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おつりです、と言って手のひらの上に何枚かの硬貨を乗せた。
ぼくには分かっていたのかも。
その中にある100円玉が、ここから出たがっているのを。
その通りになった。
ぼくの手と財布をつな ....
父は木製
母は金属製
そんなわたしの骨は木製
そしてどこか金属製
寄り添う啄木鳥
蝕む啄木鳥
偶然かわいい一羽くらい
薄い音を鳴らすときどき
黙る木製
黙る金属製
そんなわ ....
あなたの声が聞きたい、と
私は願う
空は
雨をしのいで抜ける青
会話している
あいだ
私はからっぽ
あなたに
あなたにとどくかどうか
私は次のことばを選ぶ
あなたが
退屈しな ....
雨上がりの夕焼けはせつないね
全てがオレンジ色に染まって
ただ輝いている
ーでも
明日はきっと晴れる
そのことを信じて
私は家路につく
明日もみんなの笑顔が見られるようにと
祈りな ....
弓を絞って
矢を放つような跳躍が
理想だ
一跳びで
虫籠の傍から去る
一切余計なことはせず
一瞬で決める
子供のために
理想を断たれてなるものか
小さな手で握り返した
精一杯の自己主張は
脆くも崩れ去り
斜めの世界で
命を耕しては
空の彼方が憂いを帯びる
いつもさようならは
口に出来ずに
終わりのない結末を
月の欠片が反射 ....
ファイトを出して行こう
ファイトを出しながら行こう
マイルドセブンを買いに行こう
ファイトを出して買いに行こう
日付が変わる前までには行こう
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい。
私の口癖 ごめんなさい。
すいません
すいません
すいません。
私の口癖 すいません。
私はボールに入れられて
かき回されて
そ ....
ママがホントは嘘つきだって
僕に教えてくれたのはデイジー。
白いスカートが似合う女の子。
パパがホントは嘘つきだって
僕に教えてくれたはデイジー。
真っ赤な頬した女の子。
デイジー ....
風に
吹かれながら
野原に咲いている
たんぽぽが
ひとつ
ひとつ
空へと
ゆっくり
飛んでいく
風に吹かれた
たんぽぽの
白い綿毛は
どこに
行くのだろう
ふわふわ ....
見たこともない世界に愛しさを投げ込みたい
いつも乗り換えるだけの駅を降りて
ぶらぶら散歩してみたい
本当に足が棒になってもう歩けないほど歩いてみたい
こころ壊れてしまうまで君を愛していたい ....
春に連行されます
籠から逸れた、いき方
春に連行されます
たおやかな影を纏い
籠から逸れた私を春は見逃さない
永遠、それは感覚を捨てること
研ぎ澄まされた、生きた感覚で《私》を放棄すること ....
タバコ噴かしながらお向かいのじっちゃんがね
泣くなって言うんだ
昨日泣いてたとは知らないのに
泣いちゃダメだって言うんだ
泣きつきたい気分だから
大丈夫だってば〜って
....
61
誕生パーティ、彼女がホールのケーキを切り分けると、集まったボーイフレンドたちの支持率が見て取れた。
62
目的地への案内板が「↓」であったので、スコップを探そう。
63
形見わけ、故人の押入 ....
51
私は空っぽなんだ、と悲痛な様子で訴えてくる私のおなかは、しかし三段もある。
52
彼女は、彼が、時間がないと繰り返さなければ、充分な時間がとれることに気づいて、口で口をふさいだ。
53
その ....
顔を上げたらそこにいて
手を伸ばしたら触れることが出来て
正しいことをしたときには
えらいねと言ってほしかったのです
小さな缶に
思いを小さくして
詰め込みました
ぎゅっと
ぎゅーっと
ぎゅーっぎゅーっと…
詰め込み過ぎたので
もう一つ缶を作りました
もう一回り大きくし ....
昔
歯ブラシをくわえ
ベランダから
父親と並んで
満点の星空を眺めていた
夏の夜空は
広くて
蚊にさされるのが
難点だけど
それに勝る清々しさが
いいね
そんな感 ....
{引用=
いなくなったきみを探していたら
僕は自分を見失ってしまった
砂浜を歩くたどたどしい足元が
早く何処かへ連れて行ってくれないかと
波にさらわれることを望んでいるこころは
宙に浮 ....
いじわるをいわせないためには、どうしたらいいだろう
*
最近の話をしようとすると
思考は酷く曖昧で
断片的なものになってしまうから
こんな形をとっ ....
がんばることは
大切なこと
でも
そのことで
頭がいっぱいになってしまうことがある
何を
急いでいるのかな
何を
あわてているのかな
がんばりすぎるのは
あまり
いいもの ....
31
朝日は海の深いところに落ちている。
32
彼女は、彼の下駄箱に手紙が入っていたのを見て、代わりにポストに投函した。
33
彼がアルバムを整理していると、出会う前の写真に不自然なほど写り込む、 ....
空の色を忘れてた
形の無いものばっか 見えないものばっか
望んでばっかで じゃあ目の前の物はどーすんの?
少し休ませてよ 少し考えさせてよ
言っても時間は止まらないよ どーしよう ....
21
恋人が血塗れの姿で、私の頭を凝視してくる。
22
砂を吐いていると、あさりがたくさん採れたね、とブルーの壁に区切られた丸い空から聞こえた。
23
科学者が妻に、ナスカの地上絵は飛んだのだ、と ....
{引用=
雨が降っているの
こころの奥深くで
あの夜のような朝からずっと
それでも空は晴れているから
傘もさせずにびしょ濡れのまま
けれどあなには見えない
魔法のような
私を支 ....
今日のことを、話そう。
大事なひとに、毎日メールするように。
*
「先ほど、目が覚めました。
カーテンの隙間から
雨上がりの春の陽射しが
小さい{ルビ日向 ....
シスター
身に纏う着衣が黒いのは
己の本心を塗りつぶすためなのか
いくらストイックに暮らしていても
お前は
パンを食べるし
ベッドで眠るし
キリストに欲情してるのさ
シ ....
歯車
ゆっくり音を立てて 進んでゆく毎日の中で
ちゃんと大切な物に 誰もが出会えるのかな?
耐え切れず音を立てて 壊れていった記憶たちを
大事に胸の箱の中に 片付けてゆくのさ
....
変えられないものは
変えられない
変えられないものに
気にしても
悩んでも
しょうがない
考え方は
少しの
努力で
変えられるかもしれない
顔 身体は
生まれながら
....
{引用=猫讃仰フェスティバル参加謹呈}
ねこちゃんは
一体どこから来、どこへ去るのか。
ねこちゃん
ねこちゃん。
これがコンニチの課題である。
じつに、コンニチの課題なのであった。
....
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