朝の半蔵門線の車内で
赤い傘を差す女性がいた
「危ないから傘を閉じなさい」
と言いながら近づこうとする
会社員風の男性に向かって
女性は
「やめてえ!触らないでえ!」と叫んで抵抗した
社 ....
アトピーを掻きむしることのほかに
何ができるわけでもない夜
手の甲をがりがりと掻けば
私がこぼれる

私であったものが
はらはらと床に落ちて蓄積する

少し血の滲んだ指に絆創膏を貼って ....
夜明けの森を夢見た わたしの閉じたまぶたは
光によってひらかれる あなたの白い
春のような指さきで


わたしのためにあなたは生きていた
わたしが悲しいときははらはらと涙を流した
嬉し ....
いつもの窓からは
光が差している
塗装の剥げた電車が転げている
昼すぎに、森の気配は
いくつかの季節を巡る


まだ青い瞳で
私は階段を昇っていく


となりの部屋の人たちの
 ....
泥だらけのワンピースが画面で乾いていく
「その部分ををクリックしてください」
極めて具体的な意味で関係ないから軽く死ぬ
すごく愛してくれたから許す
「わたしは今日もずっとこれからもしあわせだっ ....
窓を開けると練馬インターが見える
皆ここからどこかへ行き
或いはどこかから帰ってくる
けれどこの街に立ち寄るわけではない
行き過ぎる人たちの中心に僕らは住んでいる

引っ越してきたばかりの ....
「これよりわたしたちがHHM2へ献呈いたしますガッピョーは」
「一組の【私と傍らの友人】の立体視です」
「二本の詩の交錯で編まれた網膜に、一網打尽な舌平目のムルソー」
「そんな散瞳はいやだ、「そ ....
      その日、私ははじめて人の死体
を見た。いまからおよそ十年前、三月二十六
日の金曜日のことだった。もちろんそれまで
にも祖父や祖母のそれぞれの葬儀に立ち会っ
たことがあるが、その時に ....
 詩を読みたい。それはどのような心の状態だろう。詩人はきっと詩を読みたがってはいない。ひどい言い方かもしれないし、根拠はない。間違いかもしれない。詩人が何を読みたがっているのか、私がそれに興味がないだ .... ヒカリゴケのように輝く言葉を探して3年が経った
ひとくちに3年と言っても様々なことがあった
かす漬けの美味しさに目覚めたし
沖縄の楽器に手を出して挫折した

そうして割れがちな爪でひかれる辞 ....
大学を出たあと、私は郷里に帰り塾講師として働いていた。郷里は自然の風景が多分に残っている田舎町であり、私の家もまた自然に取り囲まれていた。朝、鳥たちの声と影を庭に認めながら、朝陽を浴びた庭木の輝きに緩 .... 意味不明な場所で会うんだよ
真っ白な怒りの板に
悔いを食ませ
流れた燐のほとばしりとは
ついさっきまで
この身体だったもの

としたらかすかな
ほんのわずかな瞬きで
吹きすさぶいまの ....
駅の地下にある
ちょっと特別な待合室では
スーツにバッジをつけた男が
ソファにもたれて眠っている

黒いカバンのサイドポケットから
今朝のJapan Timesがのぞいて
上着の胸ポケッ ....
サンタクロースはどこに子供がいて
何を欲しがっているかが分かるし
トナカイのそりに乗って空を飛んだりできるのだから
一種の超能力者と言える
昔からそうしてクリスマスの夜に
プレゼントを配り歩 ....
もうもくどもよ、

ベッドのあさいところで
指をかぞえる
放射状にならべたままで
つかみあうことができないままで

どの地点にも等しく降る雨のようになれないものごと
すなわち、わた ....
おまえに会いたい

誰よりもまず
おまえに会いたい

おまえのあどけない
頬に触れたい

おまえに触れてしまえば
若い女の誘いの言葉も
金銭目的の悪魔の囁きだと
綺麗サッパリ振り ....
                 遺 言 書



     遺言者 くまモン  は次のとおり遺言をする。



1. 遺言者の全財産を、長男 ひこにゃんと 長女 バリィさん に相続さ ....
 詩は言語を用いる作品であるが、その伝達においては概念的コミュニケーションよりはイメージコミュニケーションの果たす役割が大きい。もちろん、論理的に明快である詩もあるし、感情が明快に伝わってくる .... みみたぶは
いつも冷えている
熱い鍋肌にうっかり触ってしまった
わたしの指を冷やすために
みみたぶは
きっと知っている
それがうっかりではなくて
わざと、であったかもしれないことを
知 ....
意味や価値より

