鳥も帰らぬ街の残骸
その真上にも空が拡がる
空には厚い黒雲が犇めき(ひし)
雲の凹凸にたくさんの泣き顔が
泣き出す雨の一粒一粒が
いのちのかけらであったため
泣き出す雨に佇んだ
涙袋が途 ....
僕の息子は自閉症だ
養護学校への送り迎えは
妻がしている
朝夕、電車とバスを乗り継ぎ片道1時間かけて

学校の先生は
常日頃言っていた
息子さんなら自立下校も大丈夫
その言葉は、僕らに ....
温排水全戸に無償で給湯し緑地は野鳥に解放しよう

議事堂と皇居を残せば貧乏人だけ残された街にはなるまい

避難円もしお台場を中心に二十キロなら何百万人

避難円もしお台場を中心に二十キロな ....
一念発起とがんばってみるのは
容易いけれど
がんばり続けることは
なぜか難しい




それって三日坊主

だよね

悔いてはみるのだけど
いつだって
他のひとの視線が気 ....
八重桜
いくえにも重なって
淡い桃をたわわに逢せる
遠野の空の水と蒼
流れ流され血の紅滲む

それでもサクラは咲くのです

山桜
ひっそりと佇む
誰も知らない名前すら
無から生ま ....
小さなものたちが
それぞれに
自らの場所で躓いている
その中に僕も君もいて
むすうの僕と君が
それぞれに
自らの小さく見える
けれどもほんとうはもっと大きい場所で
同じように躓いている ....

シフォンスカート・パフスリーブは夢のように広がり、
肌を透かす、
脈打つ。

五線譜に咲くメロディ、
finに向かっていくつも上昇、
リズムは必要ないか。

病を持つという、 ....
【無為自然】

 最近、写真を撮ったり絵を描いたりする。日頃からよく風景を眺め、虫や鳥や野生動物や雨や雲を注意深く観察したりして、クソ田舎で無為自然な生活を送っている。
 そういう無為自然の視点 ....
 富永太郎という詩人を知ったのは、わたしが詩を書き始め、相前後して中原中也を知った時期とパラレルな関係にある。実際、中也がその生地に記念館ができるほど人口に膾炙されることがなかったなら富永は、おそらく .... 私は、
有形の門を通りすぎ透けた暗さ
届かぬところへしみる幽かな終止符
行方知れずの墓
墓標は名無しの波止場
船は無人で行き交う汽笛
宙をつかんだこぶしをひらいて
手をふ ....
讃美歌を謳い終えたり今日は晴れ陽だまりに75歳春

人類の悩みを思い心が痛む神に希望をしかと置くわれ

スコップをせっせと動かし庭造り妻の背中に春の温き日

眠き眼に午後の奉仕はやや辛しこ ....
彩度が低下して冬
のような気がしている

けれど見上げれば鮮やかな
空の青

空っぽの空の青

透きとおるってどんな気持ちだろう
こんな空の下ではすべてを見透かされそうで

網膜 ....

午後四時
青の上から
橙や赤や紅色が
塗り重ねられてゆくのを見ながら
大急ぎでベランダのシーツを取り込む
あのうつくしい仕事をしている人が
どんな人だかは知らないが
時折
ゆるめ ....
出かけようとして出かけられなかった朝に
ひとりの女性の顛末を知る

喩えようのない過去の行状
足跡の是非はともかくとして
不治の病に長らく臥していたとのこと

病棟の小窓に映す時代の移ろ ....
どこまでも広がる色彩こたえなき色彩
闇さえも色彩のなかにある
彼の描く世界は、
本当はどこにあるのか
見る者はその答えを探しに
際限ない色彩の旅に出る

彼が描くすべての色彩の背中に ....
北東の隅にある茶色いシミは
無鉄砲で幼いエネルギーが
やるせなくせり上げた僕の山脈

山肌に滲んだ汗と涙は
入り組んだ等高線に弄ばれながら
諦めに良く似た水色の帯となり
 ....
駅前のデパートが閉まると聞き
短い帰省の間、立ち寄った
商品のない売り場と
間もなく解雇される店員たちの笑顔が
とても痛々しかった

逃げるようにエレベーターのボタンを押したとき
七歳の ....
  

