今日も空は青かった
にこりともせずただ青く
無限の沈黙のうちに
それは在った
今日も私は無力だった
宇宙の虚無に耐えかねて
あなたにあることないこと
喋っていた
今日も黄昏は優 ....
一晩中眠れずに
テレビショッピングを見ていた
うまく言えなかった言葉をひろげてみると
ピーナッツが音符に見えてくる
間違えたピアノの音だけをひろって
いい歌が生まれたらいいのに
....
どんなタイトルでも詩はかけるさ、
とあの子は俯いて
じゃあエヌエチケーで、とぼくが砂を指でなぞったとき
遠くけむった空のスカートの裾のほう
さみしい集金人の穴の開いたポケットから
ふとこ ....
空があり風があり
時は世界樹をかけのぼって
あしたへとながれてゆく
だれかが小ちゃなブルースを
奏でているような気がしてでもそれは
ぼくの知らない紫の小花の群れだった
月への梯 ....
早朝 四時半
少しは剥げたサイクリングロード
いつものように まだ眠い
後ろから追い越しされて
目が覚める
でも追い越したくない
全く人気(ひとけ)もないけれど
私と同じ ようやく目 ....
毎日ぼくは
きづかずに
多くの幸せに
囲まれていた
幸せは
どこにでも
かくれている
君が淹れてくれた
コーヒーの香りのなかにある
幸せ
いつも横取りし ....
とてもシュガーレスで甘い日々に乾杯
いつかか叶うかもしれない幸福論にさよなら
すといっくなクラプトンが好きだったな
ちょっぴりうち間違えをしたタイピスト
シドビシャスみたいな素直な凶暴 ....
詩的小説「バス停」
新しいこの街で一人で生きていく
近くのバス停で時刻をメモする
バスが停車して扉が開く
「すいません乗りません」
「メモしているだけで・・・」
笑 ....
きらきらと
波に
浮かんでいる
朝
パラソルは
遠浅に
沈められて
いく
ぬるくなった缶コーラ
汗をかいてギラギラ
照り返し
身をよじる
光
のように
探している
....
手のひらの小鳥が
命を使い果たしていくとき
呼んだら
返事をした
それは
声にならない声
音を失った声は
振動だけになって
手のひらをかすかに震わせた
あれはやっぱり声だった ....
気温25度ぐらいの
する事のない晴天の日は
それ自体がひとつの音楽だ
階段を登って空を見上げると
悲しい思い出が粘度の低い唾液となって
唇の端から漏れる
引き延ばされるありきたりなフレーズ ....
胸の中に
何もないとき
思ったよりずっと
あなたを思い出していた
もう愛していると
言いたくなくて
泣いた顔の上に
砂をまいて隠したのに
人はみな
空っぽで
....
水餃子入りの中華スープをレンジでチンして朝御飯
夜勤帰りは酎ハイがメインディッシュ
僕のくるまのドリームキャッチャーはまんなかが空洞で
大切な夢は素通りしてしまうのかもしれない
僕の借 ....
春を手紙にしたためて、
十年前の自分に送るよ。
コンビニ行こうと
家を出たら
街が魔法に包まれていた
硝子という硝子を曇らせる
夜の霧
街灯が
絵本の挿絵のように
ぼんやり見える
雨でも雪でもない
寒くも暖かくもない
....
僕の部屋には季節が無い
うずくまって見詰める本棚に
埃が積もっている
頭痛が少し
腹痛も少し
瞼が厚ぼったくて
もう長いことゆっくり眠ってない
細切れの睡眠でしのいできた
規則正しいの ....
必然を失っていた
逃げ水を
振り返ることも
なくなっていた
明日やってくる
昨日に
なにがあったのかも
思い出せないようになっていた
なにがあったのかも
気にならないようにな ....
あの春から この春がやって来た
馨りはまだ手のひらの上
ふわっと小さな宇宙を乗せて
ここへ ここへとやって来た
呼び覚まし 瞬間にカチッとアルバムにはまる
大事な 大事な一期一会を刻んで ....
母のお墓は沖縄にある
もうしばらく行っていない
妙に血が騒いで
沖縄の足元に近い青空を思い出す
久茂地交差点 よくニュースに出てくる景色
那覇で語ったことはなかった
自分にしか関心がな ....
大きな欅が伐採された
ものの半日かそこいらで
姿を消した
あっけないほど
たやすく
死んでしまうことは
こんなに簡単
雨を飲み
光を吸収し
息を繰り返し
いくつもの季節をその身 ....
誰かが眠る
夜のベンチの上
欲しいのは
毛布だと言えるなら
きっと幸せな
一日になるね
夜のベンチに
冷たい涙を
落とした瞬間
星の集団が
感染したから
こんなに熱を ....
ギターを鳴らし
夜が深くなる
懐かしい歌を小さな声で
雪吹のリズムで
歌おう
小さな喜びと
降り積もる雪
歌が途切れてしまうのは
いつも
ぬくもりを歌うところ
ギターの音と
雪吹 ....
叔母の葬儀が 教会で始まる
司祭の語りかける 流暢な言葉に 深い人間愛を感じる
50年前に洗礼を受け 身を捧げて来た叔母の軌跡を 知らずに来た今
聖歌隊の 静かに漂う響きが 信者 ....
好きすぎて噛んじゃったのかな?
鹿児島市平川町 平川動物公園のホワイトタイガー
お兄さん死んじゃったよ
死んじゃうとね、もう遊べないの
ホワイトタイガーのリクくんは殺処分されないのね
....
やさしいかぜがふいている
たのしいおんがくもながれている
ぼくはどこへゆくのだろう
せいしんろんがきらいで
むぎのほのようにじゅうじつして
人の夢と書いて儚いかと
冷蔵庫のドアを閉めつつ思う
真夜中
街が明かりを失った夜
星々は本当の輝きを見せた
どんなに悲しい理由でも
それは純粋に美しかった
便利さと引き替えに
手放してしまったものが
便利さを失った時に
わたしたちを慰めてくれた
....
初めて
心が死んでしまうと 思った
初めて
ずっと ずっと 泣き続けた
初めて
気が狂ってしまうと 思った
自分から 振りほどいた手は
とてつもなく 痛かった ....
ひとりで生きてくことが
出来るほど
優勝賞金凄いね、凄いね四億円
ウィリアムズがあんなに
怒った訳が
やっと分かった気がします
ああ大坂しぐれ
牛乳を大きなカップに注いで
取っ手をぐるぐる豆を挽く
すうっと匂いを嗅いでホンジュラス
充分に沸騰させたお湯が好き
泡が立つ滴が落ちて
ゆっくりとゆっくりと流れて
お腹の底に渦を描いて満ち ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29