自分を大切にしていたころ

長すぎる午後に拾い上げた

石は碧を宿したまま

冷たく掌でひろがり

静寂の質量を教えてくれた



いま閉鎖された細胞 ....
分析された青空に立つ波としての分割された雲の層
植物たちのひしめき合いから放たれてくる芳醇な気体
俺たち岩だらけの登山道を隊列を作って歩き
すべての壁は初めから存在しなかった
標高と共 ....
愛すべき息子へ


いつも心にこの母の愛を感じながら

常に強く生きていなさい

振り返ることもせず

ただ前を向いて歩いていきなさい


現実を肌で感じ

夢を諦めそうに ....
?

ちょうほうけいとちょうほうけいと
大きさのちがう名もない石が積まれた
小さな城壁にくもが這う
そこにおとずれた一匹の蝶
「朝です 朝です」とささやいてくれた
きみの翅には、月の光が ....
ある背景
それはひとつの主題による架空人物を創りあげること
しかし
君を忘れた
時は既に70年近く過ぎ去ろうとしているのに未だ未解決な題材を前にして
【拝啓日本人の皆様へ】いまになっ ....
汚れた過去は
きれいさっぱり拭い去って
誰も知らない生活を始める

新しい自分は
アサガオの露に反射した
朝の光
金色の乳児の産毛

晴れやかな気分は
永遠だと思っていた

そ ....
鮮明な足跡ばかりでは
海岸の砂に
鮮やかさは埋もれてしまうから

懐かしい写真の
色褪せた部分が
きみの記憶にしか
残っていないことは

きみにはもちろん
やがて消えてしまう
僕 ....
求めている手が鳴り響く
その音が始まる前の凍結した国で
欠落は欠落として満ち足りていた
土の表面は華やかに彩られ
予言はいくつもの囲いを検索していた

鳴り響く手に初めて巻き付いた風は
 ....
※授業のレポートで書いたものです。少々わかりづらい文脈があるかと思いますが、ご容赦ください。

0.はじめに
 写実とは何か。
 そもそも写実的な絵を私は好まない。いや、今となっては、その美が ....
 詩はなぜ「難しい」のだろうか。詩はなぜ「わからない」のだろうか。それは、「わかりやすい」文章が一義的であるのに対して、詩は多義的であるからだろう。解釈が一通りに容易に定まれば、何も難しいことはない。 .... 次の冬のために
てぶくろを洗う
寒くなると
きまって血流障害を起こす
私のやわな指先を守るための
カバーたち

毛糸で編まれたもの
外国のお土産でもらった
ムートン製のグローブみたい ....
N.K.さんのおすすめリスト(556)
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自分ちゃん- モリマサ ...自由詩714-4-6
練馬インター- 馬野ミキ自由詩6*14-3-29
【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳す ...- 澤あづさ散文(批評 ...6*14-3-28
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【HHM2参加作品】詩の入り口に立つためにー『母乳』ちんすこ ...- 深水遊脚散文(批評 ...10*14-3-20
ベスト- ふるる自由詩13*14-1-16
時間- 葉leaf自由詩514-1-3
磁場、光- 平井容子自由詩714-1-2
time_travel- 藤原絵理 ...自由詩513-12-29
サンタクロース実在証明- 紀ノ川つ ...自由詩413-12-25
_- 平井容子自由詩813-12-10
おまえに会いたい- 花形新次自由詩813-11-29
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碧の石- ただのみ ...自由詩18*13-10-20
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岸田劉生「写実論」を読み解いて考える、批評とは何か- 中川達矢散文(批評 ...4*13-8-1
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