クルトルハイムという洋館の 
玄関前に聖イグナチオの像が 
跪いて祈る私の呼びかけに 
応えようと身を乗り出していた 

古い木目の壁の聖堂には 
肌の黒い求道者が座り 
祭壇の十字架に ....
1.さめ

歯並び悪くて
口がきちんと結べません
だから、尖った歯を見て
みんな怖がるけれど
蒲鉾にされたりするものだから
これでも逃げ回っているのです


2.いるか

さあ ....
五歳が
小さな手で拍手すると
泡がわれる音で
リズムがはじけて
色とりどりの
風船のいぬが連なって走り出す

お子さまランチのイギリスの旗は
ご飯の上で頂上を知らせ
倒れる直前にその ....
月を見ていた
月が見えていた
今もまだ見えている
月と、木星と、照り返し白い雲たちだけ
他にはなにもなかった
空には
光るものたちは
もともと夜とはそういうものだ
飛び回る ....
もうこの星にもあきたな
みたいなニュアンスのことをいったら
母が泣いた
家族っておもしろいね

うすっぺらい
あかるいオレンジの空から
褐色の脳がえんえんおちてくる
どこ ....
役場に呼ばれて俺は行った
お前が確定申告をしなかったがために
県民税・市民税の徴収に差し支えが出ている
ついては指定の日時に必ず出頭するように
そんな葉書が送られてきて困るのは
俺には確定申 ....
波は打ち寄せ
白泡をたてているというのに
水面は
まっ平らだ
波は打ち寄せ
白泡をたてながら
防波堤に砂を積み上げているというのに
水面は
やっぱり
まっ平らだ

浜の向こうで
 ....
靖国通りを東へ 東へ
ずんずんと 歩く

もう 近くには
新宿御苑
しずかな
新宿のダウンタウン

あたしのあたらしい
隠れ家は
そこにあった

定期的に
家族と離れ
ひと ....
遠いものたちが
ばらばらになって
散らばり
それぞれに互いがわからなくなると
世界はいったん
完成されたような
そぶりを見せる
燃えたあとの灰のように
のこったまま
離れを保って
 ....
連休の飛石に
ぽつんと取り残された
ニュートラルな朝
激しい雨と雷鳴に
追い立てられるように
夏は逝った

あまりに唐突に
ぽろんと吐き出された
肌寒い空白
断末魔の雨音と
 ....
    .
あなたが好きだから
この世界は耐えられる
あなたが好きと言わないから
この世界のつじつまを合わせている
    .
飛躍が無いのは知っている世界
飛翔は一度きり だからあなた ....
あの人に近づきたくて


自分の描いた絵を渡した



少し体を後ろに引いて
ビックリした様子で


目はきょとんとしていた


「絵描いてるんで貰ってください!」
 ....
 
 
パンを一口かじる
柔らかくて美味しいので
生きた心地がしない

少年が救急車の真似をして
変電所の方へと走っていく
その距離と速度の先に
助けなければならない人がいるのだ
 ....
久々に実家に帰省したのだった
父は朝と晩にサプリメントを大量に噛んでいた
母は髪が抜けて
いよいよレディースアートネイチャーが必要なのかもしれなかった

「おめ、売れでんのか」

父が言 ....
誰かを踏み台にするなんてこと
あの頃の俺は考えもしなかった
「誰にも縛られないし
 誰も縛らない。」
尻の青いロックンローラーの常套句を
恥ずかしげもなく仲間に話したっけ

時は流れ
 ....
ひとは
寂しいふりと、狂ったふりが上手です
全員ではないけれど
大半は、そんな気がします


彼女は論文を書きます
自分が、自分に出した課題で
原稿用紙を何枚も埋めるこ ....
あれはフラスコみたいなものだった
化学反応が期待される液体を溜めておく容器
そしてそこに時おり栓をしてチューブを突き刺す
煮えてもいないのに液体と固体はグラグラと泡立って
それは恐らく酸を帯び ....
成層圏の上は

光も音もない
暗黒の宇宙

そこでは

法則の中で
星々は
存在している

晴れも雨もない
ふいに現れる
ブラックホール
吸い込まれる惑星

あたしは
 ....
三ミリ
ほど
白い部分が見えるまで伸びた爪

今日も放置した
自分の


誰かの爪が
食い込んだ
自分の爪より大きく厚い/turn off.



