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風が強く吹いて とばされる
肩越しの月が揺れたのは飛び跳ねた兎が月から落っこちたからで
真綿のような白い毛玉がはらはらとはらはらと。
あかい目をしたままの兎が遊覧船に乗って月への帰り道をさがす
....
何度目かのこの気持ちを抱えたまま
金木犀の咽るような香りに悩まされ
ひとつに手を伸ばし 触れた指先から
こころ全てを奪われた
うつろう季節にひとつ
一筋のひかりを辿れば
....
水の中をただよう雪に視界を塞がれた
ちいさなちいさな世界
舞い上がる光のカケラは静かに 足元を通り抜け沈んだ
あの日のきみが閉じ込めた物語には今も雪が降っている
止まったままの ....
夕方の風をたぐりよせれば
ほんの少し 冬が見えたようなきがして
全身が震えるような歓喜に
わたしはせいいっぱい秋を
枯葉を踏みながら追いかけて
冬を呼んだ
もうやめて
わたしの前に居ないで
抱きしめるのも手を繋ぐのも君への誤魔化し
ごめんね。
見放して
でもきっと、今頃は私のことなんて忘れているでしょ?
いまでも夢みた ....
ひとつの季節に産まれる光と
ひとつの時間に死にゆく魂
脆い光の骨組みは
腕のなかで息づく命
消えゆくぬくもりへの道筋を辿る
いつかの日
煌く頬のあたたかさを守るため
いくつもの灯りを燈 ....
くるおしいと泣きながら
少女はおんなを殺した
触れていたいと叫びながら
汚した手を嫌った
繰り返した言葉を呪い
耳を塞いだ
くるしいくるしいと心が軋んで
去りゆく少 ....
ただ思い出してほしくて
その腕を掴んだ
心の中にきらきらひかる世界があって、
その続きをあなたが話してくれるのをずと待っていた
けれども、あなたはそれを忘れてしまったから
わたしは暗 ....
月ひかる波
うつる姿に
手をのばせば
とおくかなしい雫が手のひらを濡らし
近付けば
姿を壊す
本当に欲しいのは
あなたによく似たその水面
光る姿を目蓋に焼いて
日が昇る ....
あの人のなかに
暗い眼をした少年を見た日から
わたしの中に刻まれた誓いは
不安定だけども心の底に残っている
同じように わたしの中にも
膝を抱えた少女がいる
深い底まで降りて
わた ....
目は閉じないで
手は繋がないで
どうか忘れて
地下室の鍵は置いていってね
誰にも知られたくないの
死んでいったお話たちを
あなただけに話した物語
ここにお墓を作るから
心の底で死んで ....
カラのなかに割り込んで 食い尽くした
まだ残る冷たさを感じた空洞で
考える 思い
あなたがいないといきていけないよ
あなたがいるといきていけないよ
たった一つはもういらないから
....
秒針の先に私を刺す続きがあるのだとしたら
それは過ぎた日々を小さく刻む道
巻き戻すことをしない音と共に
切り落とされた足は熱をもって痛みと歩く
昏々と 眠る
土の中は寝返りをうてない
夢は消えない
雪に埋もれた夢の続きを
どうかどうか 続きを見せて
もいちど眠るその時に
冬の女王がローブを翻すと 雪は地に口付ける
棺に眠る秋を抱擁する腕は 冷たく
眠りは永遠のように凍り付いてしまう
その腕は 剣のように鋭利な 痛みを持って
空から降るいつかの春 ....
秋の葉が揺れ 踏み荒らされた道に 色
雨上がりの歩道に きみの あしあと
くしゃくしゃになりながら 乾く木の葉を足元に感じて
一寸先に 冬
凍えるにはまだ 風も ....
みずうみに手首を浸し
失くした鍵を探す
深い深い底へ
水面の月を掻き乱し
大事なものを失くしたふりをしながら
空洞の言い訳をするのだ
からからと 転がるかなしみだけが
音を立てていました
きのう 死んだ心がまた生き返ろうと、棺の蓋を叩いて
その音がまたからからと音を立てました
耳を塞げどその音は耳の中からするものです ....
からから
からから
糸巻き
運命巻き
繭は糸に 糸は呪縛へと
きつく きつく 縛られた運命の輪
オーロラ姫の紡ぐ先に
針の先が差すみちしるべ
あかいあかい道 ....
君の泣き声は ちいさくて きこえませんでした
つめたい雨のなか さがしていたのは ほんのちょっとの合図で
こころが 遠くにいってしまったのを悲しみながら またほかの事をおもっていました
本当 ....
とおく とおく
はなれた街にいる 膝を抱えた少女を迎えに行かねば
夢の中の少女は夕日の沈む部屋にいるだろう
そこでただ独り 膝を抱えているだろう
窓は少しだけ開かれているかもしれない
....
こんなに辛いのに、悲しいのに何度も思い出すのは、大切だと思ったあの人がその記憶のなかにしか居ないからだ。また出会ったら同じことを繰り返すと思う。何度も好きになって嫌いになって離れていく。それでも私の ....
月のきれいな夜に ひとり帰る
金木犀の咲く季節はどうしてもうまく生きていけなくて
鞄の中のお守りを何度も確かめた
あまいあまい香りはわたしを狂わせる
満月の光にふるえながら
まだ温かい ....
だれも 電話にでなかった
冷たい風は夏服のわたしを悲しくさせる
雨のにおいは記憶のなかにしか優しさをもたず
思いつく限りの番号を履歴にのこして
だれもだれも忙しいなかで一人だけ時間の空白を ....
ずきずきとした痛みがこころにある
いつからか消えない痛みは
あなたが手を繋いでくれれば消えると
そう思い込んでいたけれど
あなたがいても こころはまだ痛いままでした
銀色の包みのチョコレイトを
いつかあなたにあげたくて いつも鞄にいれています
優しいあなたを温める一粒は 日に日に形を変えて
この夏に溶けていくけれど
秋にはまた新しいのを用意しますね。
....
ああ
まるで
はいつくばる 虫
このように卑屈に生きていては
前を見ることすら叶いません
重い体を
ぐぐぐ、伸ばして
足をそろえれば
あとひといき
背筋を伸ば ....
空気を喉につまらせて
ぱくぱくと喘いだ
さらりとした風は
この喉につまるものと別物なのだろうか
何に喘ぐのかも解からずに
ただ この違和感を追い出したいだけ
右手で触れてみても
な ....
優しい手に言葉は潰され
汚れたような日々は拭えば溶ける
ひとつの言葉を持たないわたしは
凍りついた喉を震わせ
通じることのない音を立てる
お話にならない文字はだれにも伝わらない ....
逃水の向こうに君の姿を見つけ
マボロシと気付くのに3秒かかった
ホースの水が作る虹を
君に見せたいなと
君のマボロシもう一度みたいと
手に取れない愛おしさに指先だけで触れたいのだ ....
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