うたた寝をしていた
週末の終電を降りると
駐輪場に一台
自転車は倒されていた
それを黙って立て直し
冷えたサドルに{ルビ跨=またが}って
軋んだペダルを今日も漕ぐ
人 ....
塊を握り締める
指の間からはちきれた渦
おろし器を経て屑になっていくわたしのからだ
君のために熱をいただき、
君のために繊維をほぐそう
あたたかくやわらかくなろう
....
冬の日に、自宅へ帰ると彼女がいたので
それから彼女と生活をするようになった
彼女はハチミツがとても好きらしく
尊敬する生き物に習ってすぷーんで食べていた
食べづらくない?と聞くと
うんう ....
洗濯物を取り込む音が
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君はもう産まない
とつぶやいた
僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えな ....
古い階段の踊り場に
私の母親が立っていて
壊れて逆周りをはじめた時計を眺めています。
腕を広げた真ん中では
なんとか時間を戻そうと
それはそれはちいさな弟が
歯車の点検をいたし ....
トミノ、
トミノ、
かわいいトミノ。
おまえの眼玉の裏側の
冷たい炎の燃えさかる
ちいさな地獄の真ん中で、
真っ朱な花がただ一輪
いまゆっくりと綻んだ。
トミノ、
トミノ、
かわい ....
背中、くっついちゃうね。
語尾で分かる、彼女は眠りそうなんだと、
顔が見えない。
抱き合って繋がりあって、その先まで考えていたけど、
今はこれがコップの全て、せ(か(い
違う世界を見ていかな ....
『カッターナイフからの逃走』
手首を切る。其の或る美の宿る、しかし多分に内省的に成りがちな行為に、多くの人間が行き場の無い血液を流している。
其の、或る種捨て子の様な赤い愛への憐憫から、 ....
ちょっと遠くまで 一人旅してきます
行き先はブルゴーニュ地方 はじめて行きます
街の真ん中にある ノートルダム聖堂の
ケルト信仰と錬金術に関係があるって噂の 漆黒のマリア像に
....
どうしよう、ねむれないわ
だってひとりだもん
だってひとりだもん
どうしよう、ねむれないよ
だってあなたがいない
だってあなたがいない
こわいの
ひとりのよるは
....
先生、あたし気がつくとコンパスの針で手を刺しているの
ぽつんぽつんと赤い点が、やがて一本の線になるまで
先生、あたしその血を舐めると少しだけ安心できるの
一瞬の痛みがはしるたびに、何処かの記憶が ....
暗いことが悪いことだなんて誰が言ったの
友だちのいない子をいじめたのはだあれ
引きつった笑顔を作ろうともしない君
暗い瞳で虚空を見つめる君の横顔
....
踊ろう君の手が空いたなら
人生をかけてゆっくりと
時にはクイックやジャンプも入れて
疲れたならスローテンポで
踊ろう手と手をつないで
恥じらいながら大胆に
時にはゆっくりおしゃべりしな ....
自殺で死んで次に目を開けた僕は心底がっかりした
同じ病室で同じ母親の下に生まれたからだ
隆没をたゆたわせれば僕らいつか仲良し一緒になれるかも、ってね
セックスの後に知ったのは涙って舐めるとしょっぱいんだってこと
いつも降るわけじゃないから雨なんて絵になるのにね ....
命題
[埋葬:骸骨教会、柘榴と少女]
対話:質問形式
Q.
『ウミ女神no.10-蘭,p、ラム酒ガ在ル肢
-ファン..k?..Cake、sn)ト(ow 魔女?』
A. ....
右目が溶ける
まだ見える
左目が溶ける
もう見えない
右耳が溶ける
まだ聞こえる
左耳が溶ける
もう聞こえない
鼻が溶ける
口が溶ける
もう嗅げない
....
蛇行する街路。指が辿る白砂、海を象る。塩化ビニルのパイプから流れ出る、清かな水。
指を介して移殖される経典。放浪者。苔生す隘路に咲く白花。
完了したら眠るだけの無垢。抽象だ暗喩だに満ちた ....
君が おやすみ。と言ってから
僕が おはよう。と言うまで
こんなにも長い
時間を
僕はもてあましたまま
深い深い 暗闇に沈む
そしてまた ぼやけた時間の中で
追い ....
くちゃ、
おかあさんがかえってこないので、おやつにだされたゼリーをふんだ。
だいどころのゆかがつめたいのに、おかあさんはくつしたをくれない。
となりのうちのおばあさんが、さっきとんで ....
海はどこ?
と言いながら
あなたの中で果ててゆく
海が見たい
と言いながら
あなたの中で消えてゆく
海に行くわ
と言いながら
あなたの中で力尽く
優しい光の街灯が
石の ....
立ってる君、座っている僕、違う遠さの水平線を見てる
洗濯物干しといて私ちょっと銀行強盗してくるから
ごめんなさい、なら何度でも言います。謝罪と反省はただなので
....
きみにそっくりな犬が
くさりにつながれていた
きみの名前を呼びながら
頭をなでたら
涙がボロボロ流れて
止まらなかった
やっぱりきみが好きだった
薄暗い中
あかがねに染まる朝焼けを見た
時計がさざなみ
町外れの橋が影になる
息を吐く声
電車の踊る音
タタン トタン トトン
パタン ポタン コトン
読みかけの本を閉 ....
あの日の冗談も忘れて
いつからか黙り込んで
うまく話せなくなった
笑顔も作れないままで
押し殺した感情の波に
体はただただ眠るだけ
昨日の未来は過ぎ去り
苦しみも記憶の中だけ
芥子粒みたいな自我を
心 ....
大切なのは忘れたもので
必要なのは失ったもの
私の欺瞞に笑顔で答えた君は
きっと聖者なんだろう
だけど私に必要なのは
どろどろとした、気味の悪ささえ感じる
君じゃな ....
猫を飼えない代わりに、木の苗を買ってきた。
シンクの上に置きたかったから、鉢は百均の小さなのにした。
猫を飼えない代わりに、水をやって日に当てて、肥料をやってあれこれ構う。
あた ....
*
蜂男は全部が蜂でできている。
顔も、身体も、腕も足も
ぜんぶぜんぶが蜂でできている。
黄色がかったオレンジと、黒の縞の蜂でできている。
だから
側を歩くとブンブンブンブ ....
わたしのくびれを
無数の星砂がくぐりぬけ
今か今かと
あの人からの着信を待つ
動脈に溜まり過ぎた
星砂で
浮腫んだ下半身は辛いから
壁際でくるり
倒立でもしてみる
静脈を辿る星砂の勢 ....
大好きな 歌 を
そら で うたえるように なった頃には
もう 君は 投げ出した
すべて の先で
別の 歌を つくり はじめて
光の 先の
何か を 目指してる
僕は 君 の
あと たどり
迷い
泣 ....
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