私と
君と
あの子との
三つの管弦の関係は
軋るけど甘い泥沼
世界の終わり、地響きのような
敵意丸出し、唸り声のような
鋸が生む、摩擦音のような
低い低い低い音楽
暗い暗 ....
さようならスペイン
壁に描いたコスタ・デ・ソルの海岸を
忘れないで
ふたしかさ。
たしかなふたしかさを持つ
それが彼のこころ。
みえるようで
みえない。
いつも家族が集まる夕飯時に
そっと背中を通って
硝子窓を覗く
それが彼の部屋 ....
誰もいない
風がいつも吹いている
そして 風が そうおもうときに
寂しく肩を 通り抜ける
そして ページをめくる
いつも 誰もいないから 本を読んでいる
僕がそこにいる
薄 ....
僕がもしも男なら
私がもしも女なら
君に抱き締めて欲しかった
そして殺して欲しいんだ
もしも私が億万長者なら、ね
殺し屋を雇って殺してもらうの
とびきり腕の良い人を雇って……
....
二人称だった、ぼくは今日。涼しく朝には吹いた。それを感じた。風を。歩いて、まだわからない。なんのために?思うとそうだ。風を。猫はまだあそこで寝てる。ソーダ、記憶。島の。歩いて鉄条網、看板を、ぼくはわか ....
君が笑顔で食事している
僕は 朝飯は吐気がして食べる気がしない
友達が結婚したと聞いた時 僕はおめでとうも言えなかった
さらに 子供まで出来たと 思わず すごいねと苦笑いした
....
あなたの目はガラスのよう
誰も受け付けないのね 私だってダメ?
憎いやつ こっち向いて
でも そのガラスの目の奥 入り込もうと
近寄れば いつの間にか割れてる どうして
....
貴方はどうか 覚えておいて
確かにここに居たことを
貴方はどうか 忘れないで
確かな日々があったことを
貴方はどうか 打ち捨てないで
確かに触れた温もりを
貴方はどうか 留めて ....
コンピュータが動かない
こんなやつ使えない
〈接続されていません〉
何に?
〈なんらかの関わりに〉
〈ネットワークに繋いで下さい〉
黙れ
寝とけ
〈接続されていません〉
〈接続さ ....
君と僕とが
気になる人同士だったのは
いつの事だっただろう
人は自分の幸福が分からない
人は我慢が出来ない
欲しいものは欲しい
君が欲しかった
君の心が欲しかった
コーヒーが飲 ....
縁切り神社に俺の名前を書いた絵馬
<ザ・ロング・アンド・ワインディング・ポエトリィ>
言葉はいつも
戸惑いながらやって来る
曲がりくねった道を通って
日常の生温い闇をすり抜けて
言葉はいつも
恥じらいながら ....
つまらない事でも
人は死にたくなるものだ
どうしようもなく死にたくなって
家を飛び出した深夜
空が墨汁でも零したのか
夜がどこまでも黒い
1と0に点滅する電灯を辿って
い ....
風の無い朝
動いていたのは人間だけ
緑も空も犬も
静に息を潜め
耳を済ましているというのに
浮き足だって
僕らは何処に向かっているのだろう
人のこころは
陽炎に揺らめく砂漠に置かれた
少しだけ水の入った
壊れやすい硝子のコップ
君の言葉で水は満ちる
放っておけばすぐ乾く
君の言葉が
君の愛が
僕を満たし潤し ....
一日中、
こわれた雨樋をみていた
網戸にささって死んだ虫をみていた
あなたがこのよにいきているなら
わたしがしぬことはぜったいにない
わたしたちのなかで 言葉 ....
大雨洪水注意報
彼女に涙を流させてはいけない
そのあとですごく経費がかかるから
落雷警報
電気ショックで何かが復旧するとは想わない方がいい
普通のひとは死ぬ
落石注意
気がついた ....
雲から作られた
真っ白なキャンバスに
君は向き合った
夜をチューブに詰め込んで
君は黒い絵を描いた
星を砕いて水で溶かして
黒い絵に瞬く光を浮かばせた
望遠鏡で君の絵を見 ....
祭りの翌朝
小雨降る広場で
ゴミと小銭を拾うお年寄りを蔑む中年夫婦が
小さな野花を踏んだ
こんなに綺麗な花なのに
本物の生きている花なのに
偽物だらけのこの世の中に
確かに信じられる ....
GIRAGIRA
あの頃の僕の瞳は
油の浮んだ水溜り
空も街も人も季節も
虹色に濁って見えた
今にも分解しそうな心を
繋ぎ止めていたのは
少し哀しい臭いのする
ギラギラ
....
限界集落と呼ばれて久しいこの村
ランドセルの子供がひとり
学校への長い道を下っていく
蝉しぐれの中
下を向き一生懸命歩いていく
そういえば
この村の近くに高原の小さな駅があるが
その ....
蛍火やGODZILLAの去りしあとの街
解剖してみよう
お前は何だ?どんなだ?一体誰だ?
自惚れるなよ
お前はお前の全てを知らないどころか
お前は我々に作られた
自分が自分を作るとでも
お前は思っているのか?
お前は、 ....
道路に生えている草をバッタが食べている
雨はバッタに雨粒を叩きつけるが 必死で食べている
僕は顔を近づけた つかまえてみようと手を伸ばす
バッタというものは手を伸ばせば飛んで逃げるだ ....
海の大さを知るためには
一滴の水を
見詰め直さなければならない
と、老いた亀は言った
波打ち際で遊ぶ
他人の子供を
呆然と眺める
僕の足元で
亀はそう言っ ....
この世界の何と寂しい事か
僕の安寧は
黒い棺の中にしかない
さぁ、剣を刺してみよ
棺の中の僕は
横たわる僕は
血は流しても
息絶える事は無い
なぜなら
死人が二度
死ぬ事など無 ....
月の映る植田見ている車椅子
覚えてるかい?
いや、そんな筈がないか
僕と君とは他人同士
何の接点も無く
いわば二つの点
そこに直線が引かれることは無い
惹かれることはあっても
覚えてるかい?
覚え ....
プラットホームの蛍光灯を
なぞりながら
おりてくる
ぬくもりをもった
夜の闇。
夜の市ヶ谷駅の
下には釣り堀があって
人々はうなだれながら
みたこともない
翼の生え ....
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