私たちは互いを必要としながら
それぞれの場所で夕陽を眺め
明日の湿度を欲しがり飲み込む振りをする

あなたと私は
埋もれてしまったいつかの夏に
栞を置いたままかもしれない
そ ....
ドラムカンの 外にはみだしてくる
火の勢いに のまれてく

窓から見下ろした 交差点
流し込んだ 健康飲料水
一回 千円のカットだけの看板

マラソンの金メダルのテレビ放送
セルフサー ....
もうすぐ
九百九十九年になります
その頃には
ひまわりも咲いているでしょう
絶望から生き残った
藁のような人びとが
ゆらゆらとゆれているでしょう
咲いてしまうことに
罪はなくて
咲い ....
夜が季節の名前ならば
今夜は惜春
雷雨が迫る黒雲
まだらに明るい空を映して
海が水銀のように揺れる
指先の温度が融点の
あなたという液体
わたしという液体

いつまでも
満たさ ....
手が届かないというから
かわりに蛍光灯を換えてあげた

堅くて開かないというから
かわりにフタを開けてあげた

重くて動かないというから
かわりにソファーを運んであげた

うまく出来 ....
帰宅してみれば白い豚がゐるわけです
我がもの顔でテレビを見てゐるのです
えへらえへらと笑ってゐるのです
手と口がギトギトしてゐるのです

日本語を喋りますが通じないのです
「出テ行ッテクダ ....
床屋で散髪中マスターに
『あ!』って言われる事ってあるよね?
僕はあるんだ。


基本的にじゃんけんでパーを出す事を見抜かれ
パーマンと名づけらる事ってあるよね?
僕はあるんだ。

 ....
切れかけた電灯の下で
私はまるで
フラッシュの照明を受ける
舞台上のファッションスターのようで
夜を纏い
黒いアスファルトの上を
踊るように歩くのです
世界は私だけを照らし ....
咳が止まらない
名前を呼ぼうとしても
むせてしまう
怪訝な顔をする

胸の真ん中にたまっている
科学雑誌でみた
火山の断面図のように
あかい、あかい

咳をするときは
いつも ....
家族に絶望して
ああようやく私もここから
逃げ出せると
そう思いました

血のつながりを
絵の具の白で塗りつぶして
ああ白色は
このためにあったのだと
私は思いました ....
青い
夜明けのような{ルビ苧環=おだまき}の花を行き交い
小さな蜂が羽を震わせている
光は飴色に輪を広げ
触れるたびに緑の葉は揺れ動く
あいさつのように かすかにそっと


      ....
帰ろうとしたら壊れていた
自転車
サドルが遠く 曲がって

きっと人ごみに
押されたのだろう
かたちあるものは壊れていく
いつから
怖くなくなったんだろう

父の記憶も
それに似 ....
はじめは、見えなかった。


 それはファインダーの外に
 つまさきの下に
 暗がりのなか
 輪郭さえ
 ないところにあった


それから、見ないようにした。


 それは地 ....
おんなとして
うまれたわたしが
わたしをうもうと
はらをきめたせつなに
あなたはけっしてふれえぬでしょう
このはらのおくにはいりこめたとしても
あなたのなかでわたしはきえて
いろづいたこ ....
途切れがちの遠い波音に
あるいは
いつかの風景の肌ざわりに
私は
何を求めていたのか

カンバスは
筆先の触れた瞬間から
額縁にきちきちと収まってしまう
握り込んだ青い爪が
手のひ ....
 何故だかわからないが、女性詩人の詩を取り上げて論じることに妙な躊躇があった。もちろん女性の書く詩が、男性の詩よりも劣っているなどと思っていたわけではない。優れた女性詩人は多く存在する。一読者として好 .... 淡く
夢にいた人は水彩でした


*


(あ、)


こめかみとシーツの間に
かすかに染み入り、そこから
まぶたに明けてゆく一筋の朝の滲みに、すっと
打 ....
風に弄ばれ、雨に嬲られ
春の欠片は
華やかで暖かで
何処か哀しい

春一番と供にやってきた
サクラ色の季節は
緑色に変容して
ひねもすのたりと
猫とうたた寝中
寝過ごしたりしな ....
本屋で写真集を買って売り出し中のアイドルと握手した。
机の下で何度も掌をジーンズにこすりつけているのを目撃した。
私は負けない。


吉牛で奮発して卵をつけた。
おもいっきし卵の殻が入って ....
夕暮れに爪を切る
夜 爪を切ってはいけないよ  と
いつか誰かに言われたから

冷たい風に
見上げれば
うすくうすく うすい空色
ほそくほそく 細い三日月

泣きたいほどに
 ....
自動販売機でコーヒーを押すとおしるこが出てきた。

『まいど!』

自動販売機が馴れ馴れしく礼を告げた。
客に対する無礼と商品を取り違えるいい加減さに腹が立ち。
違うぞコノヤロウと自動販売 ....
ぬくもりだけを信じると
深呼吸できない、抱擁
信じて強くなれる
糸電話の決意

遠くでも近くでもない場所から
わざと小声でささやく
から、やさしい距離
保ち続けて

メールのない夜 ....
明日太陽がなくなったら

僕らは盲目の世界を生きるの?

影がないと寂しい

光がないと寂しい

僕らがいないと寂しい
朝早くにジョギングしてゐたら、急に雨が降ってきた。
最近の天気予報は、まったく当てにならない。
雨宿りするために歩道橋の下に駆け込むと、女が立ってゐた。
真っ赤なキャミソールを着た、痩せぎすの若 ....
ぼくがまだ見つけない 明日の
呼吸の波は、かぎりなく無音で
おしよせては、
皮膚のあいだに刻まれた旋律を
からめとりながら
引いていく


奥深い場所で対流する
なまぬるい記憶、ある ....
寝過ごす街に喝を入れるのは
ピンヒールの靴音

一年中食べ過ぎたり、飲み過ぎたりする街が
眠り姫の物語する季節は春

ぽっかり微笑む陽射しに
散歩中の乳母車の赤ちゃんも
営業中の働 ....
【女】

あまがえるが恋をしたからって
雨が止むわけでもないけれど
どうせ降り続くなら
恋をしたあまがえるの時がいいわね

【男】

耳そうじのやり過ぎで
三半規管が ....
回る
火のついた犬のように
走りながら
回って今日一日の
憂愁を追う
今日も丹沢の山は見事に鋭角で
背後の空からくっきりと浮かび上がっている
おそらく上州前橋から見る山なみと
そう変る ....
わたしたちはいつかきっと死ねるのだから
ジム・モリソンもシド・バレットも
ヴォネガットだって死ねたのだから
今は死ねなくても
こころさわやかに朝の唄をさえずろう
ゆっくりと自分を殺してゆくた ....
何もかもがいやになって
下を向いて歩くのだ

メールを
打つふりなんかして
詩を書いたりしちゃうのだ

幸せな人は詩を書かない
というのは本当です
だけど
私の不幸など
ありふれ ....
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