ミミという女の子がいて
今もどこかで生きています

彼女は
ゲームセンターのUFOキャッチャーで
お母さんにキャッチされ
取り出し口から生まれてきました

生まれたての彼女は
背 ....
同級生はドラッグストアで働いていた
名前はみらいちゃん と云った

休みの日には呼び出されて
公園を匍匐前進させられたり
炎天下の坂道を延々往復させられたり
首を革紐で縛られたり
草を食 ....
窓を拭いていました
ドーナツを食べるあなたが映っていたので
わたしは飛び込みました
泳ぎました
しばらくそのままでしたが
砂浜があったので座りましたが
どうやら無人島でした
何故無人 ....

わたしの家の郵便受けには
朝になるといつも
赤い花がいっぱいに届けられる
露を含んでぽったりと
流れ出しそうな赤い花だ
どこかにわたしを好きな人でもいるのだろうか
捨てるに捨てられな ....
若草色のスカートの金具が
押さえられた背中に擦れて
小さな傷をつくる
心地良く冷たい 磨かれた床は
父だったのに

眠ったふりをして
扉に向けた工作鋏を
両手できつく握り直した
桜色 ....
かなわない風が巻き込まれる
斜めに落ちる こすりつけられた熱のあった
触らない高さ
鳥がいやそうに羽根を打って
冬を越してしまうのかもしれない
固まりついた葉の向こう
紐をつかんで ここで ....
雨がシトシト
降っています

水がコォトの上から少しずつ染み込んできて

そのうちに
気持ちよくなり

でも靴の中だけは勘弁してください

濡れることを嫌う小人がいるんです
靴下 ....
何もすることがないし
小腹が減っていたので
とりあえず便利な未来の箱に

「ほぐした蟹の身」

と入力してみる
こうしてみても
パソコンの目の前に
本物のカニチャーハンが
出て来て ....
すぐに忘れてしまう
すぐに見失ってしまう
さっき見せた笑顔の理由も
ドリップし立ての珈琲の香りも
目を刺すような青空も
またすぐにわからなくなってしまう
スプーンで3回掬って
マグカップ ....
一.


番号をつけるかわりに
名前をつける
えんえん正しい
回路
いつか誰かにのぞまれる手
という呪文




二.


ステップが日の長さに合わない

れんげは ....

夕暮れの遠くに霞む
四台のクレーン車は
輪を描くように向かい合って
なんだか
太古の昔に滅んだ恐竜の
弔いをしているように見える


朝に洗濯物を干す母親は
太陽に両腕を広げ ....
「もう無理なんだ・・」 と

電話の向こうですすり泣く男の声を聞きながら
鳩サブレーの袋を破いた。

バターのきゅんと効いたこの銘菓を、私は好きだ。

ぼりぼり。

むしゃむしゃ。
 ....


そろそろ着陸する
と云うので
五人の宇宙飛行士たちは
めいめい
色鉛筆や携帯電話や文庫本やマニキュアなどをしまい
いやいやながらも手をつないで
着陸に備えた

しかしそれ ....
 写真が嫌いだ。風景写真は好きだが人間が写り込んでいる写真が大嫌いだしじぶんが写り込んでいようものならその写真を処分するためにおまえの妹の身柄を確保して交換条件にしたいぐらいに嫌いだ。思い出は必要 .... http://www.cs-tv.net/t/D000000/&movie_id=00006350


ラブロマンス。恋愛映画で、とても、わかりやすい。
丁寧で親切な作り。
ともすれ ....
僕はとうとう戦争に行くことになった
もしやとは思っていた
それでも皆
今でも半信半疑なのだ
ほら、そこの上官だって
皆が本当に自分のいうことを聞くのかと心配顔だ

僕はといえば、さっきか ....
音も無く
特別な体温は過ぎ
今は、ここは
「ふゆ、」
という
息と


(さよなら、)
という
息と





ただの息
と化す。
 ....
ちちとことせいれいのみなにおいてあーめん

幼い頃は弁当箱を開くと呪文のようなあーめんが現れた
まざーが見下ろす屋根はちいさな囲いに睨みをきかせ
あーめん 指を組まされる

チチトコトセイ ....
それは只の憧れ
ひとつの夜の幻覚か

理想
思念することにより
創りあげられた
霧氷の幻人

緑の綺麗な茶碗に
お前が
今宵吸い込む
真実を集めよう

それは或いは悲 ....
くちびるは濡れるから
ことばもいつか
濡れてしまう

めぐみと呼ぶには
砂ぼこりが多すぎる



古びてゆく壁に耳を寄せたら
わからない音だけが
あふれて

古びていたの ....
あるところに男と女がいて
であって 好きあって
子供ができて 家庭を持った

あるところにできた二人の家庭は
明るい家庭で
子供は二人
跳ねて 飛んで

子供の頃によ ....

どんなに長く電子メールを送信しても
恋人は七文字程度しか
返信してくれないのである
業を煮やしてメールを送信するのを止めると
次の日から
矢文が届くようになった
頬を掠めてすこん
 ....
どおぉーんとした夜明けには、
ゾンビがどんどん生まれて死なないのデス。

もしもーし。
死んでるデスか生きてるデスか。
もしかしてゾンビさん、
デスか。
 ....
嫌われることに震える両手は
ひとを切らずに
済んだかい

置き去りの身に震える素足は
ひとを捨てずに
来たのかい


 おそろしいものは
 いつも
 わからないのに
 
 ....
春が来て
夏が来て
秋が来たら
もう冬さ

春が来て
夏が来て
秋が来て
そして結局
冬が来る

コンコンコン
シャンシャンシャン
サンタは泥棒
冬の夜
転びました
擦りむいた傷口に
くちびるの感触
夕日は沈んだし
帰らないと

さようなら
離れた手のひらは
僕のそれとそっくりです
赤い目をしたウサギが
道路の真ん ....
流れ星のいけず やくたたず

声、届かないよ
こころ?
うん、よけい届かない


精密機械のおもちゃが悲鳴のまねをしてる
手の平サイズのさびしさは
空気と、からみあうラインへ
 ....
夕陽オレンジがとても綺麗だ

あなたもそう感じたのなら
わたしの手は握らなくていい
舌を出しながら遊んでればいい
まわる毒がまわったら倒れたらいい


これはきっと夕方のはざま

 ....
女にふられたので、
それは夏のはなしだけれど、
線香花火して、死のうと思った。
あの子とふたりでしようと買ったのに、
できなかった花火が車のうしろトランクに、
いれっぱなし。
いれっぱなし ....
旅慣れた人の荷物は小さいという。
わたしの鞄はぱんぱんに腫れ上がって重い。
たった一人遅れてやってきた草原で一息つく。
鞄を開くと
女が入っていた。
死んだはずのわたしだった。
やっぱり死 ....
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