カーテンを開ける
今日
彼女は何を見るだろう
地上17階
いつもの街並
いつもと少しだけ違ってく景色
夕べの事がまだ
部屋のそこここに残っていて
ほのかな風の粒子となって
揺れるカー ....
愁人
詩想十年方断腸
愁人独詠酔余狂
飛花何処秋山謐
落涙何心秋夜長
一夕一朝虫切切
千秋萬歳月蒼蒼
詩人一命虚空否
遮莫吟魂不可忘
愁人
詩想十年 方(まさ)に腸 ....
サンショウウオは
両生類です
カエルと違うのは
大人になっても尻尾があること
でもやっぱり中には
「大人になりたくなーい」
なんて個体もいるわけで
いつまでも変態せずエラ呼吸のまま子ども ....
夜半に君はやって来て「最後の列車に乗れ」と言う。
あまりに突然なものだから頷くことしか出来なかった。
最後に会ったのはいつだっけ。なんだか遠い昔みたいだ。
あの時君は何て言ったかな。ダメだ何にも ....
誘惑の魔法
あなたに
掛けたい
誘惑の魔法
その魔法は
あなたの瞳を見つめないといけない
僕だけが知っている
誘惑の魔法
だけど
この前インターネットで
情報が流出している ....
へい
私のことでしょうか?
害虫・・・ですか。
まいったね こりゃ。
これでも精一杯あなたをお守りしているつもりなんですがね。
昨日だってあなたのその美しい足をはい上がってくる ....
世間というのは恐ろしいものです。ある意味、世界よりも恐ろしいかもしれません。世界は大きすぎて目に入りにくいのですが、世間はいつでもそこにあります。そのために、恐ろしさを肌で実感することが出来るのです ....
長夜
颯然叢竹作哀音
長夜月明山色深
望望秋星何処落
詩人涙眼遠人心
長夜
颯然(さつぜん) 叢竹 哀音を作(な)す
長夜 月明らかにして山色深し
望み望む 秋星 何処 ....
足りない頭で欠けた自分を探しています。
どこかで失くした昔の自分。どこかに忘れた本当の自分。
完全なんて有り得ないんだと、完璧主義者が笑っています。
不完全は可笑しいですか?僕は定規 ....
とこしえに巡り逢う運命
うたかたの時代を越えて
さまよう永久と刹那の宙
深なる海に眠る静かの{ルビ禍神=まがかみ}
たそがれの遥か 煌く流星
くれないに染まる {ルビ大地=おおつち} ....
黒い雨が止まない。
傘は穴開き視界はバラバラ。
不思議な顔で天を見つめ、
非日常を飲みこむ眼。
酸化していく町並みも、
溶けていった有機物も、
憶えておかねば。消えてしまう。
青 ....
間遠に灯るガス燈の火を
ひとつひとつ落としながら
どこまでも
迷い道をたどってきました
鳩色の街に
静かに降り積もる粉雪
きしきしと
水晶が発振する音が聞こえます
いつの日にか ....
樹の上の
雲の上の
なんの巣だか知ってる?
ぷうっとふくらんだ
ぼくたちの家
マシマロのソファーや
板チョコのテーブル
いっぱいいっぱい
運びこんで
はじけて終わり
祠 ....
彼は人だった
選定の剣を抜くまでは
彼は人を捨て王となった
それが彼の運命だったのだろうか
国の為 民の為
幾多の戦場を駆け
黄金の聖剣を振りかざし
....
愛が欲しかったらねじりとるがいいのだ。
物が欲しかったらむしりとるがいいのだ。
幸福が欲しかったら奪いとるがいいのだ。
貴方よ。
貴方は「幸福になりたい」と言ってはならない。
そんな惰弱 ....
道端にひとりで咲いてた
君の名前をぼくは知らない
風車のような青い花
君から少し離れた草むらに
君と同じかたちした花たちが集まって咲いていた
どうして君だけそんな冷たい岩壁に
でもとても綺麗だ ....
そこで目が覚めた
闇に溶けた室内で、ありもしない天井をただじっと見つめる
何も覚えていない
そのかわり、汗に濡れそぼった自分と酷い喉の渇きを感じる
どこからが現実で ....
泣きたくなるくらい、きみのことが好きなんだ
そう言うと貴方は本当に涙をぽろりと零した
それはきらきらと輝きながら貴方の頬を伝って
静かに私のおでこに落ちた
そんな貴方に抱き締められ ....
夏風邪の悪化した僕には似あわなかった
安っぽい向日葵の柄のワンピースを着た君にだって似あわなかった
この部屋の築弐拾年という白かったはずの壁にはもっとずっと似あわなかった
どこにおこうか、買って ....
久方振りの君の声
少し変わっているような
少しも変わってないような
きっと君は電話の先で
大好きだったあの笑顔に
昔と同じ無邪気さを湛えて
僕の話を聞いてるのかな
互いに変わった ....
僕はいままでいくつかの詩を書いてきた。たぶん最初から数えると200編は超えている。
でもいまだにちゃんとした詩の書き方を僕は知らないと思う。
僕の場合詩らしきものを書き始めたのはネットに投稿す ....
こすもすもくもく
ゆけむりもくもく
おはなむずむず
おなかゆるゆる
よかぜぶるるん
こすもすゆらゆら
あかトタンやね
くずれておちた
いつかわらった
こすもすころころ
みづ ....
あなたの詩が好き
と、あなたが言うと
あなたに好かれる詩を書かなきゃ
と、思ってしまうんだ
そうして
僕は
だんだん
詩が書けなくなっていきます
だんだん
でも
あ ....
降り立った夏の停車場せみたちの鳴き声拍手喝采のごと
実家へと歩く田園風景のさびしきひとりと描かれる夜
秘密基地としての廃屋いまはもう月光だけの棲み家となりて
失った記憶と ....
粉雪と氷の覆われた大地に
舞い落ちる言の葉
雪に埃が吸い取られたせいか
その手紙は透き通っている
伝達率が高いせいか
その手紙はとても温かい
ま ....
昨日、嵐だったんだ。
そうなの。
たくさん死んでる。
そうね。
その日の雨が
今でも時々僕の肩を濡らす
廃園の木下闇に
置き忘れられたブリキのバケツ
松葉を伝い落ちる雫が
想いおこさせる
もうひとつの心臓
眠れぬ夜毎
消え残る雫がほのかに光 ....
ペイターはヴィンケルマンの人物像について
「そこにはいつも、何か新しいものを発見する願望よりも、失ったものをもう一度
手に入れようという憧れがあるように見える」
....
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