欠けていく
月のもとで
君と愛し合う
風に呼ばれ
二匹の猫と戯れて
君を味わう
曼珠沙華の色と
虫の音が
君を満たしている
少し
湿った空気が
君と共にある
こ ....
煙草なら2本ぐらい
珈琲ならカップに半分
散歩なら近所の公園まで
君と話すなら今日の予定ぐらい
キスならたっぷり
それぐらいの時間で
もうすぐ太陽が顔を出す
夜明け前
アナタノ様ニ強ク
アナタノ様ニ優シク
生キテ行キタイト願イ
アナタノ様ニ儚ク
アナタノ様ニ美シク
死ンデ仕舞イタイト願イ
雨音ノ中デ彷徨イ
土煙ノ中デ{ルビ蹲=ウズクマ}リ
日 ....
詩は生きるよろこびをうたう
もちろん死をうたうこともある
生を語るに死を考えぬはずはないから
踏み出せない一歩を踏み出すため
渇かない涙を一時でも乾かすため
ときによろこびを高らかにうた ....
いつまでも気付かなければ良かった
と思うことがある
熱帯夜の寝苦しさに目をふと覚ますと
わたしの知らないおとこのひとが
わたしの横で寝ていて
二つ並んだお揃いの枕と
ふたりで寝るには狭いベ ....
魚類図鑑を開き
少年は魚になった自分を
想像する
エラ呼吸の仕方が
わからないので
いつも溺れてしまう
遺書は
鳥類図鑑に挟まれている
夏空の飛び方なら
誰よりも詳しく
知って ....
飛び込むと
その先には砂漠が広がっていた
課長がいて
砂粒をひとつひとつ数えていた
課長
声をかけてみた
砂漠では名前で呼んでください
と言われたけれど
課長は課長だったので
知 ....
絶対感動
ときめきと
センチメンタルに
羽を広げて
たまに涙し
たまに笑うような
歴史に想いを馳せ
世界を救うとか
愛って何とか
生きるってすごいよねとか
死んでしまったらいいよね ....
全ての孤独を共有して
君が明日居なくなればいい
全て君が背負ってしまえばいい
すぐに崩れ落ちるプライドの欠片
追剥みたいに全て脱がされて
生身の肌を晒して
優しい痛み生まれるため
....
うつくしいものが見たい。
見せてください。わたしに。
身に余るしあわせ。
取りこぼす歌。
たくさんの世界を見せてください。
ただ、うつくしいものが見たい。
なにかう ....
鳥は空に向かい飛んでいるのだろうか
もしかすると本当は
空などでは無いのではないだろうか
では何処に
魚は海の中で生きていけるのだろうか
もしかすると本当は
海の中では生きられない ....
明け方の空は曇っているのに
あんまりにも透明なもので
まるで海の底のように感じました。
少し泳いでいくと
灰色の話を詰めて
銀色の魚が泳いでいくので
おはようと声をかけましたら
とて ....
思い出は
あの貝殻の中に
封じておきました
想い出は
あの海の下に
沈めておきました
車窓から覗いた景色は
にじむようにゆれていた
溶けて無くなるんだ
バターみたいだ
僕の理性なんて
所詮ただのコルク
そんなのもう
哀れでしかないね
少し揺さ振りかけられただけで
もう圧力に負けてしまう
吹っ飛んでさよなら
....
洗面台に両手をついて
鏡面にうつる
わたし自身の姿に
すまし顔のわたしを脱ぎ捨て
背後から
すべてを包んでくれる
あなたの胸元にすがりついてしまう
ひとは誰もそうするように
突きつけら ....
君にあげられるものは
これから先に起こりうる
希望くらいのものだよ
それもかなり不確かな。
それでもいいなら
左手をおだし。
白いドレスが綺麗でしょう
淡い世界に霞まない様に
紫陽花色の傘を咲かせて
君が笑うものですから
僕は蝸牛の様に煮え切らない速さで
ゆっくりと世界の湿度の中に溶け込んで
綺麗だなぁなどと ....
出会わなかったのか
出会えなかったのか
出会わない君と
出会えない僕が
すれ違っていく世界
僕等は見知らぬ他人で
僕等の出会わない話で
僕等の出会えない世界で
僕等は恋 ....
たくさんの思考の間に挟まってくるもの
君が
私の知らない場面での
面白そうな企みを
どんなに楽しそうに喋っても
私はぜんぜん楽しめない
わかるかい?
逆の立場だったら
そう思う ....
一日は二十四時間だと思いこんでいて
一年は三百六十五日だと思い込んでいて
一時間は六十分だとばかり思い込んでいた
ほんとうは
一日は一日で
一年は一年で
....
今年も古い母屋の軒先に
つがいの燕が巣作りしました
生まれたての可愛い雛たちは
親鳥の帰りをひたすら待っていて
精一杯の幼い首を伸ばして
甘えたような鳴き声あげている
(なんだか可愛いな
....
少しずつ世界はずれていたんだ
今まで気が付かなかったよ。
今日の明け方に外にでて初めて気が付いた
世界は少し右に傾いていた。
みんな普通に歩いてるけど知ってるのかな
世界 ....
寝息をたてる合間にも
世界に溢れるレッドサイレン
今日も誰かが死んでいく
通勤ルートの途中でさえも
交番の死亡事故数は死を感じさせている
日常に溢れる死の気配
瞬く間に命を奪われる ....
酸化鉄の黒で
綺麗に染まっている部屋の片隅
赤黒い肉塊を抱いて
愛していると一人呟いた
僕の人差し指をそっと
温もりの失われた君の唇に触れて
君の人差し指をそっと
僕の唇にあててサイ ....
あなたの
うた
が
好きです
少しだけ
悲しくて
でも
どこか
強くて
消えてしまった
あなたの
こえ
機械からしか
聞こ ....
そういえば今日
小雨のなかで
男の子と
お母さんが
散歩を
していた。
ゅうくんはじゃぼんすぅの
そういって
じゃぼんしたら
お母さんに
ぱしゃん
ゅうくんが
ごめんな ....
夜は綻び
朝が死角からやって来る
陽射しが強くなれば
それだけ濃い影は出来て
ありふれた若さのなかに取り残したわたしと
残り時間を失ってゆくわたしが
背中合わせする毎日に
日 ....
わたしとしては早く終わって欲しいのに
あなたはまるで厳粛な儀式に望む
いんちきくさい司祭のような面持ちで
わたしのかたちを確めてみたり
わたしの知らないかたちで動こうとする
ふだんと違う表情 ....
都会の川で子供の変死体が発見された
それと同時刻に、屠殺場で豚が悲鳴をあげた
恐怖は肉に染み渡っていった
鶏舎で一列に並べられ管理されている鶏たちは
産み落とす卵の中に自分達の気持ちを込め ....
読み違えた時刻表と
溶けるような蒼さ
誰にも触れられないまま
街を逃げる
此処は誰にとっても何処でもない
気が付けば
喋らない受話器を静かに置いていた
ミシンで縫い付けた ....
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