一羽の鳩が飛んでいた
わたしの乗る列車を追いかけるように

無機質な四角い窓枠のなか
黒いコートの肩越しに
羽ばたき続ける
白い鳩の





線路を渡る架線を巧みに避けて ....
 
朝起きたら、外に出よう

白い息を吐きながら

此畜生と吐きながら



 
気合入れて目覚めても
去年となんら変わることの無い朝だった

それでも
いつもの年とは変えよう
変えてみよう

初春は一途な決意が大切なんだと自らを奮い立たせ

買いだめしておいた菓 ....
今があるのは、過去のおかげ

未来が、ささやく
けれどその時そこに私は
いない
どうしても
いのちは

最後(悲しい事しか見えない人は悲しい人か
終わる ....
 小さな文章が書きたいので書いてみる。
 以前、部屋から線路が見えるアパートに住んでいた。普通の各停や急行や貨物、それらに加え、トワイライトエクスプレスが走っていた。大阪から日本海側を北海道まで行く ....
水芙蓉/悉くは散りぬ/ディケーの

オネイロス/夜の眷属/接ぎ木の花

キュマイラ/新種の銀杏/雌雄の分別

寂滅/そして回帰/メビウスリンク
北風の吹く丘(セミドキュメンタリー)

1章

北に30度西に傾く家に在りて
父の眠る丘がある
京都の吉田山ほどもない
小さな丘だが
僕は此処に父が眠っている
と考えているこの丘に登 ....
ベツレヘムの星がまたたく頃

そっと目かくしをしてくるヤツ

朝まで名前を呼んでやらないんだからね
こんもりと雪に覆われた朝
夢中でついばむすずめたちは
埋もれることもなく
枯草を折ることもない
だがまんまるの愛らしさは鋭い冷気への対抗
食糧不足は天敵も同じ
生きることは戦い
いの ....
天地創造/泥の人形/吐息/わたし

塩の柱/エノクの復讐/飛び去った

ヤコブの梯子/密室の蝶/花瓶/一滴

砂丘の椅子/はためく背広/空の鳥かご
 明日人に会うので、伸ばしに伸ばした髪を切りに床屋に出かけた。逗子駅前にある床屋で、中年の男性とその母親と思しき女性の二人でやっている。男性の方は、すっとした二枚目で、恐らくサーフィンか何かをやってい ....  転がり
 笑いにおよぐ手は
 あなたの汀(みぎわ)に触れただろうか

いつしか愛は 大きく迂回する
あなたの的は
わたしたちの的であり
なのに欲しがるわたしの瞳はもろく
瑞々しい
 ....
特に忘れることができないのは、私がこれらの作品のうちの多くを、決して冗談でなく、遺書と考えて書いたということだ。そして純粋に自分一人のために、私というただ一人の読者のために、力を尽して書いたということ .... 0.序論

 詩は言葉の信用性を失墜させていないだろうか。詩は、一方で、表現主体の内面を最も率直に表現する媒体として使用され、もう一方で、読者にとって美しくなければならないという要求のために真実を ....
0.はじめに

 詩人が、詩を知らない友人に詩を紹介する。さて、よくありそうなこの風景の中では、いったい何が行われているのだろうか?
 まず、詩人は詩には価値があると考えているだろう。ではなぜ、 ....
草むしりをする最中
うぐいすが唱える
私は、
この一本に活かされている
むしる事により
今を(ずっと透けているのは闇といっしょ

私は秘密だ
むしって来た千草一本一本に感謝 ....
0.はじめに

 殿岡秀秋は弱い人間である。だがこの弱さは詩人にとって必要な弱さである。まず、殿岡は武装しない。思想や理論や謀略や機知をことさらにめぐらすことをせず、時間や連想の流れの中に素肌で漂 ....
 詩は修辞ゼロでも成立する。修辞と非修辞(公用的な用法)の間に本質的な区別はありえない。何ら工夫のない新聞記事や公文書の記述にも私たちは比喩的な意味を嗅ぎとることが可能である。書き手が公用的な意図 .... 山道を行く
 
水流れ青き木立の杉林曇り空には静けさがある

オレンジの紅葉咲きけり西教寺気恥ずかしげに四人で歩む

敷物を広げて座り妻語るハンミョウという道しるべ虫

山道はなだらか ....
水面ははるか上
光は届いていないはずなのに
ぼんやりと明るい

呼吸の仕方を覚えたのは
もうだいぶ前のこと
少ない養分にも慣れた
清さがいまは心地よい
先のことはまだ分からないけれど
 ....
 私が初めて感銘を受けた絵はピカソの「ゲルニカ」である。中学のときだった。白と黒だけの焼けつくような不毛さの中に、形体と形体との矛盾が組み敷かれていた。牛や目や人が、本質へと刈り込まれた後の鋭さで、生 .... 僕たちは立っていた
路上に立ちつくして
いつ訪れるかわからない
僕たちをどこかに
連れていってくれるであろうものを
ひとすら待ちつづけていた
僕たちは整然と列を
乱さずに立っていた
僕 ....


すこやかな悪魔が科学の哀しみをそぎ落とす、見下ろす風景に書かれた哲学を精密に削り出している。緑色の空の稜線を白い葉が伝っていく、清潔な堕天のおしゃべりに体積をついやしている。悪魔はしなやかな ....
 私の中には時折他人が入ってくる。私が食器を洗っていたとき、気がついたら私は田淵さんだった。田淵さんは私の部屋に勝手に入ってしまったことを申し訳なく思い、靴をはいて部屋の外に出たが、そのとき田淵さんは .... 0.はじめに

心斎橋を歩いていると、すれ違う人々の肛門の悉くに言葉の端子を捻じ込んでやりたい衝動に駆られることがある。(中略)だがその無数の肛門に捻じ込みたい言葉は、なぜか優しさに満ちている。
 ....
このツインタワーはひとつを日本の

もうひとつは韓国の建設会社が建てたのだそうだ

世界で三番目に高いのだという

手塚治虫が今のアジアの都市を見たらどう思うだろう

思いは必ず実現する

これはナポ ....
  まるでこの世の始まりから
  僕を待っていたように
  茶色い床に君の
  十二枚の写真が散らばっている
  秋の風が窓の外で
  穏やかにはためく午後
  僕はグラスに冷たい ....
Yの海馬の幾つかの
細胞に刻まれたひとこま

「また会おうね」と
Yが弟にかけた言葉
にっこり白い歯を見せた

会えたのか、呼ばれてみると
意識は無くて体中で息を求めていた
「〜彦ち ....
息を切らしながら山道を登っていくと
薄暗い脇道から片目のポインターが飛び出してきて
びっこの前脚で器用に跳ねた

どうしたらよいのだろう

何かの病で左目を失くしたのか眼窩は
底知れぬ闇 ....
燃える
{ルビ椛=もみじ}を煽るように
わたしが吹きつける

燃える山
きみを理解したいので燃やした
わたし
を 理解しようと
祈りが増え
祈るための言葉が増え
言葉を行き交わせる ....
N.K.さんのおすすめリスト(556)
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