僕の時間の砂が
指の隙間から零(こぼ)れ落ちる
さらさらさらさらと
零(こぼ)れ落ちる。
そのまま風に吹かれて
失われてゆく
砂の想い出
人生の終わりまで
掴(つか)んでいたい ....
高台から 見下ろせば
雲が唸りをあげている
雲を突き抜けようとする 音がする
街の灯りは 木々の間からも見える
サイレンが パトカーが 消防車が 甲高い音が
地を這う
まだ ....
夜歩く世界に
道は 続いていた
思い出を追いかけさせられながら
歩いて行こうと思う 僕も
角の向こうに 見えない
白すぎる 雪が 積もっていた
それは僕には見えない何だろう ....
町々を飛びこえてゆく雲の上からは、今日もまばらな民家の屋根の連なりが見渡せる。かすみに透けた淡い屋根瓦の下を、身支度をはじめる人々の息づかいが流れている。その民家の屋根の上、暁の酸化光につややかにの ....
パトレミスの海岸線のうえ
対岸の樹木のかげうっすらと
水辺より空はかすかに白ばみ
薄青のそらをうすい雲がすぎて流る
エレナ・マイヨールは農場にのこされた機械のかげを
すばやく片づけられた部屋 ....
流れ星をみつけては
「る」とちいさく声にする
さむさにふるえ
さいごの一文字ばかり
くりかえし、 ....
換気をしない寝室に置かれた重厚なベッド
ヤニ色のシーツ
飛び跳ねて遊んだ子供の名残
ベルベットのカーテン
隙間からこぼれたゼリー状の夕日
部屋にこごる朱
透明な朱色のゼリーの中 ....
街角にはまばゆいばかりのイルミネーション
一人の女も
二人の男も
三人の子供たちも
足を止めガラス球に目を細める
さぁ、手をつなごう
そして主を待ちましょう
終わりのない時が瞬く間に降り ....
砂をみるような静けさに
私の遺体をころがして
明日へゆけ
明日へゆけゆけと
祈ります
神でなく
鍵になるよな言葉だけ
書き記すことが
私の祈り
懐中時計の竜頭をぬくと
(それはウィスキーボトル)
なかから水があふれてくる
振幅のはげしい針のうごきが
ふいに軽くスゥイングして
ひろがる液体に
手をかざす こぼれ落ちる しずくの糸。
....
寒風ふきつける新年のころ
子どもは白いカイトをあげた。
冷たくはしる急斜へつよく
糸はするどく牽引する
指はきつく締めつけられ
羽根は烈風に呑まれ舞い散る。
こめかみを撃つ固い痛みが
....
○月○日
日記を書いている。
*月*日
日記として、刻まれなかったあの時間、あの日について。
三食きちんと食べ、寝る時間、起きる時間も申し分なし。規則正しい健康的な日々。こんな毎日について ....
小さなあまりにも小さな
小さなあまりにも小さな
ことにかまけて
昆虫針でとめられた一羽の蝶のように
僕は身動きひとつできない
僕のまわりを
すべては無声映画のように流れてゆく
....
(春の午後)
日曜日と自転車一台をここに置いておきます。
あとはお任せします。
(シーン3 路上)
「・・・・・」
「・・・・・・」
月明かり 猫二匹
....
その空っぽの瓶には「無」とラベルが貼ってある
そこに私たちは無を見る
その空っぽの瓶には「 」とラベルが貼ってある
そこに私たちは意味を見る
その空っぽの瓶には何も書いていない
....
蛇蝎の唄
鏡にむかって唱える
おのれ 醜(シュウ)
どろあしで ふみにじる
鏡に 流るる どろえきのしたに
ちぬらるる
おのれ 蛇蝎の族(ウカラ)
韜晦を重ね
はや と ....
たとえば一本の麦穂のように
収穫を 忘れられて
項垂れながら  汗を流している
黄金色の畑のへりで
埃っぽい道のかなたの
青空に
憧れている
そんな
一本の麦穂の ....
意気地なし!あなたは意気地なし!
あなたは紺のスーツに身を包み、髪の毛を整えた。
メガネをかけて、りりしい瞳で部屋を一瞥する。
その風景の中にはわたしは存在していますか?
あなたの目に映る ....
テッポウユリではないのです
今頃の季節
花期をたがえて咲く白い花
例えばアカザやブタクサ
夏草でいっぱいの四角い空き地の真ん中に
丈高く唐突にすくっと一本だけ
細葉の形と付き方が
....
とんぼには
夏のおわりがどうしてわかるの?
流しそうめんみたいに流れてく
夕方の空と
地面のあいだをすいすいと
わたしをむかえにきたよ
強くたくましく
正しく
やさしい
人を癒し
幸せにする
人に好かれ
人を大切にして
人が集まってくる
人からプレゼントされ
家は貰い物で一杯
自然を憂い
自然を愛し
自 ....
本日はドラディヤの錬銀術師こと、エスメラルダ・ザナドゥの話をしよう
彼女の生涯には謎が多い。
廃火歴449年(452年とする説あり。※要出典) クゥインヤ西部のアエルダートに生を享けた彼女 ....
小さな羽根で
飛んでゆける範囲の
小さな幸せしか知らぬ
円満な人生の理想
私はその設計図を
この世に生を受ける代わりに
安値で売り渡した
波荒む大海に
耐えられるほど強くない
む ....
ぼくは、さびしい。
やっぱり、さびしい。
ぼくがすすんでも
いなくなるひとはいるし
ぼくがとまっているからって
いなくならないわけじゃない、
ぼくがはなれたのか
あなたがはなれたのか ....
男の人魚がいないのは
なぜだろう
美しい人はハンデを持っている。
SEXはできない。
でも幸福を与えてくれる。
一長一短
他にはない幸せがある。
周りの人の対応が違う。
命の大 ....
カンザシの
椿の花に
メジロ来る
命の最期を見とどける
あの人の笑顔
あの人の声
あの人の怒り
聞き辛い声を
聞こえるようになり
心が読めるようになる
大切に思う気持ち
故郷に帰りたい
それがあの人の
最後 ....
もうめっきり 僕は北風に吹かれるまま
氷は透明で
投げたその眼差しを 雨にして鎖に編む
僕らは繋がれてきっと離れられない
冬の怯えた心に操られ
思い出が 冷たい雪を解かす頃
....
俺は飲んだくれの
酔っ払い
ジョッキ片手に
冷たいのを一気に飲干す
文句アッカー!
俺はハッカー!
煩いオッカー!
強いサッカー!
何が何だか分らない。
酔っ払いは何をするか ....
ユルカ クラヤミカ
カタイタヤ アマタ
ニンジンヌ ヒチャイ
チユヌ ヒチャイ
{引用=夜か暗闇か
語りたい数多
人間の光
千代の光}
アリヤ ニヌファブシ
ナチカサン ヒチャイ
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19