すべてのおすすめ
1
寒さが沸騰する河岸に、沿って、あなたの病棟は佇む。
粉々に砕けた硝子で、鏤めている実像が、
剃刀のような冷たい乳房のうえに置かれる、
吊るされた楽園。
顔のない太陽は ....
朝と歌う鳥達と目覚めを奏で
沈んだまま浮いてこれない ガラス細工を
丁寧に 丁寧に 探す
そこが 原点であり真実であるから
朝を歌う鳥達は高い空へと舞い上がり
弧を描きながらもまっすぐに ....
お隣の洗濯物も
そのお隣の洗濯物も
そのまたお隣の洗濯物も
ふんわり今日は乾くだろうと
あったかい陽射しに
目を細めずにはいられない
冬だというのに
春の匂いがするのは
あなたの
洗 ....
中目黒。
都会なんか大嫌いで
ましてや渋谷から二駅のこんな駅で
あんたと暮らすこと夢みてたなんて
ほんと論外。
この5年でこんなに苦くなった。
『思い出は美化される』
あの法則はどこ ....
川から流れる清らな音が
侘しさと寂しさを
心に響かせ
山から吹く冷たい風が
静けさと悲しさを
心に染み込ませる
いつもと変わらぬ
その時の景色には
どこか遠い思い出を
蘇らせ ....
きっちりきっちり巻いたのに
はなれてみると優しく見える毛糸だま
早く終わらせたくて必死だったのに
もう少しで終わりと思うと
何故か腕に鍵が掛かる
はやくはやく巻き終えて
マフラーと手袋 ....
季節はもう冬支度なのに
たんぽぽの綿毛になるんだと
あなたは言った
過ぎ去った日々を惜しむかのように
ひとびとは
大きな樅の木の下に集いだす
そんな季節に
たんぽぽの綿毛になるんだと
....
パスワードに言い寄られて
逃げ出したのが
IDで
イスラエルが占領している地方で
Uターンしてきて
大きなぼた餅を嬉しそうにほおばるのだ
古くさい道草を
油絵の具で描いてから
デジ ....
昨日の雨は
本当に雨だったのかと
疑ってしまう今日の青空
くもの巣が水でできている
土に水玉の花が咲いている
風は冷たいけれど
その風に乗って
タンポポのように
きららふわわと ....
大切にしていた小鳩を
私がそっと取り上げて
早く大きくなりなさいと
あなたの耳に囁きかける
男の子なら
強い猟師になるべきだと
お父様もおっしゃいました
お父様は自由に空を駆け回る
....
気が付くと
地球はもう 46億年の日々を送っていた
見渡せば僕は
何不自由なく学校に通え
今日も父が 愛車を磨いていた
John Lennon は想像することの大切さを ....
いつもとかわらない朝
私はピアノを弾きながら
ふと
最近使われてないギターに
目がいき
手にとって
音を出した
「チューニングが合ってないじゃん」
バカみたいに
一人でしゃべ ....
ロシータっていうおばあちゃんは
サンホアンで一番年取ってて
猫にやさしくて
工房の隣の彼女の家には
いつも猫がたくさんいて
使い物にならないボートが
とまっている
....
夜寝る前に読書していると
開いた本のなかから
うっすらと光を帯びた手があらわれ
わたしに差し出されていた
その手を握ると
不思議な想いが心に流れ
明日に怯えるわたしの影は ....
夜巡る光は溢水もない
無限ではない人々の心の渦
海風がなびいて吹き荒れる
季節外れの海辺の砂のお城
夜の公園一人たたずむ僕のすがた
大した事もないが生きている世 ....
親愛なる、
あなたさまへ。
あなたは何時の夜も、
肝腎なことをはぐらかされます。
わたくしがどれだけ歯がゆい思いをしているか、
よくご存じのはず。
....
もし貴方が寂しかったら
笑ってごらん
少し周りが明るくなるから
そして泣いてごらん
空が笑っているから
がむしゃらに進んで
行き場が見えなくても
道は必ず開ける
自分の道を見つける ....
雨の中を
迷子の少年が傘を差さずに立っていた
誰かがそばにあったタオルを
子どもに渡してあげた
人のタオルを勝手に使わないで!
持ち主の声がその場に響く
頭を拭き終えていない少年 ....
落第してゆく大人たちを
進級してゆく子どもたちが
通り過ぎてゆく
落第する大人たちは
進級することは過去にしかないと
思いながら
冷えた体で下を向いて歩いてゆく
丸まった背中が小さく ....
今日より、明日、明後日
舟が古びようと
櫂で水しぶきを描かずにいられない
来週より、来月、来年
からだの影が深まろうと
羅針盤の先を指差さずにいられない
蜃気楼を揺らして
永遠に届かない ....
長い長い階段を
ずっと一人で上っていくと
大きな広場が
目の前に広がっている
そこでは言葉たちが
浮いたり飛んでいたり
大きかったり微かだったり
言葉と人が当たったり
言葉と言 ....
今よりずっと
空が遠くにあったとしても
心が近くにあれば
雲をつかめるかもしれない
今よりずっと
海が深かったとしても
心が近くにあれば
波を触れるかもしれない
今よりずっと
....
柵の外には自由が溢れているのに
何故か人は柵の中で生きる
ちょっと跨げば乗り越えられるのに
誰も跨ごうとはしない
自由の身になることを恐れ
しがらみから解き放たれることを拒絶し
狭い柵の中 ....
さびしんぼうは
自分にふたをして
こみあげる感情を殺し
涙を流さない
自分まで騙している事を
自分で知っている
本当はね
さびしんぼうは
今日も道端のあちこちに
一つ二つと落 ....
季節を告げる冬の風
小さな針が通り過ぎ
丘の上には枯れ草が
乾いた音を響かせる
季節を想う冬の風
微かな球がかすめ飛び
森の中には枯れ枝が
きしんだ声を届かせる
寂寞とした景色 ....
1
ホームの後ろに錆びた茶色の線路があります。
線路の枕木は腐りかけ、
雑草が点々と生えています。
線路は使われなくなってどれくらいがたつのでしょう。
わたしは線路に耳を当て ....
床に線を引いて、
彼女は国境を決める。
彼女はとても怒っているので、
とっても横暴に決める。
彼女は地図を作ったので、
ぼくらの部屋は地図になった。
彼 ....
怖かったんだろうね
風が死んでたりしたろうから
ビルヂングが アロガントに まばたきもせずに
夜空を おまえを 無視したりしてたろうから
今日 ....
遥か遠い昔
この海は空だった
雲の上を魚が泳いでいた
魚たちはいつも
海を見下ろしていた
遥か遠い昔
この空は海だった
水の中を鳥が飛んでいた
鳥たちはいつも
空を見上げていた
....
{ルビ銀=しろかね}の雪が空より
舞ひ落つる冬枯れの森
侘びしかる風の音聞けば
時移る草葉の思ひ
細やかに流るる川は
透き落つる冬枯れの森
悲しかる水の音聞けば
時映る雫の思ひ
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49