うな垂れたまま空にカメラを向けた
屋上から見えるのはいつも
真っ赤な夕日
今日が晴れだったならそのまま家に帰れた
でも、今日は雪
車のエンジンをかけると流れるのは
いつもおなじ ....
さよならの調べが響く
雨音と重なるメロディー
過ぎ行く背中を追いかける
雨を含んだ靴は重たく
今までの罪の重さを似て
僕は自然と足を止めていた
季節外れの雨は冷たく
呟く言葉はか ....
さようなら、の向こうで
夢、夢の花が揺れる
その花びらの裏側で
思い出が溜め息をつく
生きて行くことは
分かれ道の連なり
傍らをゆく風さえ
その地図を知らない
今日にうたえば
....
このうすい皮をやぶって たどりつく骨を
ひとつひとつ ばらばらにして
きれいな水で濯いで
そうして
あなたの手でもういちど組み立てて
もし、私が幸せで
願いが全て叶っていて
満足しているなら
詩など書いていないでしょう
詩作は生きると云う事であり
詩を書くことは生きてる証です
不満があり
絶望 ....
ぐちゃくちゃと ぬかるみにあしを入れながら歩いてきた
どろどろになりながら けれど汚れるのは靴ばかり
ふりかえると つづく足跡がある
ふかい森からの軌跡
うつくしくない 引きずるよ ....
ポットの注ぎ口から
授乳温度の液体ネコを流出させて
膝の上に置く
ネコは不定形
とろーり とろーり
湯気を立てて
うたた寝をしている
ネコの脳波はカップの上で波紋を立てて
き ....
人形は こころが氷できているから
やさしくなると なにもなくなってしまう
笑ってしまうとこころはゆるんで水になってしまうから
空洞のカラダは さあたいへん
こころをなくさないように
....
大事にしていたものが
じつは壊す理由のできるのを待っているだけだとしても
壊れても消せないことを知っているから
いつまでもそれを前にどうしていいかわからず
目をそらして隠す
あのとき ....
さよならさよならさよなら
本当はごめんなさいが言いたかったんじゃないさよならが言いたかったんじゃない
私が言いたかったのはありったけの罵声と悪口と皮肉
それでボロボロにしてやりたかった
できな ....
白紙に滲んだ黒い赤
むくむくと大きくなって
たくさんの物語を生んでくものを
とくり、とくりと創ってく
神秘の朝は窓を黄金に染め
鳴いたはずの軋んだ世界を
やさしく やさし ....
悲しまないでください
たとえ私がひととき
希望を見失ったとしても
それは今年初めて触れた雪が
てのひらで消えるまで
きっとそれほどのときですから
私の瞳に映せる空は
決し ....
やっとのことでぬくもった指が
水にふれた
気がした
また凍るのか
雪の味をいつまでも
いつまでも憶えていて
そういえばそれはひどく愛しかった
はるか上空から
落ちて ....
{引用=
あたしの神さまはね、
あたしの一番好きな人
本当の神さまが許してくれなくても
平気
世界中の誰もが許してくれなくても
あたしの神さまが許してくれたら
あたしは全てを許せるの ....
十六歳だった
終わったあと
ひとつになったんだね、と囁かれ
雑誌の読みすぎだとおもった
このベッドの下に隠れてるなにかかしら、とか
制服がしわしわになっちゃった、とか
私ははじめてで ....
化石になりたいのです
焼かれるよりも美しい布でくるまれるよりも私は化石になりたい
何百年、何千年という気が遠くなるような時間を
暗く冷たい土の中で眠りつづけます
そしていつか、
....
美しくなった、本当に
美しくなった
成人を迎えるからだの中から
魂の
幼い部分だけ
すくい集めて
投げる
そこに生まれた空間が
やさしく
かたまったら
ほし
と名づけて
揺 ....
ただ一人
切り離されたように
見知らぬ夜に佇んでいる
塞がったはずの空洞が
胸の中で痛みを生んでいく
足元が掬われる
膝が折れていく
影にいくら問いかけても
返事は ....
理由はありません、っていう理由について
もう少しやさしくあれたら、
と思うんだ
さびしい時刻が生え出したのは
ぼくの、背骨を笑う
星のした
だ ....
銀色の鍋でじっくりことこと、
蜂蜜は茶色の小瓶から、
そんな情景にあこがれるけれど
現実世界の僕は まぁ
時の流れに逆らう気力など持たず
透明なカップを電子レンジに、
プラスチックケースか ....
夜をかさねた底で
かすかに聴こえてくるのは
淡くほどける
ひとしずくの
きらめくゆらぎ
一定のリズムを打つ心拍
冷酷に刻まれる一秒
整然とした規則の中で
とぎすまされた ....
電灯に照らされている僕
雲が月との間を遮る
君と僕を遠ざけるかのように
今日は空が暗い
何故こんなにも遠く感じるのだろう
ついこの間は近く感じられたのに
雲の向こうは輝いているといい
....
集めている
草花の歌声を
鳥の時を
空気の鼓動を
水の根を
空の恋を
魚の道のりを
暗やみの夢を
ひたすら
見つけては
集めている
....
こんこんと湧き出る泉は
年月を重ねて
太陽の光と 月影を吸い込みながら
その身のうちに波動を蓄える
人里はなれた場所で
人に知られることもなく
自然の息吹を その身のうちに宿し続ける
....
最初は綿ぼこりかと思った
小さな白い塊が
ふわふわと目の前に浮かんでいた
疲れた目の錯覚と決めつけてはみたが
白い塊はその数を増し
やがて
小雪でも降り始めたかのように
凍えた集会室 ....
ひとつひとつに
名前なんてなかった
きみだけが知っていた
美しい世界
神さま
ねえだから
きみは神さま
みんながうまれたときに
さいしょに泣いてくれたのは
きみだったな
あわくする ....
ひとにぎりの世界しか生きていなくて
端と端が繋がって
わたしからは
到底、端が見えない
いつの間にか
周りには繋がりだらけで
端にいないわたしたちは
宇宙の端が見えなくて
....
雨降りに音楽は選べない
頭のなか
ひっきりなしに音が
ピアノ
英詩のうた
アルペジオ
無闇に悲しく
視線を避けてしまう
温めてやりたいが
言葉が今日も見つからない
近く遠く ....
色が無くて
血で描いていた
緑の絵の具を
わたす手に触れた
春の花が
葉をちぎり
痛みに泣きながら
微笑み 差し出すようだった
血の枝に
緑の枝が重な ....
「気楽」を抱き締めた
精一杯に、一生懸命に
「矛盾」が貼りついてきたので
えいや、と払い落としてごみ袋に入れる
これはもえるごみだろうか、と
湿った「疑い」が落ちてきたので
とりあえず床を ....
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