この夏の終わるころ、
私はどんなやさしさだろうか。
通り雨の匂いに濡れて
大事なことばをささやき歩く
土も、私も、空気も、同じ冷たさで震えながら
....
かきむしる午後には水の名残りがある
舌先でからめとる瞬間に
横殴りに七つの寓話が駆け巡る
床にまぶれた光の深度が増し
垂れ落ちた髪の中にうずくまる
渓谷の底から叫ぶ
氷河 ....
薄暮れて
眠り続けた一日が
黄昏に、朝と夜とを迷う視界に
君の小さい、窓辺に向かう後ろ姿が
棚引いて
まだ平原には届かないから
打ち寄せる波がこちら側を削っていくのを
た ....
ねえ、コーマ
ひた走る夏がまたやってきたよ
クルクルと
額を通り過ぎる光の群れ
君は開け放した口で
笑うね
(笑う 笑う 笑った)
君は箱庭が沢山ぶら下がった
奇妙な棒をかついで
....
少年の庭に咲かれた一輪の花
匂われて
光られて
やがて散られてゆく
そんな花の花
の花の内側を醒ましてゆく
夏の繊毛
角膜
破瓜
少年は不安によって
空間を把握する
不安の立面に ....
海はまだ広がっているけれど
ぼくはもういらない
―窓を閉める―
室内が戻ってきて
マチスの絵がまぶしい
木椅子
ポトス
絵の中で金魚が{ルビ捩=よ ....
ばっさり斬り落とした短い髪に
唖然とたたずむ
(なんか、めんどくさくって
照れたように君が笑う
右の頬を隠して
僕の知らない君の夏
正しい折れ曲がり方なんて
よく分からないけどさ
....
自転車から転げ落ちた
右の頬の痣と 切れた唇
またそんなに酔っ払ってさ
殴りあう暇があったら
海を見な
切れた唇に
寄せる さざなみ
笑い声は
痛いこともあって
七色 ....
五山の文字の
ゆえんなど知りません
それでも私は
わずかに香る炎が尽き
夜が少し涼しくなるのを
ただ待っているのです
まだきっとどこかで生きているだろう
あなたを見送っているのです
....
「純粋」と「不純」の間で
へたれた格好をしている私は
どちらにも届かせようとする
執着の手足を離せない
一途に腕を伸ばし開いた手のひらの先に
「透明なこころ」
( 私は指一 ....
{引用=あなたは歌うような
あしぶみで
まぶしくかすむ
曖昧な 八月十五日、は
さいわい
のびやかな放物線をえがいて止まる
おともなく
あたしは
きょう
部屋 ....
夏祭りの音の屋根
迫り出した空のかけらは
まだ遠い、午後の私へと溶けていった
古い夢の神社の石段を
ひとつ飛ばしで駆け上がれば
頼りない心音のままで
私はきっと、そこにいる
夏の夕暮 ....
街 山 海
陽炎の街
輝く緑の山
エメラルドグリーンの海
真夏の真っ只中に置き去り
後ろのポケットから夢が零れ落ちる
開けた空に飛行機雲
空に国境がで ....
月ではまだ
冬の初めで季節が
止まっているようだった
浅い眠りの合間に
この頃よく、夢を見る
凍えたままの月面で
あなたをこの腕で抱き ....
まばたきするように暮れていった群青に
あなたはなにを覚えたのだろうか
と
スーパーの広告の裏にかいた
一編の詩は
おもったより、しあわせそうで
静かに瞼をとじました
詩人 ....
押入れの中で目覚めると
いつものように優しくなってる
手も足もおもいっきり伸ばして
指先の細かい部品までもが
思いやりに溢れている
感謝の言葉は誰に対しても
正確に発することができ ....
思い出に、ゆかたの君が見たいだけ箱根温泉ゆあたりに風
きっかけがどこにあるのかわからない花火轟くまでの沈黙
ぎゅっと手を握る二人は蚊帳の中 外のすべてが愛しく見える
小学生み ....
夏をつれてくる妖精がいないから冷やし中華を初められない
泣きながら闇夜に響く帰り足コンクリートは{ルビ夏=プール}の青み
ウェディングドレスの中で夏に埋む指の日灼けを抱いて遠くへ
....
冷えきった繋いだ手と手を温泉で去年の炎暑を取り戻そうとす
耳元で優しく君が囁いたあの夏のさよならを海で泳がす
夢うつつ瞬時に散りゆく白昼夢、儚く消える思い出花火
....
は、真空の一点で凝縮し続ける無言する{ルビ性=さが}である。
仄暗い
道を歩いていると
星雲を繁茂する
一角で
ぽっかりとあいた
湿っている暗闇が
{ルビ濃紫=こむらさき} ....
さて
飽きるほどの恋からも遠ざかり
梅雨の間隙を縫う洗濯ばかりに
脳みそを支配されている私に
今のところ夏の予定はありません
貴方
先月結婚したそうでおめでとう
おかげさまを持ちまし ....
*
雨のにおいがする。
気がつくとそこには死んだ魚が呼吸をして
メールの件名には「ごめんなさい」が書いてある。
中身までは、見ていない。
*
これで、三回目だ。
....
放課後のプールサイドに一人きり石を投げれば割れる太陽
まだ細い腕もいつかはヘラクレス鏡にうつる半裸少年
肝だめし墓場を歩く君とぼく怖くないよと結ぶゆびさき
花火あがる綿菓 ....
受話器が落ちている
繋がるべきものから離れ
それもまた
溺れているのだ
突然、落下
してきた空に押しつぶされ
わたしたちは窒息する
小さな村
家々にかけられた表札に
夏の光が差し ....
((((((、
溺れていく、夏の、軌跡に、
揺れている、白い泡、虹の、
膜を掴んだ、君の、痕跡。
覚めていく、まなざしに似た、
夕暮れの、屈折。
恥かしげな、月の裸体、
蒼ざめる ....
。
こっそりとなみだを
ぬぐう
けしてないているわけではなくて
ほおはぬれてはいないのだから
かわいたままのかぜと
われのままに
せめぎあうだけで
からからの
けれど ....
夜のアスファルトと
それに密着してゆく夏と雨とへ
車の落とす赤が付着しては
ひゅっ、と
離れてゆく一秒一秒、その風に
肌寒くなれる体の、少女である体の、わたしが
....
今よりもずっとずっと前…詩を書きはじめてしばらくの頃、友人から「雑誌に投稿してみない?」って言われた。彼女はその何年か前に「詩とメルヘン」という雑誌に掲載されたことがある。掲載されたその詩にはイラスト ....
環形動物の好む
クチナシの花が咲いて
夏が来る
ふくらんだ
白い腹の上で
笑いながら
木イチゴの実を摘んだ
開かれた朝
口を閉じていたイモリ
小さな水たまりの底に
きらりと ....
勝ち目の無い夜を手に
牛乳ばかり飲んでいたら
壊れていくお腹の夢を見て
コーヒーと蜂蜜を加え
一本の旗を立てる
そんな朝を
僕たちは
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