初夏の風が渓谷の香りを運んできた
釣を止めて十七年が過ぎていた
改めて道具を確かめたら
釣り具には問題なかった

真夜中に車を走らせ
モスグリーンで統一した身支度をして
さぁ釣るぞ! と ....
ふ と

見上げると
クジラは空を読んでいた

東には
逃げ遅れたはぐれ雲
クジラはふらんと尾鰭を揺らした

南からは
色と香りをまとった風
クジラはぬわっと口角を上げた

 ....
この作品はフィクションです
実在の人物や、組織とは一切関係ありません
この作品はフィクションです
実在の作品や、感情とは一切関係ありません

この作品はフィクションです
現実であな ....
O高校を卒業してから
五十年余りの月日が流れた
その間各自それぞれの人生コースを歩み
今日の同窓会にたどり着いた
積もる話は山ほどあることだろう
古希を過ぎてからの告白も
あるかもしれない ....
何時か底まで酌み交わそう 管理職になった
能力を評価されたというよりも
年齢による玉突きだろう
毎日重たい案件がのしかかり
説明に口ごもる
左肩がしびれて
物事は進まない


秋葉原で電車が停まると
エ ....
nowhere
15年飼っていた猫が死んだ。
5月8日、18時50分頃。
もうどこにもいない。冷蔵庫の上にも、出窓にも、いない。
nowhere

no here
最後の ....
あふれる想いは
言葉を見つけられないまま
ため息となって、夜空を漂い
暗い海へと吸い込まれていく

焦点の合わなくなった目には
沖合いの漁り火も星座も同じ
水平線の、さらにその向こう
 ....
一匹のイワシが大海の中で、何かを思考しながら泳いでいる
あまりにも複雑な海の水はとても塩辛くて、飲んでは吐き
体内をおどるように走る塩辛さに眉をひそめながら
それでも彼は泳ぎ続けるのだ
まがい ....
きみのまる顔、
ひとつの、
お団子、
笑うと、
目が、細くなる、
とーっても、
甘そうな、
雪しろの、
お団子、
日正規雇用
時給いくら、日給いくらの
疲正規雇用
乙かれ、乙欄〇
避正規雇用
壊れた椅子の脚を支えて何年
飛正規雇用
支払調書で凧揚げ、向い風
秘正規雇用
メンバーではない、知ってた ....
うちのたまは五百円玉が大好きで
お腹いっぱいになるのは十五万円
過日お腹が痛いというので
たま専用の銀行ATMでうんちをさせた
もうそろそろ
またお腹が痛いというだろう
たまは食いしん坊で ....
まあるい串団子をほおばって、
まあるくなる、
きみの顔もまた、
まあるいお団子、
この世界

半熟玉子

潰しあい

子供らの夢

奪う愚かさ
誰かに教わったわけでもなく
ひれもないのに
泳ぐ術を知っていた
不思議
暗闇の水は透明なはずなのに
烏賊墨いろ
触れる
包まれる
抱きしめられる
身ひとつだけの
図式
へその緒が ....
タンスの引き出しを開け
下から二段目の引き出しを開け
折り畳まれていたものを取り出す
平たいそれにぷすりと針をさし
シュコシュコ空気を入れると
たちまち一人の人間が現れ
途端に勢いよくしゃ ....
逆側から触っちゃったから
もう何にも始まりなんかじゃない
なんてコップの中に差し込んだ
ストローにぶくぶくぶく
なんか始まっちゃった
壊れてもないのに作り直してる
新しいものなんてでき ....
神奈川県立音楽堂の夕暮れ
信濃路のナス天そば
朝の水風呂
鈍行列車の窓
影を踏まれないように生きる
夫婦に理屈はない
何を許して 何を許さないのか
クローバーの冬限定牡蠣カレー
6 ....
誰かの
苦笑いになりたい

遠い遠い朝
名前も知らない街で

銀色の少女が
荷物を置く

馬の尻尾が
風に揺れる時

あるいは
グラスの氷が時間を数え
からり、と音を立てる ....
 お湯を沸かしながら
 まだ眠い気だるさには
 モカブレンドのドリップコーヒー

 昨夕スーパーの陳列棚に一袋だけ
 お買い得商品のプライスで残っていた
 この一杯の 目覚めが心地良い
 ....
中学時代から付き合ってきた
きみはもういない
焼酎が大好きで酔っぱらうと
「ありがとさん!」を連発していた
きみはもういない
何か相談事があると
真っ先に相談に乗ってもらっていた
きみは ....
青ぞらの日の、
雑用のつみかさね、
フォークリフトに雑巾をかけ、
ゴミを拾ったり、あるいはホウキで掃いたり、
している、
どこか緩慢な、土ようびのしごと、
けれども思いのほかいそがしい、
 ....
ポチ連れて右に折れたら夏館

入道雲白いもくもく幼き日

本好きのギター少年ハンモック

ビールより缶チューハイや缶たまる

ポチ連れて曲がる三叉路大夕焼
そしたら
遠まわりをして、
ゆっくりと忘れていこう

したことのすべて、
思ったことのすべて、
何度でもおなじふうにするしかない
春のすべてを

すみれ、れんぎょう、えにしだ、は ....
○「WBC」
投手のことはかなり話題になっている
一方で捕手のことは
ほとんど話題になっていない
160キロを越える球を
きちんと受け止めるというのは
大変なことであろう
投手が活躍でき ....
寂しさと
同居しているから
楽しいことが
分からない

僕だけは
理由がなくても
空っぽなまま
バスに乗る

揺れて
気持ち悪くなって

いつもの場所で
降りたことを
悔 ....
何処にいても 
居場所がなくて

眠る時だけ
楽になれた

逃げるように
毛布を抱いたら
とても暖かくて

夜には夜の
処方箋があった

それでも
ひとりで
生きるために ....
 もう幾年前になるでしょう
 十二月二十四日
 普段通りのお弁当を並べていました
 
 初めて来店したおばあさんは
 「今日はクリスマスやから」と言って
 唐揚げ弁当を
 ひとつ、買って ....
「生き物は絶滅したこの島に 命令だけがこだまする」
 
 家族設置義務 第1条
“マンションには 家族仲良く住む義務がある”

 四角い窓にぶつかって跳ね返る
 約束のような
 声たち  ....
わたしたちは歩く
可笑しなことはないのに
となりできみが時々ちいさく笑う
(なにか間違っている?)
でも訊くことなんかできない

わたしたちは黙って歩く
おおむねすべてのひとたちは
 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
溪谷までの道程- レタス自由詩4*24-5-25
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友へ- レタス俳句4*24-5-24
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海、夜気、無言- ヒロセマ ...自由詩12*24-5-18
群れ- 山人自由詩9*24-5-11
ゆきみだいふく- 本田憲嵩自由詩1024-5-10
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たま- レタス自由詩13*24-1-31
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マッシュポテト- 竜門勇気自由詩1*24-1-9
年の瀬2023- はだいろ自由詩323-12-31
苦笑い- やまうち ...自由詩123-10-16
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