなんかあるわけもなく、だから俺たちはいつでもなんとかガソリン代だけを .... 狂気はずっと、咆哮を循環させる、それは海のように満ちていて、激しい雨のようにいらだっている、冷たいフローリングに、架空の血液が滴る音がする、白昼夢の中だけの失血死、蒼褪めた肌は寝不足のせいだけでは .... 真冬の星座の下で改造拳銃をみぞおちに当てて一息でぶっ放した、火薬は多過ぎ、スプリングは確かだった、燃え上がり、あっという間に丸焦げになり、ヘドロだらけのどぶがようやく流れる時のなにかを引き摺るよう .... 視界の端に映る太陽の中心を逆十字に彫り上げて背徳の日陰の中に今日の悪魔が現れる、よう、惰眠は済んだかい、今日のお前は昨日のお前よりも確かかい、とからかってくる、俺は無視を決め込むがやつは満足しない .... 寒気にひび割れ、傷んだ世界の狭間、高速ですり抜ける意志と、失速しうなだれる幾つかの首、ベネズエラの煙草を咥えたアジアのギャングたちが、所かまわず改造拳銃の銃口を詰まらせる午後早く、剥ぎ取った落花生 .... 巨大なプレス機が稼働しているようなノイズがずっと続いていた、肉体はその、現実には存在しない振動に苛立ち、酷い痒みや痛みを覚えた、細い針を幾つも差し込まれたみたいに視界は穴だらけになり、世界は楕円の .... ひとつしか照らさない灯りを手に持って
人通りの途絶えた通りを歩いている
日にちの変化や、年号の変化
様々な冠が世界を駆け巡るけれど
実際のところ、それはただの節目に過ぎなくて
ひとつしか ....
閉じたまぶたの裏側から古い鉄扉が軋むような音が聞こえる、それは思考回路の悲鳴なんじゃないかと思った、証明する手段などまるでないけれど…数年前に見た夢を急に思い出す瞬間、俺が生きようとしているのはど .... 妄想癖の神父は教会の入口のそばで、目を覚ましたままぼんやりと涎を垂らしている、教会前の広場にずらりと並んだ日曜日の市場の、果実売りの娘が横目でそれを馬鹿にする、本格的な冬がやって来て、空は日本製の .... それが本当に眠りだったのかと問われれば俺は分からないと答えただろう、現実なのか、それとも夢の中に居たのか、釈然としない何時間かが過ぎて、夢遊病者のように俺は服を着替えて外へと彷徨い出た、それは本当 .... それは彼方へ消える幼い日の記憶だろうか、それは燃えながら散りゆくひとつの詩篇だろうか、それは最後の歌をうたう老婆の掠れた声だろうか、長雨の後、窓に残った雨粒が滑り落ちる時のシンクロニシティーは、も ....
ホロウ・シカエルボク(1191)
タイトル カテゴリ Point 日付
彷徨いの中にしか人生はないのだと思うことがある。自由詩022/5/30 16:15
デッドマン・ウォーキング自由詩1*22/5/22 13:28
ひとりで歩いた道のことしか覚えられない自由詩3*22/5/15 23:43
リスキーな夜の話自由詩022/5/8 10:31
断層の誕生自由詩3*22/5/5 23:12
交信は不可能自由詩4*22/4/26 16:18
夜に煤けた歌の行方は自由詩022/4/21 9:14
Une Correspondance自由詩022/4/16 16:05
明日消えていく空のことを自由詩022/4/12 10:02
馬鹿さ加減自由詩1*22/4/8 21:57
すべてが所詮は呪縛という名の遊戯であるのなら自由詩2*22/4/5 0:13
はぐれものの夜自由詩022/3/29 14:57
亡者の先導、沸点のブラッド自由詩0*22/3/23 15:22
バウンドの世代自由詩1*22/3/15 11:16
vagabond自由詩2*22/3/5 16:05
未だ、その血飛沫は。自由詩022/2/27 0:22
彼に会いたい自由詩1*22/2/22 23:54
日付変更線の彩自由詩022/2/14 1:44
重度のシンコペーション自由詩1*22/2/13 13:42
ボロボロの壁散文(批評 ...4*22/2/6 22:57
カオスの中のブレス、そして永遠のグルーブ自由詩1*22/1/31 11:54
最後の一艘自由詩1*22/1/21 12:39
Through the Past, Darkly自由詩2*22/1/16 11:45
なしくずしのゲームとその神髄、それから水分の必要性について自由詩1*22/1/8 11:40
ノイズの陳列、幕引きのシャワー自由詩2*22/1/2 10:54
ひとつしか照らさない灯りを手に持って自由詩1*21/12/31 23:21
樹氷のシナプス、そして降り積もる囁き自由詩2*21/12/25 22:32
くだらない街の冬の陽炎自由詩2*21/12/19 23:14
希望だったけれど叶わなくてもよかった自由詩2*21/12/12 21:53
書き換えられ続ける譜面の擦れた紙面が鳴くような音を立てる自由詩1*21/12/5 22:43

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