痛みには種類が、
 ....
デートをした。


中国の女の子で、
体は僕の3分の1くらい。
にこにこしながらくすくす笑う。


出会ってしばらく離れていたけど
思い出したように手紙を書いては
それぞれ送り合っ ....
レモン色のチューリップが
それは雨天のせせらぎであって
顔は飛沫(しぶき)をはじいていたのです

あなたは最初の花ですか
植物図鑑のはじめですか
あなたは「赤」のはずなのに
あなたの夢み ....
川の岩盤を流れる水は
岩盤の裂け目から
襞の入った白いレースのカーテンとなり
直下の岩盤に落下した水はまた元の流れとなり

水は岩肌を滑るように流れ
そのぬめぬめした岩底には
泡一つ遠目 ....
チャペルの鐘の音 
ハレルヤのゴスペルの響き


祝福の音色を浴びてキラキラ輝くのは
淡いパステル色の金平糖
小さな羽根を羽ばたかせ
あなたのキューピッドが運んでくる。


甘い砂 ....
子どもが18人います

一日に3人殺します

何日で殺せるでしょう

生き死にの話をするとひとが立ち止まる

がちゃがちゃ 

誰かが

わたしの筋に刃をいれて

筋とりを ....
ぼくはこどもの老人ホームみたいなところにいた

親と暮らせないこどもは

この世に多いような気もしていたし

周りがそんなふうな子ばかりだったから

そう思っていたのかも知れない

 ....
右手が
左手を透り先へゆく
何かに触れる
何かを透り
さらに先へ


おおら おおら
ときく ときく
揺れに満ちる水
すきまなくすきまなく
兆しではなく  ....
穏やかな夏の青い空に
幼い頃聞かされた赤く染められた天地が
嘘のように
頭を刈った少年たちの
淡い掛け声が響いた

誰もが歩む死への行進
だけど殺し合いは御免だ
「兄弟仲よに分けないか ....
うるさい指、が箸の刺し合い
口達者な音を立てながら
沸き出してはかんせいを呼び
食器と名付けました

放り込まれる点点点を待ち構える毎日
今日も仲良く胃の中で過ごす
互いの目、は潰れ ....
死んだ少女の手を取って
「タリサ、クミ」とイエスは言われた
少女よ、起きなさい
へべれけにされマワされて
中学生の少女は自殺した
夏の未明、背伸びの季節には
恋に恋する期待もあっただろう
 ....
革命的な言葉を口にしながら
麦わら帽子の海賊たちが船出する 
追い風 あふれる秋色の陽光

夏をふりかえらない はしゃぎ声に
バルーンの剣を空に 掲げ、

略奪のためでも
自己の利益の ....
N.K.さんのおすすめリスト(556)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
クルトルハイムにて_- 服部 剛自由詩110-9-25
水族館_Ⅰ- 沢村 俊 ...自由詩3*10-9-25
五歳の風船のいぬ- さだあい ...自由詩710-9-25
神奈川にて- 小池房枝自由詩710-9-25
本当はいくつなんですか?- モリマサ ...自由詩710-9-24
かに座12位- セガール ...自由詩1610-9-24
夜釣りも一人だ- 北村 守 ...自由詩610-9-24
新宿_昨日・今日- 森の猫自由詩4*10-9-24
遠いものたちが- 岡部淳太 ...自由詩710-9-23
夏は逝ってしまった- nonya自由詩8*10-9-23
紙飛行機- Giton自由詩1*10-9-23
バ_モ_ク_タ_ト_コ- くゆら自由詩210-9-23
歯形- たもつ自由詩1010-9-23
あぐら- 錯春自由詩410-9-23
てきりいーじー- 花形新次自由詩5*10-9-23
人々の日- 山中 烏 ...自由詩9*10-9-23
夢万夜- 木屋 亞 ...自由詩3*10-9-23
成層圏の上では- 森の猫自由詩2*10-9-23
敬虔なる- 榊 慧自由詩1110-9-22
under_the_rain,_under_the_moon- は やし ...自由詩510-9-22
レモン色のチューリップが- 乾 加津 ...自由詩14*10-9-22
吹割の滝- ……とあ ...自由詩10*10-9-22
sweet_wedding_sweets(祝福の歌)- 渡 ひろ ...自由詩20*10-9-21
休刊少年ジャンプ- イシダユ ...自由詩610-9-20
帰る場所- 吉岡ペペ ...自由詩1610-9-20
降り来る言葉_XLVII- 木立 悟自由詩510-9-20
彼岸入りに- within自由詩15*10-9-20
繁殖計算- りこ自由詩4*10-9-19
タリサ、クミ- salco自由詩11*10-9-19
旗のもとで、- 月乃助自由詩15*10-9-19

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