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漆黒の夜を裂いて、神楽の舞が、
寂びた神社の、仄暗い舞殿で、
しなやかな物腰を上げる。
右手は、鈴の艶やかな音色が、薫る。
あとを追う鳥のように、左手の扇子は、鈴と戯れる。 ....
心の中で咲いた透明な花に
蜜蜂は飛んでこない
雄しべと雌しべは
実を結ぶ事なく
ただ
静かに月夜に浮かぶ
どれだけ風が吹こうとも
どれだけ雨が降ろうとも
透明な花は決して折れない
....
{引用=
あれはたしか小学生のころ
ちいさな花をいじめたことがあった
冬がカサリと音を立てはじめたある日
お母さんがお庭でいっしょうけんめい
そだてた花を
「しゃんとしなよ」
「 ....
ふるわされた小紋の
遅い続き
とりつけられたままの
フレーム
切り落とした爪だけ
泣いてる
どこにいければ
そこは どこなの
力づくと
開けられたものに
かぶる 溶 ....
冬になれば夏に焦がれて
夏が来ると冬に焦がれる
そんな自分勝手な君を見るのも
なんだか良くて
ポケットに隠してつないだ左手が
ひんやりと冷えた君の手に僕の体温を伝える
手袋をして ....
ジャグジーがくすぐったいだなんて笑っちゃって仕方ないな
ほとんど脂肪だからよく浮くんだ、あ、臀部が水面から出た
人類が正しくなくても許すよ
種族になんの利益ももたらさ ....
帰る場所を私は持たない
たとえば
ふるさとは
ほろびるだけで
東京は
ただ試してる
ことば
あるいは
ことば以外で
わかったようなつもりになって
帰る場所を私は持たない ....
赤い河の流れに身を任せる
一通の船に乗る 目の前には夕闇
視界の先を今なら明確にimageできる
失くしたのは片肺…
失くしたのは最愛…
美しい音色に委ねる我が身
力の源が言葉であれば ....
ハイ ジミー
今日は晴れているかい
君がジムという名前かどうか知らないけれど
僕の中ではジミーと呼んでいたよ
ときおりすれ違うだけの君が
急に
ねえ兄弟
今日はなんて素敵に晴れてるん ....
それでも無くても
トリーチェの日曜日はいつも特別なのに
今日はレンガの隙間から太陽まで差し込んだ
雨漏りと暖冬のせいか
床に生えた黄色い苔のおかげで
鉛みたいな腰も少しは軽くなったし
....
朝から降る小雨が
今にも雪に変わりそう
そんな景色に
今日一日の力を抑えられ
心は閉じてゆく
沈んだ気持ちで
一日が流れてゆく
昼を過ぎた頃
気づけば雨は消えていた
間もなく ....
私は誰と言うよりは
なんで生きてるのって思想
生きる目的がない事は
死ぬ理由にはならないようだ
お母さんが出て行った
僕もお父さんも
泣いて 泣いた
ただ
まだ幼い弟は 何も知らず笑ってた
弟が「ママは?」って聞くたび
お父さんは泣きそうな顔をして
僕は聞こえないふりをする
....
気持ちが薄れ
情熱の炎は消え
彼女に振られた
私の夢は打ち砕かれ
涙は川となり
夜通し踊った
他に道はなかった
彼女は私を気遣い
そして私は別な道を歩くんだ。
....
雨は空から降るよ
恩人は退職していた
涙は瞳からあふれて頬をつたうよ
問題は停滞したままだけど願いは一つかなった
悲しみは遥かな藍色の空の下から訪れるよ
お金はない、だか ....
シンとして、乳首ふくます母と子を
ほのかに照らす五ワットランプ
電話が鳴った。
子供が生まれたのだ。 ....
女にふられたので、
それは夏のはなしだけれど、
線香花火して、死のうと思った。
あの子とふたりでしようと買ったのに、
できなかった花火が車のうしろトランクに、
いれっぱなし。
いれっぱなし ....
+と−の線が地面に引かれ
こぞってそこに点をうつ
私の位置は+3
あなたの位置は?
+と−の線が地面に引かれ
僕らその上をいったりきたり
人に引かれた線の上 ....
愛があります
行き場を失くして
さまよっています
暫らくすれば
消えてしまうことでしょう
まるで そこには
初めから
何も無かったかの様に
いずれ忘れて ....
汚れた空気を吸い込んで
白く吐き出す
スーツを着た人たちは足早に
私を押しのけていく
こんなに人がいるのに孤独だよ
窓を開けると冷たい風が頬を叩いたとき
思い浮かべたのは君の笑顔
電車に揺られて睡魔と闘いながら
夢で感じるのは君の唇
つまらない講義を聴くよりも
この時間を君と過ごしたかったよ
....
蝿を見てたんだ
蝿を
ずっと
すると
蝿がギョロリとこっちを見て
「バーカ」って言ったかと思うと
ビルになったんだ
ビルだぜ
でっけぇなぁ
って思ってると
ドロドロになっちまって
....
かいちゃんはまだ歩けない
もうすぐ一歳と五ヶ月になるのに
まだ歩かない
だけどハイハイはとっても上手
ものすごいスピードで突進して来る
逃げるのだってとっても上手
おむつ替えや着替 ....
ほんとうは
本物が欲しかったのに
目が覚めて
枕もとにあったのは
ぬいぐるみ
だから毎日
ごはんを食べさせてあげました
お話もしました
一緒に寝ました
そうしたら
すぐに
白 ....
夏よりもわずらわしい温度
記憶ばかりを鮮明にしてしまうから
ふと
何かを考えてしまう時はたいてい
君の手のひらの温度を思い出してしまう時だ
何も知らないという顔をして
巧みに僕を導 ....
記憶の ぬくもりが
朝のラインに 並びます
いくつかは やわらかく はじらい
いくつかは つめたく ゆるされて
/濡れた空に 水の旗が ゆるやかに たなびいています/
それで ....
眠りに落ちると
いつもそこは凍夜
誰にもじゃまされず
暗闇を独り占めする
外ではひどく激しい気流
雲で空に恨み言を描き付けて
あのころって、いつだ?
わたしたちって、 ....
歓喜は無限に
君にとってぼくはなんだいと尋ねた
無限は歓喜に
気の利いたことは言えないよと言った
歓喜は少し悲しかった
それを見た無限は
君にとってはぼくはなんだいと尋ねた ....
この街にまだ雪は降らない
灰鼠色の空は浅い冬のまま
恋人たちの吐息や
ブランコを揺らす手に護られている
わたしの何処か深くにある黒いものや
寒い、と寂しい、が似ていること
それに気 ....
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