Mood
桂
大粒の水滴がつたう窓辺で
1人頬杖をついてまどろんでいる
轟音と共にひび割れる空
その破片を恐れてどこか違う空へと飛んで行った鳥達
母なる大地が容赦のない雨に鞭打たれる姿を見て いたたまれなくなった動物達はみんな自分の部屋に引きこもり耳を塞いでいる
世界の終わりから1人取り残され
湧いてくる雑念が
マグカップの底で溶け残ったココアの塊みたいに こびりついて
頭から離れない
こんな日に一人自問自答なんて
ああ
もうやめにしないかスフィンクス
知恵比べするには お互い疲れ切っているじゃないか
全てから目を背けたくて
テーブルに置いた両腕に頭を沈ませると
重くなった瞼が古いシャッターのようにゆっくりと閉まって
今日が終わる
チュン チュンと
旧友が帰ってくるなり 知らせてくれた朝の知らせ
眠い目をこすり窓の外を見ると
朝の陽に照らされながら一枚の羽がひらひらと宙を舞い 窓辺の外に着地する
テーブルの上には
マグカップの中に誰かがそっと注いでくれていたココアが湯気をあげている
息を吹きかけて口に含んだあと もう一度窓の外を覗けば
ほら すべてが元通り
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コーヒー