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道路の真ん中に
枕が落ちていた
枕が変わると眠れない、
という性質でもないので
すっかり寝てしまった
車に轢かれる夢を見て
目が覚めると
胸の上あたりに
ミニカーが置い ....
孤独と隣り合わせの自由
愛と背中合わせの孤独
無数の愛と自由と孤独が春の風に舞う
窓から望む 菜の花畑は 春霞
重ねた手の温もりは幾つかの時のかけらを記憶の襞から呼び覚まして
....
露天の さまし湯に 独り
寒緩む月の右側に 一番星
やがて 一つ二つ
あとは
何を思うわけでもなく
考えるわけでもなく
湯煙と たわむれながら
....
僕らは寂しさに慣れたフリしてしまっている
靴下一日一足
一旦帰宅し脱いでも またそれを履く
靴下一日一足
不思議な私の掟
今日の靴下レースのエリザベス ズボンで隠れる乙女の秘密
そう 赤い透けるランジェリーと同じ ....
あなたが どうしても 観たいと言った
砂の器
中居くんが 出て来るドラマだってコトは
知ってた
微かな記憶を 手繰り寄せる
俳優も 演出も 時代も
きっと 全てが 違うのだ ....
この指の先に
宇宙があって
人が住んでいるとして
(たとえば人差し指に その先に)
ミエルデショ?
その人の指の先にもまた
宇宙があり人が住んでいるとして
エンドレス
....
川沿いの道を歩いていると
川面で魚の跳ねる音
気のせいだった
子供が投げた
いたずらな小石
空を舞う鳥が嘴から
落としてしまった
子に与えるはずの ....
鳥肌実の美しい右翼
小田実の美しい左翼
何でも良いが信念ならば
身・銭切るべし幻想にはな
本買う程度の小銭でなしに
街宣車買え
対戦車砲撃て
腹かっさばいて噴水になれ
生恥の身投げて人 ....
数回 ドアを開け
椅子にストンと着地した
無数の とまではいかないが
たくさんのフィルムが
机の上に置かれている
挨拶を交わしたのは
とある男性
男性は私の血液の話をする
男性 ....
今日という一日に数え切れない
(ありがとう)が、隠れている。
よく晴れた日の夜空に
いつのまにか姿を現す
あの星々のように――
人生は一瞬一瞬の光を増すための努力
最期は一筋の光となって空に流れればいいさ
あの頃 ぼくらは貧しかった
ラジオはあったけどTVはなかった
電話はよっぽど裕福なひとしか持ってなかった
ぼくに電話が掛かってきたら
電話のあるお隣さんが呼びにきてくれた
餓鬼だった ....
亀とは
亀のようにゆっくりなペースで成長中の私の長女
この間9歳になった
その亀
学校以外の場所では
とっても朗らかでおしゃべりなのに
小学校入学以来
教室で全く口を利けない
少人 ....
常に悩む
優しさと
暴力の間で
人間の存在意義が
優しさと暴力の
間で漂うならば
何と悲しいだろう
私は信じたい
人間が優しさを
一つの信念として
暴力を凌駕すると
君たちに質問 ....
私がかなしいのは
海が波立つからではない
海が波立っているのは
私がかなしいからではない
あまりに遠いところから注ぐ
あまりにも薄い光を反射して
波がしらのひとつひ ....
ヴィンテージギターを手にいれたが
一万円と格安のヤマハFG-130という
1972-74あたりに製作されたもので状態もいいし
かなり響きが良く豊かに音がでる
男はそういったおもちゃを幾つに ....
夜に積み上げられた箱階段が
複製を繰り返す(発芽)
その上を
じゃばらの形に折れ曲がりながら
わたしの影が長く伸びつつ登っていく
星々が裏声でささやきあっている(給水)
そうやって
....
女子高生のスカートを
ヒュンとひるがえし
春のイタズラ者が通り過ぎる
激しい風に街路樹も
大きく揺れて
梢にとまった小鳥は
今にも吹き飛ばされそう
突風で倒れた看板が
歩道を走 ....
部屋を出て
日差しの鋭いこの街を
歩く 僕のことを
誰も何も知らない
僕は 人とすれ違い
歩いていく そして
それは正しいのだと言い聞かせる
繰り返される日々
僕は仕事 ....
移ろいにつき従うなら
時ではなく
私は風について行こう
それはいつも流れており
地上を巡り行くから
私は世界を旅するだろう
決して行き着く事なく旅するだろう
過去を嘆く事もなく
未来に ....
アパートの暗い階段を上って行くと
二階には嵌め殺しの窓があり
そこだけがまるで古い教会の天窓のよう
純粋に光だけを招き入れていた
迷い込んでいた一羽のすずめは
幼子の震える心臓のよう
....
マスクマン
ごほっごほっ
花
粉よ
り
も
風邪、
よりも
ヒドイ、鼻水。。。
―ごほんごほん
....
少女は ある年の四月からというもの バラードの中のヤマネだった
両親と同じ名ではなく ヤマネだった
冬眠のように まどろんで
春眠のような いつくしみで育てられ
ひかりが はねようが ....
もうありったけの陰を踏んでしまった
気がつけば空はゆるゆるになっていて
気が狂いそうにやさしい
どのまどろみも平等だった
角のはえた恋人がわたしを映して割れていく
心中みたいなラメが散らばり ....
さかのぼる 水晶のような 水滴が
高速バスは雨の中を走ると フロントガラスの水滴が
同じスピードで のぼってゆく
静かな行列が たゆまなく のぼってゆく
そんな様子を何時間 見続けてい ....
海は遠くにありました
波の中で魚が一匹死にました
二人目はわたしでした
くすくすとガラスが光って
春だと知りました
飛べないトビウオの群れが
雑木林を抜けて
体育 ....
ゆびきりしてお祭りのにおい
滑走路に正座をして
ブリの刺身を食べている
月明かりに照らされた横顔
あれはかつて
誰の養子だったろう
軍用機が静かに着陸する
花びら一枚
散らすことなく
なつかしい
お菓子のような言葉いただいて
泣けてきそうな気がして
ひきしめる
今日はまだ
終わっていないから
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