  「僕等は詩についてどこまでも語りうる。それは生と形式の問題であって、
   どのようにも論ずることが可能である。」
  「詩について考えることは、とりも直さず僕達の精神とを結びつけ ....
施設の中庭のベンチで
ゆっくり日向ぼっこする
老人達の独りが
突然立ち上がって何かを叫ぶ

こんな筈ではなかったと
こんな方向でなかったと
こんな場所に来るはずではなかった
こんな終わ ....
「荒地」を読むための諸前提 1

 「親愛なるX…」。こうした書き出しで始まる、荒地派のマニフェスト
とも申すべき「Xへの献辞」は、1951年版の「荒地詩集」の巻頭 ....
音をはずした
指先が曲がり
おこがましい
眠気へと倒れ
込んでしまう

彼女は私に嘘を吐きました。その嘘はあまりにもたくみでありましたから、私はその嘘を見破ることなど、したくなかった。した ....
吹雪いてた処も多かろ、此方ではこれが初雨。静かに優しく。

舞い上がった正月埃をほんの少しほんとに少しの雨が鎮める



恋人は何かの匂いのひとがいい焚き火の匂い潮風の匂い

失くした ....
夕食のとき赤ワインを
ボトル1本飲むと
夜中に必ずお腹が痛くなって
トイレに3回は行くことになる
するとエリカ様が起きてきて 
「またゲリピーなの!」

そして私がトイレの中から
かす ....
シロカニペランラン金の盞
コンカニペランラン銀の台
いつからこの国に咲いていたのか君たち

室町の頃に記録があったというのは聞いたけど
数百年前からか

では数千年前には
数万年前には ....
あなたは激しい加速をとり違えた氷のように歩いていた
わたしの喪失は人混みにもまれていよいよ遠のいていた
あなたの鈴のような耳のひらき
わたしはわたしのせいで気がふれてしまいたかった

“わた ....
青く光った矢印が
一斉に前を示し
両腕にしがみ付く怠惰な風は
酸っぱい痛みを産み落としていった。
萎んだ夜と悴んだ指先には
遠くの方から響いてくる
赤い点滅の伝言を
読み解くことはできな ....
{引用=


肥大化する奥歯をなだめすかしていると
父と母を三人称にしていた


名付けられないものが多すぎるので
みんな言葉を捨てる
胎内の空洞にはまるものはどうしてか
その必然 ....
                  101225


幸運の女神は猫の顔をしているのだと
いくつもの変数を宣言しながら彼はいぶかしげに首を振る
尻尾も振りたいところだが
のっぺりした尾 ....
君は間違いなく命の恩人であるし
あの頃の僕のモノリスであったし
制作面や生活面におけるスペックとして僕が望んでいる人だし
君の処女性や乙女性
それら全てのバランスにおいて
今までの女性で群を ....
 
 
ふっとみえたのは
あしでした

あしいがいになにもない
わたしでした

うさぎにうまれ
うさぎとしていきていた
わたしでした

たしかなことはしりません
ことばより
 ....
N.K.さんのおすすめリスト(556)
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それでもサクラは咲くのです- 西日 茜自由詩6*11-3-20
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クレマチスという彼女に関する七つの考察- きくちい ...自由詩311-3-8
【批評祭参加作品】詩を特別だと思ってる人たちへ- 相田 九 ...散文(批評 ...11*11-3-6
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ボンヌ図法としての僕- nonya自由詩16+*11-2-5
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「荒地」を読むための諸前提_1- るか散文(批評 ...7*11-1-25
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Get_it_P- 花形新次自由詩4*11-1-16
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1:4:9- 虹村 凌自由詩5*10-12-25
ラビッツフット- 小川 葉自由詩5*10-12-25

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