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まだ憎しみの火がこの心から消えないのは
あの時に費やした愛の反動だろうか
それはもし人生に於いて費やす
愛の量と憎しみの量が同じだったら
と言う事なのだけれどね
そんな事はどうでもいい
....
夕暮れに降り出した雨は
いつしかわた飴に変わっていた
本日の降水確率は夏祭りです
割り箸を持ち歩きましょう
町を歩くと
大人も子供もみんな
甘く優しい色に包まれながら
頭の上で割 ....
長い間
独りの囚人は
牢獄の
冷たい石の床上で
両腕を垂らし
立ち尽くしていた
弱い我が身を守ろうと
幾人もの人を
闇の底へ
蹴落として来た
背後の窓から ....
夫に邪険な扱いをうけた。
いや別に殴られたり蹴られたりしたわけではないのだが、
妻に対してその態度はちょっとあれなんでは、という程度の邪険さ。
だからたいしたことではないのだが、
この間カウン ....
開いた股の上で
上下する{ルビ顎=あご}
薫る黒髪の間から見上げる
{ルビ女猫=めねこ}の瞳
( にくが、唇に、すわれてゆく
天井に
重なるふたりの影
仰向けに横 ....
1.
金属は湿っている
雨は歌っている
窓辺にはカーテンが
幾百万の色調とともに
輝いている
絵の中の小人が歩き出す
時計は止まっている
目を閉じている人がいる
ある夜のことを思 ....
春の日 降られたし
パステルカラーの洋服が目立つようになった最近
冬のうちから季節を無視していたあたしは
回りに溶けてしまいそになるのが怖くて
茶色と黒の服を買い込んだ
....
その1
爪のにおいを嗅ぐのがすき
その2
口げんかで負けることをよしとしない
その3
すぐ怒るなんでも人にせいにする
その4
甘えるのが苦手
....
電話が鳴っている
図書館の北側には
地平線のようにゆるされた
、窓がある
そらは一層曇っていて
灰色は遠い罪
せめて自分ぐらいは、
自分の味方でいてやりたい
冷たくて無愛想なホテルのバック通路にまで
複雑に入り組んで伸びてきた
甘い生クリームのケーキ
黒いのはダークチェリーで
緑色のはマスカット
桃と、アプリコットと苺と梨とフランボワーズ、ラズベ ....
今
車のタイヤが雪を
ぎゅう
と踏む音が聞こえて
それはあなたの
今の気持ちの音
なんじゃないかなんて勝手に考えて
いつもは気にしない時計の
針の音が
良く
聞こえました
希 ....
私はあなたの絵がもっと見たかったのかも知れません
あなたに幾度好きですと伝えたかをもう覚えてはいません
ある日私の家の飲み会の時にそっとキスをした事を覚えています
あなたの家にいきなり住み着いて ....
その一・命と言うカテゴライズ
風呂は命の洗濯だと言うのだけれど
どうやら私は洗濯をし過ぎた様で
首やら袖口やらなにやらなにやらが
伸びてぐたりとなってしまったらしく
そいつ等を支える事が ....
踊ろう君の手が空いたなら
人生をかけてゆっくりと
時にはクイックやジャンプも入れて
疲れたならスローテンポで
踊ろう手と手をつないで
恥じらいながら大胆に
時にはゆっくりおしゃべりしな ....
自殺で死んで次に目を開けた僕は心底がっかりした
同じ病室で同じ母親の下に生まれたからだ
雨の降る夜の路地裏を
酔っ払いの男は一人
鼻歌交じりに
傘も差さずに歩く
涙色の音符を背後に振り撒いて
雨は降り続き
路上に散らばった音符は濡れて
よろけた男の後ろ姿は ....
父が僕を
食べる夢を見た
いやらしい目で
汚らしい指で
僕を食べる
なんて美しくない
なんて汚らしい
なんていやらしい
僕はどうやら
まだ幼すぎて
手も足も出ない
出 ....
君にあげられるものは
これから先に起こりうる
希望くらいのものだよ
それもかなり不確かな。
それでもいいなら
左手をおだし。
たくさんの思考の間に挟まってくるもの
君が
私の知らない場面での
面白そうな企みを
どんなに楽しそうに喋っても
私はぜんぜん楽しめない
わかるかい?
逆の立場だったら
そう思う ....
そういえば今日
小雨のなかで
男の子と
お母さんが
散歩を
していた。
ゅうくんはじゃぼんすぅの
そういって
じゃぼんしたら
お母さんに
ぱしゃん
ゅうくんが
ごめんな ....
父は歩き続けた
角を曲がったところで左腕を失い
コンビニの前で右腕を失い
市営住宅の駐車場で両足を失った
やがてすべてを失い
最後は昨年まで歯科医院があった空地で
一輪の花になった
....
たとえば勉強すること
勉強が大切なんじゃなくて
勉強することが大切だと思う事
たとえば人を好きになること
好きな事が大切なんじゃなくて
好きになれることが大切だと思う事
たとえば父 ....
ほとんど一日家にいても
腹は減る
そんなときの食事は妙に豪勢にやりたくなる
肉も魚も野菜もたっぷりと食べたくなる
そして食べ過ぎたと思う
気持ち悪い
それでもまた ....
静かなそらを見上げると
無数に星がみえました。
東京では息がくるしくて
毎日仕事に来るたびに
目がかすんでしまいます。
故郷はどうだったろう
そんな事をおもってみた ....
寂しい亡骸を一人抱いて
浜辺を歩いて一回忌
君よりも一つ多くの夏を知り
君のいない夏をまた一つ多く知った
それはとても簡単な事なのだろうあ
なたが其処にいた事実もう既にない
のだから後は己次第だ忘れようとし
て記憶操作を行うも脳に染み付いて
しまったあなたの言葉や多くの嘘い
まも消し去る事できず ....
それでも私はアナタの足にしがみついた
アナタが私を見下ろして笑う
何をそんなに慌てているの。
何を ....
幸せになろうね
と
囁いたその唇で
幸せになってね
と
呟かれた
言わせたのは、私のはずなのに。