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雨のような音がしていた
始終ずっと
雨のような音がしていた
よくよく考えてみると
それは雨の音ではなくて
誰かの足音だったのかもしれない
雨の音は段々近づいてき ....
*
最近
妻が出来た
嫁を娶ったのではない
わたしは女であるから
正確にいえば
嫁の方から勝手に来たんである
或る夜のことだった
四百円を手にちゃらちゃらさせながら
....
パン屋で晩ごはんに
パンを買ってたらさ
雨降ってきて
俺のほかにお客さん三人
雨宿りだ
このパン屋は引っ越してからよく来るようになった
おいしいし
お姉さんがきれいだ ....
神は消えた
明日は我が身か
国営放送の請求書が
ひらり
と郵便箱に滑り込む頃
誰かの忘れ物が
公園の隅で
しゅか、しゅか
光る
睫毛に引っ掛かる
砕けた陽射しはもう
夏のように
貪欲ではなくて
握り締めた領収書は
たまし ....
・
曖昧に舌を含んで
ただ笑った
あなたの考えている事は解らないと
言われたから
悲しむだけの隙間も無くして
ただ笑った
薬は二週間分出たから良かった
・
フォークを持つと
人 ....
まめクジラの水槽には
売約済みの札が貼られていた
まだ幼いのか
さざ波を飲み込んだり
小さな噴水をあげては
くるくる浮き沈み
はしゃいでいる
こっそり水槽に指を垂らすと
あたたかい ....
ペポさんは全く悪くないから
ペポさんの味方だから
と会社の人
君はそっとお茶を出してくれた
お客様に問い詰められ
油を絞られ
怒鳴られて
正直やめたくなる
男はやっぱり忍耐
....
君の願いが叶うのなら
どんなことかと尋ねられ
何もいらないと答えた青年は
望みどおり
何ももらわなかった
それでも彼は
幸せだった
願いが叶ったのだから
何もいらない
一文無 ....
卵の殻を拾った
石のない小さい場所を取り合っている
雀の声はきれいだ
枯れた柏の葉が繁る窓までの透き間に集まって
空は見ない
布団の間に押し込まれていたのは、つぐみだから平気。糸を引 ....
ああ また白馬が
やってきたんだね
まだぜんぜん食べてないのに
そんな目をして
いつも俺が
しんけんに作った
晩ごはんをふたくちぐらい
ゆっく ....
頭蓋骨を輪っかに切って
かぱっと開けて
見てみたら
ごまプリンがいっぱい
詰まっていた
だから
スプーンを突っ込んで
ぐちゃぐちゃに混ぜてみた
そして再び固めて
そうっと
頭蓋骨を ....
海辺を散歩していると
王様が降ってきた
星を掴んで
冥土の土産だと
王様は差し出す
星は掌の中で静かに砂になった
ドングリのみなさま
しばしご聴講いただけますでしょうか。
私、もドングリではありますが
この度、ドングリ代表に立候補いたしましたことを
ここにご報告いたします。
他にも2個のドングリ ....
ある日
夜、歩いていたら
街灯がやたらと
光って見えた。
何度目をこすっても
光って見えて
どうしても
吸いつけられてしまった。
だから、
もう
帰れないと思った。
傾斜/午後の光
射す灰色の空は
立ち並ぶビルの
すぐ上に落ちて
夕焼けが始まる
前の憂鬱を伴った眩しい公園で
少女はぶら下がっていた/傾斜
「久しぶりに土の匂いをかいで
あの ....
人生はめぐりあわせ
かたちあるものは必ずいつかはこわれてゆき
同時に精神の壁も崩落してしまわぬように
ぼくたちは両手首をコンクリートの中にぬりこめる
押し戻そうとしてもできっこないのに
....
音階の一部が透明な小石
古代から引いてきた糸ついに張る
網の庭の下に住む 髪の毛は木の根
バター溶け出し箱に終わりゆく徘徊
ある標高の白い雲から白い服
殺意が液体になり家 ....
壁に{ルビ掛=か}けられた
一枚の絵の中の蒼い部屋で
涙を流すひとりの女
窓からそそがれる
黄昏の陽射しにうつむいて
耳を澄ましている
姿の無い誰かが
そっと語り ....
象の飼育係をやめて
バスの運転手になった
象の目は悲しげだ
と言うけれど
乗り降りする人たちも
体のどこか一部が悲しげだった
遠くに行きたかったのだろうか
数頭の象が停留所にいた
....
いまは 昔
若い 宣教師
その信仰
通称 ラット
忌み嫌われて
ヒト以下さ
どんなに愛を
説いたところで
....
お前の髪
蚕の繭だったらなあ
白くて細くてふわんとしてて
綺麗だろうなあ
俺はお前を紡ぐんだ
糸車を
カラカラ言わせて
それから織って
お前は美しいすべらかな生地になり
....
わたあめの 中の
といだ 蜜
くぼみに溶かされた
まつり
包めないから
カーテンていうきれぎれに
爪にしか渡れない
ささくれ の 先
夕暮れの 歩道橋
見えるはず ....
ソーダゼリーが好っきゃ
めっちゃ好っきゃ
でっかい青いソーダゼリーをな 用意してやな
裸になって 飛び込みたいんや
体の内側も外側もソーダゼリーで満たすんや
息も絶え絶えに溺れるねん
....
晴天
温かい日差しの中
何も考えずに歩いた
その日の深夜
五感を遮断して
何も感じないように
闇の中に潜んだ
あんなにも世界は明るかったっけ
あんなにも世界は温かかったっけ
....
コスモス揺らめくかの丘に
置き去りのままに鐘が鳴る
なにも言わず別れた日さえ風に鳴らされ
君は今は誰かと
夜に沈むのでしょう
明日は晴れです
君なしで始めた暮らしが
君な ....
だから僕が書きます。
僕が生まれた時
町の中に小さな森と小さな川があった
森も川も縮こまっていて/肩身が狭そうだった
本当は大自然の中に/町が点在しているはずなのに
子供が認識できる世界 ....
ネットはたまに嫌なこともあるけど、
自分の知らないいいことを顕在化してくれる。
ネットは匿名で悪口を言えたりするけど、
普段言いにくいことをいつもより気軽に言えたりする。
いい ....
かみさま
できれば
いま
だきしめてほしいです
それができないのなら
ころしてください
おそらく有限であろう未知をたべること ....
?.
あなたを
あなたのすてきなところを
一日
大切にする
あなたを
あなたの汚れたところを
裏返して
日に透かしてみると
おかしな影ができるから
その影に指で ....
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