積んだ石が流されてきた庭を掘って、埋めたいものが見当たらない。怖い色があった夜。あれもこれも気の済まない形ばかりの空に、囲まれていた。しゃがみこんだ足の下に押さえ付けた砂利の尖り。たくさん作った傷の ....
このアパートに住み着いている猫の話では
世界はすでに終わってしまったらしい
猫は目を細めて悲しそうにしているが
世界がいつ始まったのかまでは教えてくれなかった
仕方がないさ、と猫は言う
....
秒針が/ちくともちくとも何かを刻む/焦燥をこぼす君の眼差し
自死を希う/君の髪からフレッシュベリー/毎晩シャンプーしている癖に
此の世には/奇跡もドラマも無いけれど/幻覚や妄想なら ....
こゆく さなぎり
はたて まどのみ
ついた ひごそで
まりせ ふむりん
ささぐ こみちね
わたす はねつち
ほせよ ほうれぬ
かがり くみこい
子供の頃は
船乗りになりたかった
世界中を旅して
冒険して
人食い人種にとらわれて
奇跡の脱出
漂流して
魚食べて生きて
雨を集めて
さめを殺して
奇跡 ....
服を脱ぎ捨てながら
でもそれはなんだか恥ずかしくて
でも人間だから好きあってるから
服を脱ぎすてながら走る
それはチューリップで
色とりどりのチューリップで
....
こんなことまで詩にしてみました
小さな女の子が俺に
だじゃもん ちょうだいっていう
だじゃもん ほしいっていう
だじゃもん ねえ だじゃもん
だじゃもん ちょうだい
だじゃもん ほしい
そういわれ ....
牛のお肉が
ぴとぴとと
月の光に貼りついてる
生きているときは草をよく食み
くるぶしも美しかった
のだと思う
わたしのお肉もきっと同じ色をして
人のことをかつて愛したのも
この肉の ....
【睫毛の先】
もう
恋なんぞしない
と思って泣き続けたら
はらはらと
睫毛が残らず抜けてしまった
恋は
睫毛の先に止まるという
以来恋をしたことは無い
【 ....
そのころ、と言っても今でもそうなんだけど
僕の遊ぶベースは六本木で
ヒマがあるといつも
終電でやってきて始発で帰る日々を送っていて
仕事の知り合いよりもこの街の知り合いのほうが多いとい ....
真夜中 岸辺に泳ぎ寄る魚は
不吉なほど黒い
昼の海からは
想像もできないほど大きく
ものものしい動きをする
これは
寝静まつた陸に
少女をさらひにきた悪魔の影だ
....
精一杯の努力をします
{ルビ掌=てのひら}にのせた
{ルビ一片=ひとひら}の恋の花
千切って夜風に放つ
そうして青年は
破れた心のままに
深夜の断崖の上に立つ
目の前には{ルビ只=ただ}
....
昨日は其処には無かった窓から
招待状を携えて
使者の使者があらわれた
見おろすと路上はすっかり{ルビ鈍色=にびいろ}の流動体と化していて
あちこちのビルの歪んだ非常階段に
コロスが点在してい ....
ごめんね
今まで気づかなかったよ
赤や黄色の季節の絵の具で
みずみずしく重ね塗りされた
桜の木の葉っぱの影に
ちいさなちいさな
土色の蕾
今までずっと蕾は ....
弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れ ....
残光に霞んだ視覚が荒い砂粒に吹き払われる
芥の幻が、埋没した歴史に今も残る「カタチ。
伽羅色に侵食された古代の町が 彼方に浮かぶ
鮮やかな猩々緋の空と砂のミラージュ
陽の沈まぬうちに 亜麻 ....
ちょっぴり悲しい思い出です
しかしまあどうだ今朝のこの赤ん坊っぷりは
何にも考えてない
何にも考えてないで
シャウトしてるぜ
オパポー
オパポー
おぱぽう
おはようじゃなくて
おぱぽうだ
....
そらにもよ
でっかいそらが まつんだと
まんずだまって みあげてみれ
そっだらここちが するもんだでよ
ふしぎなもんさな
なしてかな
はらっぱはよ うみのすみっこなんだと
うなば ....
乾きたてのネグリジェーは柔らかく
僅かに生臭いにおいがした
貝のぼたんが付いている
それを
人差し指で
上から順にさわってゆくと
真ん中のぼたんだけ
緑色の丸いぼたんに
付け替えられて ....
詩の中に
僕もいなければ君もいない
いるのは僕と君
今
僕の前には
大きな壁が立ちはだかる
それは僕が必ず
乗り越えていかなければならない
今
君の前には
大きな壁が立ちは ....
りんごは優しく指を濡らし
珈琲は
のどぼとけを笑わせながら
そっとすべりこんでくる
隣のうちのベランダに
タオルケットが干してある
いつから干してあるのだろう
もうずっ ....
反復法だけに、許してね
一
観葉樹が、かぜに揺れて、嬉しそうに笑いかける。
笑いは葉脈のなかに溶けて、
世界は無言劇に浸る。
映像のように流れる無言の織物。
かぜが、喜劇に飽きるまで、永遠を飽きる ....
頭の上に
鳥が卵を落としていった
やがて卵は孵り
駅が産まれた
列車が到着しても
人のざわめきもない
さびしい駅だった
かすかに潮の香りのする
海沿いの駅だった
その重さで首 ....
4コマポエムを作ってみました
斬新すぎたかなぁ…
{画像=061008035546.jpg}
ふとした隙に これが現実だと崩れ去るのは
トランプの尖塔と 君のいた日
今 君に届かぬ声を出すのは
次々狂う 出会った人間
僕はまた この世界へ目 ....
さみしいと
寄り添うくせがあるので
いつも
ポケットにウサギ
鼻先を
ちょこんと出して
ふさふさの
耳をたたんで
私があまりにも
にこにこしてるので
人は誰でも不思議そうに ....
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